ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

誰がために鐘は鳴る3

2011-01-09 21:39:55 | 宝塚コラム

 出演者について 

 

大空祐飛・・・ロバート・ジョーダン

鳳蘭と比べたら可哀相だなあと思うけど、先輩には叶わないって感じです。

でも彼女のロベルトはマリアの保護者のようでとても優しくて一途でした。

マリアに話す時とそうでない会話の時の声音をはっきり変えていたのがよかったのかな

ラブシーンなど様式美を要求される所ではきっちりやってくれて。

当たり前の事なんだけど、その当たり前さが嬉しい昨今です。

鳳蘭のように「体でロベルトを感じています」というよりは「ロベルトを構築しました」

という感じでしょうか。

台詞、ほとんど覚えているのでオペラグラスで祐飛君ばかり見てしまいました。

 

野乃すみ花・・・マリア

お披露目以来、演じてきた中では一番似合っていたと思います。

話し方に特徴があって妙に耳障りだったり、ぶりっこだなあと思う面もないわけじゃ

ないけど、他の作品に比べたら数段まし。

でも遥くららのような「純情さ」って望むべくもないのかなあ。

 

蘭寿とむ・・・アウグスティン

初演は但馬久美さんが演じた役ですね。

出番が少なくて気の毒だなあと思いましたけど、次期トップとしての貫禄は

十分でした。ロベルトと別れのシーンは、本人の組替えも相まって思わず泣けて

しまいました。

 

北翔海莉・・・アンドレアス

初演では立ともみさんでした。

これまた出番はないし、歌える彼女に歌わせない扱い・・・・こういう役しかないに

しても勿体無いよなあと。

とはいえ、おちゃらける事なくきっちり演じていました。

 

純矢ちとせ・・・ローサ

初演では高宮沙千さんでした。

歌唱力を考えると当然のキャスティングだなと思いますが、とにかく「若さ」が

邪魔してローサの大人の女性としての魅力があまり出ていなかったような気が

します。

カシキンを殺されてロベルトを殺そうとするシーンや、そうかと思えばロベルトに

気があるそぶりをする、エルソルドの死に取り乱す・・・どれもそこそこで、迫力が

なかったかな。

でもエトワールは最高。顔も本当に綺麗ですし本来は「姫」役者なんでしょうね。

 

すみれ乃麗・・・ルチア

顔もそこそこ綺麗だし、台詞がよく通るし、もうちょっとしまればいい線行きそうな雰囲気。

 

星原美沙緒・・・パブロ

初演は沖ゆき子さんでしたっけ?あの時のゆったりとして小心者のリーダーと

比べると非常に若くて今風。

でも星原さんは本来、こういう役じゃなくて誰かの「お父さん」を演じている方が

似合っているような気がするんですが。

ラストだから歌がついたのかな?

 

京三紗・・・ピラール

初演の大路さんと比べると小柄ですが、彼女なりに頑張っていたと思います。

でも間の取り方が今ひとつだったような?

 

他にはエルソルドの風莉じんの出来が一番 いやーー貴重な技術屋さんです。

 

今の宙組は非常にまとまっていてみんな楽しそうですね。

大空祐飛との相性がいいんでしょう・・・みんな彼女を慕っているという感じが出て

見てて安心します。

この流れのまま・・・と行きたいけどそうはいかないのが歌劇団。

どうなるんだろうなあ。

 

最後に我が家の姫の感想を・・・・・

姫ちゃんは1幕終わったあと「見てられない」といいました。何でかしら?と思ったら

鼻が邪魔にならないの・・・って台詞で引いちゃった。何であんな事をいうの?

