幽霊パッション 第三章 水本爽涼
第六十回
「ああっ! そんなこたぁ~、どうでもいいんだ。君と私は気が合う所為(せい)か、どうも話が、とんでもない方向へ進んでいかん。話を戻そう…。とにかく、今回はこれで私達のやることは、やったってことで、あとは結果待ちだ」
『はいっ!』
「それじゃ、今日はこれまでにしよう。疲れたから、風呂に入るよ」
『僕はこれで失礼します。結果の兆候が現れれば、またお呼び下さい』
「ああ…」
幽霊平林は、いつものように格好よくスゥ~っと消え去った。
上山と幽霊平林の計算は当たっていた。マスコミ媒体が一斉にトップニュースや記事で取り上げたのは、幽霊平林が念じた日から、わずか二日後だった。上山は、その日の朝、朝刊を手にした途端、結果の兆候が出たことを悟った。トップ記事の大見出しを目にすればそれも当然で、上山ならずとも誰しもが気づく記事だった。
━ 国連 地球語部会発足 ━
- ユネスコは教育や科学の振興を通じて戦争の悲劇を繰り返さないという理念に基づき、その究極の理念の模索を諮ったが、わずか二日という奇跡的な短期間で、その目的を果たす最も効果的方法として、地球(世界)語開発に着手する決議案を満場一致で可決した。今後、二年以内に世界各国の言語学者の手により研究及び開発が行われることとなった。完成後は、世界各国の義務教育機関における必須科目として採用されることになる。また、国連各機関での言語や印刷物等は、完成以降、地球(世界)語に統一されることも決定された。 -
「なるほどな…」
上山は記事を読みながら、応接セットに腰を下ろした。