鳥まり、参る!

ご覧いただきありがとうございます。
日々のいろいろなことを記録しています。

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~ジュリエット~

2013年09月30日 | 感想文
お待たせしました
今回はフランク莉奈さん演じるジュリエットについて語ります


 ↑
フランク莉奈さん。
このジュリエットの衣装、やっぱり現代的。
かわいいですけどね

彼女は身長171センチだそうで、舞台栄え(映え?)が良かったです。
190センチの城田優さん、181センチの古川雄大さんとも問題なくペア組めますね~。

ジュリエット演じる彼女の仕草は本当に少女らしく可憐で、

「ジュリエットかわいすぎる
 かわいすぎます~

と興奮して観ました

ベッドシーンでロミオはパンツ1枚になるんですけど、スタイル抜群の古川さんのほぼ全裸よりもジュリエットの方が見ちゃいけない気にさせられました。
シーツで隠すので、ジュリエットは全然脱がないのだけど…。
それにしてもこのシーン、果たして脱がせる意味はあるのか?
個人的にはぐっとこなかったです。

歌ですが、上手かったですよ。
心にぐっとくるのとそこまでこないのとありましたけど、まあ練習あるのみで。


インタビューでフランクさんは

「強いジュリエットを演じたい」

と言い、ダブルキャストで同じくジュリエットを演じる清水くるみさんは

「儚いジュリエットを演じたい」

と話していたんですね。
鳥まりはジュリエットの本質は強さに有りと考えてるんで、フランクさんの回を観られたのは大正解だったかな。

ではでは、細かく書いていきますね。


~汚れていった母親に反発し、強くなったジュリエット~

ティボルトの記事でも書きましたが、この舞台でのジュリエット母=キャピュレット夫人のろくでなしさったらないです。
パリスとの政略結婚の話に

「結婚は本当に好きになった人としたいの」

と話す夢見るジュリエットに

「結婚と恋愛は別物」

…でとめときゃいいいなのに、

「お前はお母様が不倫して出来たコなのよ。
 でもお母様にとっては結婚こそが偽り、浮気こそ本当の恋。
 お父様には愛人が何人もいるしね」

と教えるクソ…いやいや、真心のなさ
かつてはジュリエットのように純真だったであろうキャピュレット夫人は、

「男達の中にある憎しみが、私は憎い。
 私達女がどんなに考えてない」

と高尚なこというくせに、やってることったらろくでなし。
実の甥=ティボルトに手を出すし、自分が政略結婚させられたことを死ぬほど恨んでるくせに同じことをしれっとジュリエットに強要しようとする。
彼女もまたかつて“子どもの自分”を汚い世界に染めた“大人達”と同じように、ジュリエットを汚い世界に染めようとする。

「あなたのためなの、それが幸せなの」

と言いながら…。
(あんたの欲のためだろ、と言ってやりたいね
これってまさに虐待の連鎖と同じ構図でしょう
家族の業は受け継がれる。
習慣が変わらないんだから当たり前。

でも、じゃあ全員が業を継承していくのかっていうと、そんなことはないんですよ。
たまにそれに反発し、戦える人が生まれる。
それこそがジュリエットだったのです。

ロミオ・ティボルトの記事で“ロミオとジュリエット、そしてティボルトの3人はきっと、魂の本質は同じに清らかだと思う”と私の考えを書きました。
んで、大元の気質は同じでも環境と、個人の性格によって成長した結果は違う。

ロミオは愛情いっぱいの両親に愛され満たされ育った。
ちょっとなよなよしてるけど、明るく元気な魅力的な青年に

ティボルトは、業まみれ汚い欲望まみれの一族の中で育ち、ホントはこんな風に生きたくない、ホントの自分は違うんだと思いながら“流される”ことを選ぶ。
それしか生きる道はないから

そしてジュリエットは、ティボルトと同じ環境ながら、本質がティボルトよりも強かった。
母親が汚くなれ、染まれと強要しても

「私は嫌

と反面教師にして、ますます清く強くなるんですね。
ジュリエット…素敵すぎます…
幼さゆえとも解釈できますが、やっぱり強い女の子なんだと思うな。

そもそも、女の体で生まれるとぜったい男の体で生きるより強いからね。
女は強い、男は優しく繊細、これは美輪さんもおっしゃることですが、私は事実だなと思っております

また、ジュリエットが強くあれたのは乳母さんの愛のおかげです。
実のお母さんはこんなんですが、育てのお母さんである乳母はひたすら愛を注いでくれました。
太って健康だしね(笑)
ジュリエットを作ったのは生まれ持った気質、反面教師としての実の母、そして乳母が捧げてくれた純粋な愛でしょう