僕の兎さん・・って兎年だから?しかもロベルトとマリアっていつもいちゃいちゃして。

見てるこっちが恥かしくなるわーー」

という、極力冷めた感想を言い出したので私としてはがくっ

あのさ・・・たった3日間の恋だからこそ激しく燃え上がっているわけよ。何でそれが

わからないかなあ。いつもいちゃいちゃって・・・・さらに

マリアの歌う「あなたの大事なあの寝袋を・・・♪」でのやりとりで完璧に下を向いて

しまいましたーーー

これこそが宝塚の真髄でしょっ」って怒ったら「今時の人はあんないちゃいちゃ

されても困るって思うわよ」だそうです。

悲しきセブンティーンだわ。

 

 

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誰が為に鐘は鳴る2

2011-01-09 19:02:47 | 宝塚コラム

さて・・・平成版の感想行きまーーーす

 

 セットはゴージャス

昔の映像が古くて必要以上に暗くて地味に見えるセット。でも今回は非常にゴージャスで

奥行きがあったと思います。

特に橋のセットは素晴らしくて、爆破シーンは壮絶でしたね。ま、もっとも昭和版は

橋が上に飛んでいましたけどーー

 

 よけいな演出するなってば

なんせキムシンに関しては「虞美人」の愚がありましたから、正直今回も心配しました。

最近、TCAかなんかで「虞美人」の一部分を再演している部分がありましたけど、

同じ台詞を言っているのに、何でこんなに説得力があるんだろうって・・・花組で見た

時の疑問が全部吹っ飛びましたけど。

で・・今回ですが、私全場面を見ているわけではないので大きな事は言えませんが

あまり改変はなかったのかな・・・と

歌が増えてマリアの独唱がなくなったり、パブロに歌がついたのに驚いたりとか

まあ、そういうのはありましたが一応納得してみていたんです。

でもっ

まさか2幕目でげげっというシーンが・・・・

それはまさにルチアとアンドレアスのシーン。

バックで「♪アンドレアスとルチア♪」と連呼してるし。そういえば1幕でも

「♪エルソルド♪」って連呼・・・こういうの、やめてくれないかなあ

さらにゴルツ将軍に手紙が届けられて手遅れとわかった時の

「♪終わった・・・終わった・・・♪」の歌。こんなにしつこく歌われたら、後のシーンが

全部無駄に見えるじゃないかっ

本当にがくっと来ました。

そうそう、2幕目の「幻想の結婚式」って初演でもあったのでしょうか?

あのひまわりと風車のセットがチープで・・・・綺麗な衣装を着せないといけないと

いけなかったんだとしてもいらなかったかなあ

ラスト、ロベルトが意識を失いそうになってから台詞までが妙に長すぎる感じが

しました。

歌なんかいれなくていいのにねーー

 

 戦争を知らない世代の戦争物

今回の舞台を見て感じたのは「戦争を知らない世代の戦争物」という事です。

初演も主役は「戦争を知らない子供達」の一人でしたけど、でも、今よりはずっと

「戦争」を身近に感じてきた世代ですし、まして専科クラスになればそれは経験

でした。

ゆえに第二次世界大戦時の心理状態を描くに当たっては色々共通するものが

あったはず。

でも、平成の御世になって戦争はますます遠のくばかり。

ゆえに演じ手にリアル感が感じられません。また、専科も含めてみな「若い」んですね。

その「若さ」がかえって邪魔って言うか・・・老成した感が誰もないってのはどうかなあと。

それはどこの組もテレビ界も同じだから仕方ないんですけど。

 

 間の取り方

今回、さらに感じたのはみんな早口で間の取り方がまずいという事です。

初演の人達はみなゆっくり口調でわかりやすかった。

時代の流れとはいえ、何でも早口で言ってしまうと老け役が多いわりには

老成感が出ませんし、間の取り方一つで笑ったり泣いたりするものですしね。

驚いたのは2幕で、ピラールがしつこく手相の事を話す時、ロベルトが

俺は手相なんか信じないって言ったろ」と怒るシーンで笑いが起きた事です。

何で?ここはシリアスなのに・・・・

これってピラールの間の取り方がまずかったのか?と。

自分の失態を怒らずにいてくれたロベルトの機嫌を取ろうと必死になるピラール。

でも、それが返って怒らせてしまう結果になった・・・・というシーンなんですけど、あまりに

間が悪くて笑いが起きたのかかな・・・・と

また、ローサがカシキンの事を責めるシーンや、一転してロベルトに恋心を抱くシーンも

間合いが悪く、いくらシーンがカットされているとはいえ、ちょっと・・・でした。

 

