ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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月組・明日海版「ロミオとジュリエット」2

2012-08-31 17:23:14 | 宝塚コラム

 全員歌える・踊れる組

今回の月組を見て最初に思ったのは「全員歌える」稀有な組という事。

誰の声にも不安がないっ すごいーー

歌えるマーキューシオなんて初めてじゃないか?

常々「ロミオとジュリエット」は芝居ではなくコンサートと思っているので

名曲の数々を上手に歌って貰えると、それだけで得した気分になります。

特に高音ののびがみないいので、安心して聞いていられました。

若い組というのもあるんでしょうけど、みんな元気で・・それは素晴らしい事ですよね。

 

 歌詞の意味を伝えたい

通常、こういう作品は歌ばかりの為、歌唱力にのみ頼る傾向があり、芝居が

おろそかになりがちなのですが、今回の月組は「歌詞の意味をしっかり伝えよう」

として歌っていたと思います。

 

 出演者について

龍真咲・・・ティボルト。鳳稀かなめのキレっぷりには及ばないけど、何となく

       陰では女性に優しい人なのかと思わせる造り。特にキャピュレット

       夫人との関係は「ツンデレ」関係で、本当は愛し合っているんじゃない

       かと思う程。

       とはいえ、そもそもティボルト役者じゃないので、体を大きく強く見せよう

       とするあまり、振りが大げさすぎるんじゃないか?と思う事もしばしば。   

愛希れいか・・・美人じゃないけど可愛らしくて元気で積極的なジュリエット。

          普通に「16の乙女」に見えたし、歌えるし。大人の階段を登る

          事ができるかどうかが課題。

明日海りお・・・ロミオ。そもそもロミオに向いているといわれていました。でも、1幕は

          やたら落ち着き払っててきらきら感がなく、ジュリエットに一目で

           恋をした・・には見えず。「結婚式」も何となく「ごっこ」的な。

          (それでいいのかもしれないけど)

          2幕目、マーキューシオが死んだあたりから本領発揮。ほっ

          「僕は怖い」は好きかも。

美弥るりか・・・マーキューシオ。小柄で女顔なのに、あれだけ荒っぽい役を

          無理してやってる感じ。

          明日海との同期同士の親密さもあまり・・

          フィナーレ銀橋はオーラ不足っていうか。

星条海斗・・・ベンヴォーリオ。いつも考えなしに声を張り上げている印象が

        あるけど、今回はよく考えて歌っている感じ。

        「どうやって伝えよう」は素晴らしかった。けど、演技力はイマイチ。

        学年的にもう少し落ち着いていないと。

紫門ゆりや・・・パリス伯爵。瀬奈じゅんに似てるなーーという印象ですが

          どこまでもネアカで間のいいパリス伯爵でした。

憧花ゆりの・・・キャピュレット夫人。こんなに綺麗な人だったっけ?

          ドレスも良く似合って、いい意味で当時の貴族の夫人的

          「世俗っぽさ」を出していたような気がします。不倫しても惜しく

          ないわ。

越乃リュウ・・・キャピュレット卿。一樹千尋さんはいかにも「キャピュレット家の当主」

         でしたが、こっちはジュリエットのパパという感じ。

           肝心な所で冷徹になれないような?

美穂圭子・・・ばあや。あのメイクにはびっくりしたけど。

         でも歌のうまさは絶品だし、ジュリエットへの愛が伝わってきました。

英真なおき・・・神父。どこまでもロミオを小さい子供のように扱う姿がいいなと。

          ロミオとジュリエットにとってただ一人の理解者だったんだなと。

 

本当は煌月爽矢珠城りょうをしっかり見るべきだったのかもしれないけど

両者共に「普通」の出来で。

むしろ大公の輝月ゆうまがすごいなあと。下級生のプレッシャーをはねのけて

頑張っていましたよね。

 

みんな歌が上手・・・なのはいいけど、龍・明日海・美弥・星条・・・と

同じようなキャラで同じような声で同じような歌い方なのが気になる。

みーーんな優等生気質で冒険がなく、突出しないのはいい事なのかどうか。

歌が下手でも悪声でもとにかく「目立って目立ってしょうがない」っていうのが

一人や二人いないとなーーと思いました。

でもほんと、いい作品だなあって。やっぱりラストは泣いたし。

ヒップホップフィナーレには驚いたけど、若い組だからそれもあり?

せめてデュエットダンスにリフトくらいは・・・・いやいや、とりあえず

おめでとうございます

前途多難な船出ではあるけど、元々強そうだし、頑張って欲しいです。

100周年にむけて。

 

 

コメント (4)
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月組・明日海版「ロミオとジュリエット」 1

2012-08-31 16:25:33 | 宝塚コラム

 昨日はほぼ1ヶ月ぶりの観劇で、とても楽しかったです。でも腱鞘炎・・・というか

肩から手にかけて痛んでしまって、観劇中も腕をさすってしまいました。

諦めてた月組「ロミオとジュリエット」を見る事が出来てよかったー

 

 ロミオとジュリエット 

 