この東宝版『ロミオ&ジュリエット』は“血のつながりというエゴへの反発”、“毒親との戦い”“本当の親子愛への投げかけ”という特徴も持っていると思うの。


~魂の母親は、乳母である~

会場でも大人気だった乳母。
コメディーシーンが多いのですが、シリアスな場面では泣かせてくれます。
ジュリエットのためにロミオとのキューピッドになり、大活躍

シリアスなソロナンバーもあって、本当にジュリエットを愛しているのがわかります。
涙しちゃう観客多数
私もうるっときました。

ジュリエットがこんなに良い子なのは、やっぱり彼女の愛のたまものです。
これから観劇するという方は、この関係生を意識してご覧いただくと一層感動するかもしれませんよ。


~血のつながりというエゴへの反発、そして毒母との決別~

ロミオの追放が決まるとすぐ、両親は

「ロミオとの結婚がパリスにバレないうちに結婚させちゃおう

と決めます。
ここの『明日には式を』という曲が大好き

早く結婚させて、どうにか一族の借金を肩代わりしてもらいたい。
ジュリエットも条件のいい男に結婚させたい。

お前のためだと語りながら、やっぱり両親の真の望みは自分達の安定ですよね。
乳母はジュリエットのこと思って

「やっぱりパリス様と結婚するのが一番です」

と説得するのにね
まあ、立場の違いもあるか。
実際お金がないのは辛いですしね…。

で、どんなに嫌がってもパリスとの結婚をゴリ押しする両親に、ついにジュリエットが切れます。

「親の言うことを聞け

と叩いた父親に

「あなたは、私の本当の親じゃないもの

と言い放ちます。
キャピュレット夫人、大ピンチ(笑)
この言葉、お母さんへの復讐かと思ったら、続いてお母さんにこう言います。

「あなたもよ

血のつながりじゃない。
そんなの関係ない。
あなた達は二人とも私の親じゃないと。

毒親に子どもが“NO”を出す、素晴らしい演出でした。
大好きなシーン。



まーた長くなりすぎたんで、1回切ります。
次の記事で続き書きますね。


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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~ティボルト・その3~

2013年09月28日 | 感想文
あんまり長くなっちゃったので別記事にしました。
続きいきますね

~ティボルトは幸せである~

で、マキューシオを殺してしまったティボルト。
ロミオ・ベンヴォーリオ達が泣き悲しむのを、キャピュレットの仲間達と笑って見ています。

ここの場面でも加藤さんの演技良かったですね。
ナイフを舐めたり(?)女の子達にキスしたりするんだけど、目が空しそうというか。

で、そんな様にに怒ったロミオに報復されてティボルトは殺されてしまうと。

これがティボルトというキャラクターのラストシーンです

結局ジュリエットに告白できず、愛するジュリエットを奪ったロミオを殺すこともできず、彼はあっさり殺されてしまう。

これね、なんの救いもないように思えるけど、ティボルトにとって一番幸せな最後だったんじゃないかと。

キリスト教だと自殺って大罪でしょ?
ロミオとジュリエットは愛のために死ぬわけだから、そんな戒律知ったこっちゃないというか、気にもしないはず。
でもティボルトが自殺するとしたらなんの支えも希望もなく死ぬわけで…あまりに辛い。

生き延びていたとしても、ティボルトの残りの人生絶望しかない。
ジュリエットはロミオと街を出て二度と会えないか、やっぱりロミオと死んでしまうかだもの。
パリスと結婚してヴェローナに残ったとしても…ねえ?

