ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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宝塚コラム・・・エリザベート

2007-07-21 21:10:45 | 宝塚コラム

 久々に宝塚コラム・・いきまーーーす

 

本日、現在東京宝塚劇場で上演中の「エリザベート」を見てまいりました。

詳しい感想はこちら 「宝塚レビューパレス」を見て頂くとして・・・

 

私が日本初演の宝塚版「エリザベート」を見たのは今から10年程前。

一路真輝さよなら公演でした。

あの頃は4組制で生え抜きメンバーが多く、1組あたりの人数も非常に

多かったです。しかも当時の雪組は宝塚一の歌唱力と美貌を誇る

一路真輝を筆頭に歌唱力等が秀でた「優等生」の組。

その組で、宝塚の黄金時代を率いてきた一路真輝の退団公演、さらに

日本では上演した事のない「歌ばっかりのウイーンミュージカル」の上演

という事で、その緊張度は並々ならぬものがあったと聞いています

 

「アンコール・スターの小部屋」を見ると、

エリザベートの認知度が低い日本に受け入れられるのか」

「さよなら公演の役が「死」である事にファンは納得するのか」

「難しい旋律の並ぶ歌を千秋楽まで全員が頑張って歌いきる事が出来るのか」

など等、一路真輝や花總まりら雪組メンバーを始め、演出の小池先生も

かなり悩みに悩んでいた風が見えます

 

でも、初日が開け、ウイーンの演出家に「素晴らしい」とべた褒めされた

雪組版は、その褒め言葉にふさわしい、ビジュアルも構成も歌唱力も

高レベルの出来でした。

当時、3階席の後ろで見ていた私ですら、オープニングが始まると

体が震えるような興奮を覚え、次から次へと場面が変わっていくごとに

エリザベートに感情移入し、一路トートの美しさと類を見ない歌唱力に

圧倒され・・特に「最後のダンス」は毎回、歌いきったあとの余韻に鳥肌

が立つほどでした。

そして花總まりの孤高のエリザベート この人がエリザベートを

演じなければきっとこんなに日本では受け入れられなかったのでは

ないかと思う程に孤独で突き刺さるような美しさを持つ人でした。

高嶺ふぶきの正統派の皇帝陛下、轟悠の「本当の男性みたい」と

言わしめたルキーニ・・どれも適材適所に人を配置したバランスの取れた

作品であったと思います。

 

あれから10年・・・・

初演と同年に再演された星組版は、麻路さきの圧倒的な「黄泉の皇帝」

ぶりと白城あやかの「悲劇の皇后」ぶりが観客の共感を得ました。

ついで宙組は歌唱力抜群の姿月あさとの「自分探しをするトート」と

続演で初演とは趣を異にした「感情過多のエリザベート花總まり

バランスが今一つだったものの、多分観客動員数は一番を数える組だった

と思います

 

過去3組を受けて、2002年の花組版は、新トップ春野寿美礼のお披露目と

娘役トップの大鳥れいのさよなら公演という事で、これまたチケット難でしたが、

「自己愛が強いトート」と「生命力溢れるエリザベート」のバランスはまたも

悪く、この時「私が踊る時」という新曲が2幕に入り、ここでトートとエリザベートの

対決のようなシーンが印象付けられ、「なぜあんなにトートを嫌いだった

エリザが最後共に昇天するのか」という疑問符が浮かび上がりました。

(それまで感じたことのない感想だったので印象的でした。考えてみれば

その通りなんですけど)

 

そして2005年月組版では、彩輝直のさよなら公演で、妖しさと弱さを

前面に出した変り種トートと、これまた男役そのものの瀬奈じゅん

エリザベートを当てて「肝っ玉母さん風エリザベート」ののみのカップル

版というちょっとキワモノっぽい作品になりました。

 

そして・・・初演から10年を経て、「エリザベート」は雪組に戻ってきました。

今回は新トップ水夏希のお披露目です。

水夏希のトートは「黄泉の皇帝」というよりは、「深海の王子様」実は

エリザベートの幼馴染だったんじゃないか?と思われる程親しみ深い

トートで、白羽ゆりのエリザベートは「身分違い、力量不足の為、よいお妃

になれなかった皇后」で、この二人の間には同じシンパシーを感じる事が

出来ました。

というのも、彩吹真央のフランツ・ヨーゼフ、未来優希のゾフィが、皇室と

しての威厳と高貴さを十分に発揮していたからだと思います。

そういう意味では、初演のバランス感覚を大事に持っている組だと

いえるでしょう・・・・・

 

正直、初演の雪・星を除いては

このエリザベートは一体どこに行ってしまうんだろう・・・個々の解釈が

好き勝手な方向を向き始め、統一した色を出せなくなる一方だ」

思っていたんですね。

というのも、宝塚は1996年に比べると男役の比重が高くなる一方で

娘役が大事にされなくなってきたこと。ゆえに本来主役である筈の

エリザベートが大事に演じられなくなって来た事が原因かとも思います。

(だから月組版のように男役がエリザを演じたりするんですよね)

 

でも、今回の雪組は、初演の解釈というのとは全く違うと思うんですが

「水夏希のトート」を頂点に各自がきっちりと合わせているといった面で

非常にバランスがとれ、適材適所に配置されていると感じました。

(欲を言えば孤独でちょっとノイローゼ入った皇后とその影という部分も

出して欲しかったな)

 

初演の時に感じた「震えるような感覚」というのとは程遠いながら、進化

していく舞台に、改めて「エリザベート」というストーリーの素晴らしさに

感動した一日でした

コメント (2)
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