 ロベルトとマリア

昭和版のロベルトは圧倒的に指導力を発揮するカリスマ工作員。

マリアはまさにそこにいるだけでいい「可愛い女の代表」でした。

ロベルトがマリアを見る目線は「愛しいうさぎさん」そのもの。これって、相手を一人前

扱いしていないようにも見えます。

ロベルトにとってマリアは「癒し」そのものだったんですよね。

変わって平成版のロベルトは「頑張るイギリス人」といった感じ。

なんていうか・・・宙組再生の為に必死に頑張っている祐飛君とだぶります。

二人の恋は昭和版に比べると対等かなって・・・・

 

コメント (2)
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誰がために鐘は鳴る1

2011-01-09 12:45:52 | 宝塚コラム

昨日、VISA貸切で「誰がために鐘は鳴る」を見てきました。

なかなか人が入らない公演のようで、評価もまちまち。何でかな・・・・と。

大きな理由は

 作品が暗すぎる

 若手が生かされていない

 しつこい

等のようですが、個人的には「誰がために鐘は鳴る」は柴田作品の中でも1,2を

争う名作だと思っていますし、あの当時の星組の陣容に合わせて作られているの

ですから、今の宙組に合わないのは致し方ないのかなと。

でも、思うのは・・・歌舞伎ファンの場合、新作と同様に古典のよさもきちんと理解する

能力があるでしょう?

忠臣蔵」を見て「何で浅野匠頭は殿中で吉良を切りつけたわけ?部下の事を思えば

ああいう行動は理解出来ない」とか

いちいち大げさだわ

なんて感想は持たないと思うんですね。勿論、古典歌舞伎は時代を超えて人々の

共感を得るように出来ているわけで、一方の宝塚は「ベルばら」がそれに値する

とはいっても、脚本は時代の背景に合わせて作られているので、時代が違えば

共感できない部分も多いと思います。

だからこそ、宝塚は長年新作ばかり発表して来たわけで、今のように深く考えもせず

再演を繰り返してもかえって「宝塚は古臭い」で終わってしまうのではないかと。

とはいっても、見る側も「古典」のよさをきちんと理解する能力が欲しいと思うんです

単に「暗い」とか「しつこい」と思わずに、作者がどうしてこの台詞をここにあてたのか

とか、どういう意味で役者は話しているのか・・・とか、描かれた世界の事を少しでも

知って勉強して堪能して欲しい・・・と、思うんですけどね

 