 トップお披露目なのにトップが主役じゃない大劇場公演

今回の私のように一度きりの観劇がたまたま明日海りおだった場合、

上記のような事になるわけで。

劇場に入る前、ちょっとその事を考えて「ある意味貴重」と思いましたが

フィナーレに入る前までの段階で「これってやっぱり変だよ」と思いました。

トップお披露目なのにトップが主役じゃない公演、しかもトップさんは

2幕目の初めで消えちゃうの・・・・フィナーレのデュエットダンスも

「ティボルトとジュリエットのダンスって変じゃない?」

知らない人がみたら、「何で?」と思うか、あるいは龍を明日海と思うかも。

リピーターで両方見る人には「慣れちゃった」ですむかもしれないけど。

 

 トップ至上主義という宝塚のシステム

ベテランファンの方との会話

私 「榛名由梨さんが月から花に来た時って・・・今考えるとすごく異例ですね」

ファン 「複雑な思いはあったけど、あれはベルばらの為だったし。でもやっぱり

    安奈ファンとしては心配だった。榛名さんの方が上級生だし」

小学5年生だった私がテレビで「ベルばら」を見た時、主役はオスカル

だと思っていたし、フィナーレで二人降りしてくるのも普通に受け入れていた

ものですが、当時のファンはそれなりにハラハラしていたんですよね。

だって榛名さんは月組でベルばらのオスカルを演じていた後だったから。

けれど・・・大昔の宝塚を紐解いた時、こういう人事はいくらでもあるんですね

そもそも「トップスター」というシステム自体が曖昧で、作品のイメージによって

いくらでも変わりえる存在だったから

当時は別にトップじゃなくてもちゃんと見せ場を作ってもらえたし」

という事で、納得していたんです。

「ベルばら」以降、トップスター至上主義、男役至上主義になって、

トップの権威がものすごく大きくなりました

お披露目やさよなら公演を大々的に行ってチケットを完売する、さらには

「トップ経験者」という肩書きがその人の後の女優人生まで左右する・・・・という

ような時代です。

昔は単純に「ダブルトップ」なんて呼称を使っていたのに、一時「主演男役」

になり、今はまた「トップスター」になっている。

トップスターは1人でなければいけない・・・そんな呪縛の中でどうしても

推したい二番手がいる。ゆえに「準トップスター」にして、あくまでも

「二番手」という形をとりつつ、2作品も主役の役替わりをさせる。

ごまかしなんだけど・・・階段降りだけは譲らないんだからいいじゃん?的な?

そこまでして拘る「トップスター」って何?

私達見る側はトップを頂点としたピラミッド型のシステムが好きで受け入れて

来たのに。

トップを支える人達の団結力を信じて、応援して来たのに・・・

日替わりで主役が交代、相手役が変わるめまぐるしい舞台に慣れなくちゃ

いけないのねと。

トップコンビのラブラブを期待してみている身としては釈然としないんですが。

 

 宝塚システムに合わない「ロミオとジュリエット」

宝塚のよさは「スター」に優しい所だったと思うんですね。

お披露目にしてもさよならにしても、それにふさわしい、トップがもっとも輝く

役柄を与えられて、組全体がまとまって盛り上がってーーみたいな・・

植田伸爾作品は古いとかいうけど、最もスターをスターらしく輝かせる作品です。

ゆえに「ベルばら」だって「オスカルとアンドレ編」「フェルゼン編」他外伝と

その時のトップにあわせて作品が変わってきたのです

それが宝塚のシステムに合っていたから。

座長芝居、大衆芝居の王道「ちょっとやそっとストーリーや設定を変えてでも

見せ場を作る」というシステムです。

もし、これに「ロミオとジュリエット」を当てはめると、「ティボルト編」が出来るとか

ティボルトが最後まで死なないとか・・そういう変化を求められます。

また、昔「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンとジャベールの役替わりが

ありましたけど、これは二つの役が拮抗していたからこそ、どっちの役を演じても

面白みこそあれ「格下げ」にはならなかったんだと思います。

でも、「ロミオとジュリエット」の場合、主役はあくまで「ロミオ」です。

どんなに頑張ってもティボルトを主役には出来ません

(宝塚オリジナルなら出来るけど・・・あくまで海外ミュージカルだから)

フランス版をYOU TUBEで見た時、何となくティボルトが3番手に見えました。

ベンヴォーリオの方が上?(役者の上下関係のため?)

それをヅカ版にする時にティボルトをあそこまで格上げしたんだろうなあって。

でも主役を演じないトップの為に、ストーリーを変えてでも格上げするわけには

いかない作品です。

そういう融通性のない作品を選んでお披露目に持ってきて、尚且つトップスターを

敵役にして2幕目最初に死なせてしまう・・・全然優しくない。

歌劇団は「龍真咲ロミオ、明日海りおロミオ」両方見るという前提でやってる

んでしょうけど、そんな熱烈なファンじゃない方から見ると貴重な一回が

「トップが主役じゃない」という事が非常に大きな問題なんですよ。

 

前回の雪の時もそうだけど、一夜にして恋に落ちて一瞬で死を選ぶ程

非現実だけど夢の世界の物語の主役コンビの片方が、日替わりなんて。

そういうことすると、コンビが「お仕事」に徹して演じているってわかってしまって

のめりこめないのよ。

劇団四季とかーー帝劇のそういうシステムがいやで宝塚見てるのに

何で同じ事するんだよーーと。

やっぱり素直に「龍真咲&愛希れいかおめでとう!」って言ってあげたいのにね。

 

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