ジュリエットがいてくれるからギリギリ生きてる人だから。
ですからね、ここで死ねたのは幸せだと思う。
これ以上憎しみを重ねても、悲しんでも、辛いだけ。

命を粗末にしてはいけない、と現代なら言える。
でも時代を考えたら、そこしか救いがなかった人っていっぱいいるよね。
人間は誰でも時代と国と家と、あらゆる環境に影響されて生かされてるのだし。

彼の人生に最後の救いをもたしたのが、ジュリエットの最愛の人・ロミオとは…人生ってとても不思議だな。
これはもちろんフィクションですけど。

ティボルトが死んだ時は正直、

「死ねて良かったね、もう終わりだよ」

と思った私なのでした
お疲れ様って感じ


~救いある、ジュリエットの言葉~

ロミオがティボルトを殺した、と聞かされジュリエットが

「ティボルトが…強くて優しい、私のいとこが…

と言ってくれるんですね、この脚本では。

その言葉がすご~く救いになって、心がポカポカしました。

「ティボルトのことを恋愛対象には見ていなかったけど、とても好きでいてくれたんだな」

って。
宝塚版ではロミオの追放に泣くばかりで、

「ちょっとでいいからティボルトに泣いてあげてほしかった…

と思ったので。

そうそう。
私はティボルトばかり見ていて気が付かなかったのですが、他のお客さんが

「仮面舞踏会のシーンで、パリスと踊る時は困った顔してたジュリエットが、
 ティボルトと踊る時は安心したように嬉しそうな顔してて良かった

と言ってました。
す…素敵すぎます
フランク莉奈さん、グッジョブ
加藤和樹さんばかり見ててすいませんでした(笑)

ちなみにフランス版のジュリエットも、ティボルトと踊るシーンでは心許した無邪気な幼い笑顔で、本当に楽しそうに踊ってくれます。
素敵

カーテンコールではジュリエットの隣で笑っていて、すごく嬉しかったです。
そうでしょそうでしょ、ティボルトは主役の一人なのよ~

っても、最後の最後でジュリエットとロミオが手を取った時、当然ティボルトは手をつながないので、

「あ……」

と思ったけど。
でも嬉しい


私が『ロミジュリ』の映画作るなら(聞いてねーよ)
ティボルトとジュリエットの会話シーン色々作っちゃいますね
ジュリエットにはぜひティボルトを「おにいさま」と呼んでほしい~
そんでもって

「ジュリエット…もう子どもじゃないんだから、ティボルトと呼んでくれ」

と微笑むシーン作りますわ
仮面舞踏会では

「お前のことは必ず俺が守るから、安心しろ」

というセリフを作る。
作るったら作る
直後、ロミオと出会っちゃうんだけどね(笑)

おっと、妄想が過ぎました。
失礼いたしました~


大人の力=貴族社会=権力社会=時代。
に振り回され、苦しい人生を生き切ったティボルト。
彼の苦悩も魅力も、しっかり演じてくれた加藤さんは素晴らしいなと思いました。

凰稀かなめさんの健気なティボルトも、フランス版の超絶セクシーなティボルトも大好きなんですけど、加藤和樹さんのティボルトも最高でした
理想のティボルト像を見事にひとつ作り上げてくれましたね。

10月5日までこの舞台は渋谷のシアターオーブで、その後は10月27日まで大阪公演があるらしいので
(今調べた)
加藤和樹ティボルトが気になった方はぜひ観てほしいです。
くどいですが、最高だから

長~いティボルト語りを読んでくださってありがとうございます

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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~ティボルト・その2~

2013年09月28日 | 感想文
お待たせしました『ロミジュリ』感想の続きいきま~す
今回も語るのは、加藤和樹さん演じるティボルト
彼の演技や歌を中心に書いていきますね。


 ↑
バストアップの画像とってきました。
黒い髪のティボルトもいいね~。

~お兄さんらしい、クールなティボルト~

加藤さんのティボルトを一言で表現すると…

「大人っぽい

これですね。
他のお客さん(幼い人が多かったし、服の感じからして、俳優さんのファン?)は

「色っぽい

「エロい

とセクシーさを褒めている人が多かったんですが、私はあまりセクシーさは感じなかったかな。
や、カッコいいなとは思いますよ
ルックスはもちろん、彼は声がとってもキレイですしね

宝塚版の凰稀かなめさん演じるティボルトは“思春期らしい、色々素直なティボルト”でした。
すごい表情がわかりやすいし、悩んでるのが丸わかりという感じで。

それに対して加藤ティボルトは、すごく落ち着いてる。
感情コントロールが上手いっていう意味じゃなくて、本心を他人に見せない。
他人に対してすご~くバリアを張っている。

