ふぶきの部屋

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韓国史劇風小説「天皇の母」174(常にフィクション)

2014-12-19 07:00:00 | 小説「天皇の母」161-

寝耳に水だった。

突然、テレビのニュースで「ノリノミヤ様、結婚内定」と出た時。

そういえば、妹の事をすっかり忘れていた皇太子だった。

「適応障害」という病に苦しむ「妻」の為に、出来るだけ

「妻」の意思を尊重しようと思い、それでへとへとになっている自分がいる。

皇后の誕生日にはあらゆる批判を遠ざけて、マサコの意思を尊重し

アイコだけを連れて参内した。

今のマサコに誰かの誕生日を祝うとか、礼儀正しく振る舞うとか、そういう事が

出来るとは思わなかったから。

病名が発表されると同時に、朝も起きなくなったマサコ。

アイコをお付の者に任せきりにして、部屋に閉じこもっている。

何をしているのかはわからない。

連絡事項があればドアの隙間からメモが・・・・・

当然、職員達は戸惑い、「健康に悪いし、掃除などの職務に支障をきたす」と

訴えられたが、皇太子は何もしなかった。

ただ「あとはよろしく」と言っただけだった。

結果的に職員の勤務体制を変えざるを得なくなり、ここに完璧に

東宮御所における「マサコ独裁体制」が出来上がった。

マサコは朝起きず、夫に顔を見せる事もほとんどない。

ただ、「外食」の時は話が別だった。

週に一度は「外食」を・・・と言われ、それが夫婦で顔を合わせる日になった。

東宮御所で、食事と言えば「大膳」が作る健康を第一に考えた料理だ。

しかし、マサコが食べたいのはそんなものではない。

フランス料理、中華、イタリアン。それも三ツ星以上のレストランの個室を貸切り

最低3時間はいすわるというものだった。

いすわる・・・というのは、ほぼ毎回、閉店時間を過ぎても帰らず、人知れず

店の者から「やっかいな客」として見られている事だった。

どの店も東宮御所から来店の意を伝えられると「今日は何時に帰れるんだろう」と思う。

「長尻」という言葉は「引き際を知らない客」への侮蔑の言葉であったが、東宮家に

関してはよい言葉のようだった。

 

新潟で地震が起きた時も、側近は

陛下がすぐにお見舞いに行かれるので両殿下も」と勧めたがマサコは

「病気」を理由にそれを無視した。

それどころか一家で御料牧場に遊びに行ってしまった。

小松菜の収穫を楽しみにしている」と東宮大夫に発表させたのだが

それ以来、天皇・皇后、兄弟たちとも何となく疎遠になってしまった。

はっきり言って皇太子には気持ちの余裕がなかったのだ。

引きこもっているとはいえ、マサコの機嫌はころころ変わり、そのたびに

翻弄されているから。

外食一つにしても、必ず予約の時間に間に合うように出てくるかとえば

そうでもない。

突然「行きたくない」と言い出す事もある。

そうはいっても東宮御所の中だけで過ごすには退屈なのだろう。

マサコの目は、夜の都内に向き、ワゴン車を走らせてきらめくネオンの中を

突っ走るという事をやってのけたり、会員制のクラブに入り、女王のように

振る舞う事もあった。

 

そんなこんなで妹の婚約をニュースで知るハメになった皇太子は

心の中にざわざわと黒い影がうごめいているのを感じた。

しかし、それを言葉でどう表現したらいいのかわからない。

そんな夫の心を見透かすように、マサコは言った。

信じられない。一言の報告もないなんて頭に来ちゃう。

あなた、兄だと思われてないんじゃないの?

