飼亀が冬眠から覚めた。例年と一週間とずれてない。この子の体内時計の正確さに毎年唖然とする。

　
　　○啓蟄や人の蠢くスクランブル


　　●水切りの水輪は五つ春逝きぬ


　　○一束に赤根八本ほうれん草


　　●ものの芽の解れて未来目指しをり


　　○顔中で欠伸する嬰チューリップ


　　○菜花咲く前の蕾を食う哀れ


　　●父母の年を越えたる墓参り

急に春になった。桜も突然という感じで咲きだした。世の中が何となく浮かれ模様だ！

　　
　　○春来たとすずめは朝餉催促す


　　●チューリップ今日も明るく元気です


　　○雨上がる紫陽花の芽の本気出す


　　●春風邪は命の続く証なり


　　○緋目高を眺めせせらぎ思いをり


　　●連翹の黄色葉の出る序曲なり


　　○春風は冬追い立てて吹いてくる

今日の温かさで桜が咲きだしそう。例年より一週間早いそうだ。あの、冬の寒さが遠い昔のようだ。

　　
　　　●雨のたび紫陽花の芽は葉になりぬ


　　　○チューリップ今日も明るく元気です


　　　●吾子の字を辿り初蝶飛びにけり


　　　○母に春絵文字のメール届きけり


　　　●春の宵サラ金ネオン点滅す


　　　○緋めだかを眺めせせらぎ思い出す


　　　○しゃぼん玉飛んだ数だけ吾子の顏

一雨ごとに紫陽花の芽が大きくなる。考えれば半年は眠っているようなものだものな。急がなくちゃ！

　　
　●ストックを折らないように活けにけり

　○母に春絵文字のメール届きけり

　●春の宵サラ金ネオン点滅す

　○菜の花に黄色に染まる蝶も居る

　●春の雨　空・土・水を騒立てる

　○春来たる雀朝餉を催促す

　●雨降れば紫陽花の芽気合入る

3月になった。と同時に日差しが暖かくなった。沈丁花の香りがしたり、桜草の花が目立ってきた。

　　
　　●春を呼ぶ妻の笑顔の有る出窓


　　○村は雪収められずに積もり上ぐ


　　●水音が水音を継ぐ川の春


　　○春一番ローム地層を子等学ぶ


　　●丸山も尖山も笑い出す


　　○春の宵ローンのネオン点滅す


　　●ストックを折れぬほど抱く嬉しさよ