キャピュレット夫人もキャピュレット卿もティボルトの本心はわからない。
大人達に心を見せないのはいいんだけど、若いキャピュレットの仲間にもそんな感じだったので孤独感が漂っていましたね。
女の子達といちゃいちゃくっついていても淋しそうというか空しそうというか、瞳の奥が笑っていない感じでした。
お見事

文学を気取った下手くそな表現を使うなら、

「(加藤和樹演じる)ティボルトの心は氷の城に閉ざされていて、誰も触れないし中に入れない。
 彼は心を凍らせてる」

って感じですかね。
文学というか中学2年生病的な表現になってしまった…。
文才ないね、私


~ティボルトの空気であり太陽であり、心臓であるジュリエット~

「公式HPの動画を観て、
 加藤和樹のティボルト観に行く決心しました

と書きました。
とはいっても

「完璧

と思ったわけじゃなくて…。
動画で聞けるのは『今日こそその日』だったのですが、あまりジュリエットへの恋心と苦悩がわかんない…上手くさらっと歌っているようでね。

なので

「ちゃんと進歩してるかな?
 感情込めて歌ってくれるかな?」

と心配半分で観劇したのですよ~。←何様だよと思うくらい上から目線。すいません

で、当日のティボルト…。

すっごく………良かった…です
ああ、今思い出してもキュンキュンきます

何が良かったって、ジュリエットに対する恋する態度ですよ
上にも書いたように“大人っぽい、心をぜったい見せないティボルト”なのに、ジュリエットのことになると違う人間になっちゃうんです。

キャピュレット家の莫大な借金を肩代わりしてもらうために、ジュリエットを大金持ちのパリスと結婚させようとするジュリエットの両親に、必死にとめようとするティボルト
氷の城だった心が、一瞬で“恋するただの男”に。
表情が素直すぎて、かわいすぎる~

ジュリエットといる時のティボルトは、本当に瞳も、オーラも、愛と優しさが溢れていて…生きる喜びに溢れているって感じ。
加藤さん、演技が上手すぎるよ

「ああ、ティボルトって本当は清らかで優しい人なんだな…。
 この本来の魂のまま、生きられたら良かったのにね…。
 時代って残酷だね

と思ったもの。

だからやっぱり、この『ロミジュリ』という物語は、やっぱりあの時代でこその物語ですよ。
現代風アレンジやめてください、まぢで

ティボルトがジュリエットを愛しているのは、ジュリエットが優しいからとか可愛いからってのはもちろんだけど、それ以上に魂の本質が似ているのでしょうね。
清らかな温かい魂なの~

ジュリエットはティボルトの理想であり、心の支えであり、不条理な人生での唯一の救い。
最後の希望というか。
ティボルトは成長するにつれて自分の“清い魂”を売り渡していくけれど、ジュリエットは強いからぜったいに売らない。
その強さにも惚れてるんだろうな~。
ロミオがジュリエットを愛したのと同じに。

切ないよ

ちなみに、ティボルトがめちゃくちゃ敵視する大金持ちのパリスさん、めちゃくちゃ陽気で楽しい人です。
物語的に悪役ポジションだけど、ロミオとジュリエットと張り合えるくらい、人間的には素直で良い人だと思う。
服のセンスは

「お前、大丈夫かよ

って思うセンスですが(笑)
気になる人は公式HPを見てみてね。


~素晴らしすぎるティボルトのソロナンバー~

演技も素晴らしければ、歌が良すぎる!
魂こもっていて、私は思わず泣きそうになってしまったほどです。

全部良かったけど、やっぱり『今日こそその日』が最高かな。

ロミオとジュリエットの結婚を知ったティボルトが怒り狂って歌うの。

「ロミオを殺して、奴の死体の前で、ジュリエットに告白する

って。
おいおい、そんなことしたらジュリエット一生許してくれないよ
という感じですが、きっとこの歌は

「ロミオを殺して、ジュリエットに告白して、ジュリエットに憎まれて死にたい(自殺したい)
 彼女に憎まれれば、何も未練なく死ねる」

という意味なんじゃないかと思う。

愛するジュリエットを汚されて(本当は汚されてないんだけど)、彼女が誰かのものになったら、自分は生きてる意味なんかない。
そもそも、彼は自分にも人生にも絶望していて生きていることが不思議なくらいなんだよね。
ジュリエットという空気=太陽=心臓が存在していてくれるから、ギリギリごまかしながら生きている。