仮にも皇太子なのに」

そうか・・・と皇太子は思った。

自分の黒い影の正体はこの感情だったのだ。

仮にも皇太子。しかもノリノミヤの兄。それが妹が誰かと付き合っている

事も、婚約した事も知らなかったとは。

皇太子殿下におかせられては、現在、妃殿下の病気療養中であり

御心の負担を考え、あえてご報告されなかったのでございます」

ノリノミヤの側近にそう言われてもすっきりしない。

相手の黒田とかいう人は誰なの?」

アキシノノミヤ殿下のご学友でございます」

それを聞くと、マサコは「あらーー」と大声を出した。

あっちは二人でぐるなんじゃないの?完全に干されたわね」

そしてくすくす笑った。

マサコの笑いは不愉快で、ノリノミヤの側近は目をそらす。

しかし、皇太子はその言葉を真に受けたようだ。

「妹が結婚相手を探しているというならこっちだって、もっといい人を

紹介してあげたのに」

うそぶいてみても、「それはもう」とかわされるばかり。

とりあえず「おめでとう」と言ったのだが、皇太子の心はなかなか落ち着かなかった。

長い間、妹の存在を忘れていたような気がする。

10歳も歳の差がある妹。

生まれた時は・・・・生まれた時は喜んだ筈だ。

少なくともアーヤが生まれた時よりは。

それでも複雑だったろうかと皇太子はずきっとする。

ノリノミヤは小さい頃から歳の近いアーヤが大好きで仲がよかった。

自分だって決して可愛がらなかったわけではない。

ただ、歳が違うし、女の子とでは話も合わないし。

大きくなってからも、妹は母のように美しくならなかった。

いつもメガネをかけて、時代劇やアニメを見てるか、カワセミの研究に夢中で。

生物学は父や弟の方が得意。

バードウォッチングも全く興味がないし。

もう少し、目がさめるような美女だったらなあと思った事も一度や二度じゃない。

ノリノミヤは義姉になったキコとも非常に仲がよくて。

知らないうちに距離が出来て、しらないうちに疎遠になったという感じだ。

それでも平気だったのは、心のどこかで「妹は一生皇居で暮らす筈」という

根拠のない思い込みをしていたからだろう。

皇居で暮らすというのは、つまり一生独身で、妹で、誰かのものになるとは

考えていなかったという事だ。

たった一人の妹が、全く知らない男と結婚する。

しかも弟の学友と。

ああ・・・・何とイラつかせてくれることだろう。

 

近いうちに参内し、よくよく話を聞かなくては。

なで兄をないがしろにしたのか。

そう思っている矢先、オワダ家に訃報が舞い込んだ。

エガシラ家のスズコ・・・すなわち、マサコの祖母が亡くなったのだ。

その一報が入るや、ヒサシからの指令も飛んだ。

スズコの為に記帳所を設けよ」

「東宮家から特大の花を添えよ」

「東宮一家そろって通夜と告別式に参加せよ」

皇太子は自分の妹の事などに構っている暇はなくなった。

すぐに記帳所を設けさせ、通夜に家族そろって顔を出す。

スズコはマサコの祖母であり、あの「チッソ」会長夫人でもあった。

本来なら皇太子が弔問に行くような家ではない。

しかし、ヒサシの要請で宮内庁は動かざるを得なかったのだった。

 

妹の結婚話より、エガシラ家の弔問の方が皇太子には大事だった。

皇太子の心の片隅にひっかかるトゲを抜いてくれたのはヒサシだった。

「ノリノミヤ様のご結婚は目出度い事ですが、兄上をないがしろに

するのはよくありませんな。皇太子殿下はいずれ天皇になられるのですから。

しかしまあ、宮様の嫁ぎ先は地方公務員でしょう?

大した所ではない。アキシノノミヤ殿下の横のつながりなんて所詮その程度。

お気になさる事はありません。

むしろ、宮様がご降嫁された後をお楽しみに」

お楽しみに・・・・・どういう事なんだろう。

 

まさか性急に「有識者会議」が立ち上げられて「アイコ女帝」擁立の

動きになる事を、皇太子はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

コメント (16)
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