幽霊パッション 第三章 水本爽涼
第四十六回
「上山さん、このスイッチをONにすれば霊磁波ビーム装置のビーム量を、…つまり霊動力の強弱を自由に変えることが出来るんです」
「ほお~、霊磁波ビーム装置って、いつやらマヨネーズへ照射された装置ですよね?」
「ええ、あちらの装置室にある装置です」
「なるほど…。無線LANのようなものですか?」
「はい、まあ…。少しメカニズムは違いますが、そのように考えて下さって結構です」
佃(つくだ)教授は偉ぶる素振りも見せず、上山へ丁寧に返答した。
「それは素晴しい! 上手くすれば、私は元へ戻れるでしょうね」
「ええ…。首尾よくいけば、の話ですが…」
「といいますと、何か問題でも?」
「いえ、今のところは大丈夫なんですが、副作用が、まったくない、ともいえないものでして…」
「それで今、確認を?」
「はい。最終段階の詰め、というところです」
「そうでしたか。なにぶん、よろしく頼みます」
「ははは…、それが私の仕事ですから」
「いやあ、そうでした」
二人は顔を見合わせて笑った。
「で、先ほどの正義の味方活動というのは?」
「はあ…、それなんですがね。教授もご存知だとは思うんですが、成果は、それなりに出ておるんですよ。例えば、武器輸出禁止条約の批准とか、世界各地の内戦や紛争が沈静化、消滅したことなどですが…」
「ああ、はい。よく知ってます。それは上山さん達の行動によるものなんですか?」
「いやあ…、行動などと云われりゃ誠に恥かしい限りなんですが…。なにせ、それを実行したのは幽霊の平林君なんですから。私は助言程度のことしか、しておりません」
上山は少し引いた。