借金だらけ、業だらけの名家だろうが、実の叔母さんの愛人になろうが、愛する人と永遠に結ばれなかろうが、
ジュリエットが生きているかぎりは彼女を守れるし、少しでも側にいられると。
(ちなみに、キャピュレットの男の子達は全員ティボルトの気持ち知ってた感じでした。
 結婚式の隠し撮り写メを見せる場面でそう思ったよ)

怒りにコーティングされた絶望と悲しみが、歌声と表情に出ていて良かったなあ~


~ティボルトは、幸せである~

とかってロミオを殺すと決意したティボルトなんですが、その前にマキューシオの

「お前、実の叔母とデキてんだろ?」

との暴言にブチ切れてマキューシオを殺してしまいます。
うん…気持ちわかるな…言われたくない言葉だよね。
本当は愛人なんかになりたくなかったんだもん。
ジュリエットへの愛にだけ正直に生きたかったんだもん。

で、死ぬ間際にロミオに

「ロミオ、ジュリエットを愛し抜けよ…」

と言ってくれたマキューシオ。
実は彼はそれまで

「敵の女なんか好きになるな、裏切りだぞ」

って二人の恋に反対しているんです。
でも、

「あ、死ぬ…俺、死んじゃうんだ」

と思ったら

「敵の女はやめとけ」

ではなく

「愛し抜け」

と言った。
つまり、本当はマキューシオもティボルトと同じように純粋に人を愛したかった。
大人や先祖が決めた常識ではなく、自分の気持ちに従いたかったということですね

「大人の力に負けたりしない♪
 俺たちこそが王♪
 俺たちの王は俺たちなんだ♪」

『世界の王』(この舞台のテーマソング)の歌詞が刺さるね。

~いくらなんでも長いので次の記事に続き書きます~

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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~ティボルト・その1~

2013年09月26日 | 感想文
さてさて、まだまだいきます『ロミジュリ』感想
今回は大好きなティボルトだよ

前にも書きましたが、加藤和樹さんのティボルトが観たくて観に行ったのですよ私は
公式HPの動画を見てもらえばきっと多くの人が

「いい…

って思ってくれるはず。


 ↑
加藤和樹さん演じるティボルト。
この衣装ちょっとカッコいいね。

今回は演じる加藤和樹さんよりも台本メインで書いていきますね。
次の記事で加藤さんの演技や歌についてしっかりかきますので


私ね、この『ロミジュリ』の主役は3人いると思ってるんですよ。
ロミオとジュリエット、そしてこのティボルト。

ティボルトはジュリエットのいとこ。
ジュリエットは一人娘なので、いとこのティボルトがキャピュレット家の跡取りということになります。

キャピュレット家はいとこ同士の結婚が禁止されているんだけど、物心ついた頃からジュリエットをず~っと想ってきたという設定です。
この“ティボルトは、ジュリエットを愛している”という設定がこの舞台の鍵

そしてもうひとつは、彼はジュリエットのお母さん=血のつながった叔母、の愛人だというのが大切な設定です。
ハッキリ肉体関係があるって宣言されちゃってましたしね
(宝塚版だと、持っているとも持っていないとも解釈できる表現だった)

彼の歌で

「初めて女を抱いたのは15の時。
 金髪、黒髪、色んな女を抱いてきた。
 けれど、たった一人触れることもできない女性がいる。
 それは俺が愛するジュリエット」

という意味の歌詞があります。
これで

「ああ、きっとティボルトは美形って設定なんだろうな」

と思いました。
美形で若いもんだから、ジュリエットのお母さんに気に入られて手を出されてしまった。
悲劇

「ジュリエットの代償に、お母さんに手を出したのかな?」

とも思ったんですが、やっぱりそうじゃないと思うんですよ。
だって、ぜったい嫌じゃん。
愛する女(“抱きたいだけの女”ではない)の母親と関係持つなんて。
いとこより叔母の方がタブーに決まってるし。
この禁断の関係のせいで、彼は一生キャピュレット夫人に支配されてるようなもんです