昨日の舞台を見た感想の前に・・・・私が中学の時に見たテレビ版の感想を

書きたいと思います。

私は「ベルばら」鳳蘭の大ファンになり、「風と共に去りぬ」の

バトラーを生で見てすっかりとりこになって、そして「誰がために鐘は鳴る」

テレビで見た時、号泣して暫くは頭がぼーーっとしました。

そして録音したテープを毎日聴いて、台詞と歌を覚えて場面を思い出していました。

仙台にいたので劇場に通う事も出来ず、見るのはテレビばかりの世界でしたから

当時の舞台が「暗い」とか「老け役ばかり出ている」なんて思い様もなかったのです。

ただ・・・鳳蘭のロベルトが本当に素敵で、素直に「マリアになりたいな」と思いました。

キスのシーンで

鼻が邪魔にならないの?」の台詞を聞いたとき、

私もファーストキスの時は絶対にこの台詞を言おう」って決心して、後年、

うちの旦那とのキスの時に、これを言ったら全然通じなくて、かえってムードを

台無しにされたと思われた事を覚えています。

ロベルトの「僕の兎さん」

「君は可愛い」

「最後の所が一番気に入った」など、ロマンチック

で女性を心から大切にする台詞のオンパレードは、その後の私の人生においての

「男性像」の理想になりました。

マリアが陵辱された話が出てきますが・・・当時は、その意味があまりわかっていなかった

と思います。ただ「ひどい目に合わされた」彼女に対して「ますます君を好きになった

っていう優しさが嬉しくて

彼氏は・・夫は・・・彼女の全てを無条件に受け入れる人じゃないと嫌だ

女としての性的役割を押し付ける人は嫌だ キザだろうがなんだろうが、ロマンチック

な台詞をちゃんと言ってくれなきゃ嫌だ・・・そんな理想を固めてくれたのが

鳳蘭のロベルトだったわけですね。

(無論、うちの旦那様だって昔はロベルトみたいだったのですが・・・いや、

アンドレか。月日の惨さを痛感する今日この頃)

 

宝塚の世界観というのはどこまでも「女性を大切にする心」だと思います。

許容して抱擁して慰めて・・・究極の「愛」です

ゆえに「誰がために鐘は鳴る」は宝塚の真髄なんだと思います。

 

鳳蘭のロベルトは背が高くて台詞回しがゆったりしてて感情を表に出さない

言い方・・それがまた男らしくて頼りになります

しぐさの一つ一つがハリウッド俳優のそれみたいで、またそれが自然なので

ついうっとりしてしまいます。

さらに寺田先生の下から上に上がっていくメロディと、高音が伸びる歌い方がぴったり

合っていました。

専科に囲まれている時は「素敵な若造」で若手の前では「頼りになる兄貴」で

マリアに対しては「包容力だらけで彼」です。

その包容力は今も健在。ついこの間、「COCO」を見た時、ノエルが可愛くて仕方ない

って顔をするココに「いいなあ・・・ノエルになりたいなあ」って素直に思いましたもん。

そんな思いをさせてくれる男役は昨今はいませんね。

 

遥くららのマリアはめちゃくちゃ背が高くて硬い人でしたが、今の娘役にはない

純情」さが溢れていました。

専科のお姉さまの中でひときわ清純な印象を受けるので、「鼻が邪魔にならないの」

の台詞もわざとらしくないし、わりと積極的にロベルトに迫るシーンもありましたが

それは素直さと受け止める事が出来ました。

高宮沙千のローサはどこまでも大人の女性で、悲しみが溢れていましたし、圧倒的な

歌唱力に驚いたものです。

この作品には目には見えない場面を言うシーンや、思い出に浸るシーンが多々

ありますけど、どの役の人もその「遠い目」が上手でリアル。

ゆえに観客もその場にいるような気になれるんですね。

 

圧巻だったのは大路三千緒さんのピラール。

あの迫力とどっしり感は彼女にしか出せないムードでしたよねーー

 

今、見直すと確かにセットも衣装も地味で暗い・・・ひたすら作戦の話ばかり進み

それ以外はロベルトとマリアがいちゃいちゃしているだけ・・って感じですが

みんな戦争を経験していたり、戦後すぐの生まれの人達ですから、常にそこに

緊張感が漂い、たった3日間の恋も納得出来たんだと思います。

アウグスティンの「ああ平和かあ」「戦争なんてくだらねえ」は戦争を経験した

作者ならではの台詞で、実感がこもっていたしだから拍手もおきたのかなあ。

 

ラストシーン、ロベルトがマリアに

別れるんじゃないからさよならは言わないよ」

って言いながらアウグスティンに「さよならアウグスティン」って言うのが秀逸で

さらに「あの坊主あたまを頼むよ・・」で涙がぽろぽろ。

来たな・・・ようし、気を失って倒れるまで撃ち続けてやるぞ

で号泣

ああ・・今も・・・・  

以上、思い出話でした。

正直、原作も映画も挫折した私なんですけど、宝塚版は素敵な出来だったと

思います。

 

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