キャピュレット夫人、はっきりいってこの舞台で一番ろくでもないキャラですからね。
すげー悪いヤツです。
最初は彼女も権力争いと貴族社会の被害者だったんですけどね。

夢見る幼いジュリエットに

「お母様がね、今のお前のように若くて綺麗だった時…
 お母様は、自分のお父様に売られたのよ。
 お前のお父様に、売られたのよ」

と呪いの言葉を吐く毒親
彼女の主張は事実なんですよ。
政略結婚なんて女の売買だから。

でも、かつての被害者だった彼女はすっかり加害者側の人間に…。
ティボルトにやったこと、許すまじ

しかもジュリエットに

「お前はね、お母様が浮気して産まれた子どもなのよ。
 お父様の実の子じゃないの」

と言い聞かせる始末。
このセリフのせいでお客さんには

「え
 浮気して出来た子どもってことは…ジュリエットはティボルトの子どもなの

と思った人がいるみたいです。
(トイレとかホワイエで話してる人がいた)

でも、それはありえないッス。

原作でもこの舞台の脚本でも年齢は明記されていませんが、ジュリエットとそんなに年は離れていないから。
ジュリエットの少し年上ってとこでしょうか。
(原作ではジュリエットは13才。この脚本だと16才。
 ティボルトは15~20才くらいだと予想)

私が脚本書き換えるなら、

「キャピュレット夫人の最初の愛人に似てるから、ティボルトが手を出された」

って設定にするね(聞いてねーよ)
終わらない代償行為の悲劇

最初の紹介でティボルトは

「いつ切れるともわからぬ、危険な男」

と言われて登場します。
なんでティボルトがそんなにイライラしてるかっていうと、

「生まれた時から敵がいて、憎め争えと洗脳されていくことへの怒り」

「たった一人の愛する人への想いさえも、一族に禁止される不条理」

「本当はこんな風に生きたくないと願いながら、この世界で生きていくしかないんだという絶望」

…これらが理由でしょう。
そりゃ辛いよね。

ソロでティボルトははっきり

「俺はこんな風になりたくなかった、大人が俺をこう変えた」

って歌っていますし。

それに対して

「ティボルトって男らしくない。
 なんでも他人のせい、俺は悪くないって、子どもじゃないんだから。
 好きじゃないな」

と話してる人がいたのだけど、私はそうは思わないな。

現代の感覚で
(まあ…この演出じゃほぼ現代っぽいんだけど)
昔の時代の人を

「いい、悪い、好き、嫌い」

と定義するのはちょっと乱暴だと思うんです。
時代が違えば何もかもが違うからね。

「貴族社会を捨てて自分の望むように自由に生きればいいじゃん、家なんか捨てればいいじゃん」

といっても、あの時代の人に家や所属を捨てるのは、現代の日本人にしたら

「いきなり拉致されて、人間の誰もいないジャングルに捨てられて生きる」

くらいハードなことなはず。
そんなこと、できますか?
多分私なら1時間以内にワニか猛獣に食われて終わるね

ロミオは世間知らずっていうか、はっきり言って馬鹿だから何も考えず突き進めるんですよ。
ピュアの素晴らしいところ。
対してティボルトは、ロミオよりずっと賢く頭が回る。
汚いキャピュレット家で大人の世界を見ているせいもあるけど、

「理想通りに生きられっこない」

ってわかってる。
悲しいよ…

かといってジュリエットへの想いを捨てることなんてできない。
本当は正直に彼女への愛を意志表示して、本来の自分として生きていきたいのに。

だから彼はいつもイライラして自暴自棄。
色んな女と手当り次第肉体関係を持ち、叔母の執着を受け入れてしまっている。

悲しい男です。
歴史の被害者…。


長くなりすぎたんで、とりあえずここで切ります

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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~ロミオ~

2013年09月25日 | 感想文
昨日の続きです。
役および演じる俳優さんについて個別に書いていきますね。

まずは、主演のロミオから
私が観たのは古川雄大さん演じるロミオでした。


 ↑
ロミオの衣装の古川雄大さん。
この画像だとなんか宝塚っぽい(笑)
正真正銘男性ですが、美形です


 ↑
ナチュラルっぽのも取ってきました。
こんなカッコいい姿で生きてるって、どんな気分なんだろうか…。
うらやましすぎる


公式HPで動画を観た時のロミオ3人の感想は

・城田優ロミオ
  ↓
カッコイイし衣装が似合う。
歌もけっこう上手い。
でも、個人的には夢見る純真さっぷりが足りない
と思ってました。
(悪口じゃないんで、怒らないでください…
透明感が欲しいだよ~。

・柿澤勇人ロミオ
  ↓
最高
3人のロミオでルックスの華やかさは3番手かもしれないけど、とにかくオーラと歌声が理想のロミオ。
くどいようですが、魂の美しさと勇気が溢れてる感じで
劇団四季出身の肩書きは伊達じゃないです。

・古川雄大ロミオ
  ↓
城田優さんに負けない抜群のスタイルがカッコいい。
(調べたら、城田さんは190センチ。古川さんは181センチで、柿澤さんは175センチ)
すごい美形なんだろうけど、私としては歌声が

「うん…深みがないな…」

という感じで(すいません)悪くないけど特別良くもない、そんな印象でした。


正直いいますとね、

「加藤和樹のティボルトを観に行くのであって、他はあんまり期待しない」

くらいの気持ちで行ったんですよ(笑)
すみません、本当にすみません。

で、実際どうだったかといいますと…。

「え、いいじゃんこのロミオ、予想に反してすごくいいじゃん

でした。

何が良かったって、まず歌声が動画よりずっとずっと良かった。

「深みないね」

なんて言ってすいませんでした
生で聞いたらちゃんと深みのあるいい演技と歌でしたよ。

加えて、古川ロミオは

“夢見るロマンティスト”“ちょっとバカなくらい、純粋な少年”“大切に育てられた箱入り息子”

っぷりが素晴らしかった
あ~、そうですよね、ロミオはこうじゃなくちゃ
と思った。
こういうロミオだからこそ恐れることなくジュリエットを愛し、彼女との愛のために色んなことをやらかしてくれちゃうわけですから。

『ロミオとジュリエット』と聞くと

「可憐で弱いお姫さま=ジュリエットと、強く勇敢な王子さま=ロミオ」

とイメージする人がいそうですが、実際は違うんですよね。
夢見る純真な姫がロミオで、強く勇敢なのがジュリエット。
きっと両親の違いでしょうね。
ロミオの家は愛情いっぱいの健康的な家ですから。

ジュリエットとロミオの共通点は魂の清らかさ純愛。
そして違うのは強さ。

ロミオのソロで

「ボクは怖い♪
 ボクを飲み込もうとする影が、怖い♪」

みたいな歌があるんですが、この歌はロミオの弱さをしっかり表現していると思う。
この歌はきっと、3人の中で一番古川さんが似合うんじゃないかな?

そんなこと言っちゃってるロミオが、ジュリエットという運命の人を得て強くなるのが見事です。
ジュリエットと出会う前と後とじゃ別人のように強いですからね。
この演じ分け、見事でしたよ

宝塚の柚希ロミオが“天使のようなロミオ”だとしたら、古川ロミオは“人間らしいロミオ”かな。
んで、柿澤ロミオは“勇敢なヒーローらしいロミオ”。

古川さんの夢見る演技と弱い演技、そして悲しみの演技が見事で、フランク莉奈さんの演じる強いジュリエットとお似合いだったな~

というわけで、予想よりずっと良かったのですよ~。
古川ロミオ、オススメします


あ、ただね…。
舞台の最後に主演の古川さんが一言コメントをくれたのですが、それが私達二人には

「………

でした。
一緒にいったコの言葉を借りれば

「ありきたりな軽い言葉で、ない方が良かったかも

うん、同感かな(ゴメンナサイ)
思うに、古川さんて語れない俳優さんだと思う。
役作りの時に言葉にする過程をあまりやっていないだと思う。
あれだけ良い演技をするのだから、きちんと考えて演じてはいるはず。
でも、言葉で表現できない。

本を読まないのか?
語彙力が少な目というか…わざと簡単な言葉を選んでいるとは思えなかったから。

比べるようで申し訳ないんですが、柿澤さんはどのインタビューを聞いて(読んで)もしっかり考えて言葉をひとつひとつ注意して選んでるのがわかるんですよね。
単に柿澤さんが優等生なのかしら。

古川さん、素敵な演技と歌ができるんだから、しっかり語彙力つけて“語れる俳優”になってください
もったいないです。

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