水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

それでもユーモア短編集 (80)リバウンド

2019年05月29日 00時00分00秒 | #小説

 最近は体重の増加を減らそう…と、しなくてもいいのに減量[ダイエット]する人が増えている。マスコミが生活習慣病を避けるため・・とかなんとか、ひっきりなしに捲(まく)し立てるということもあるが、本人、特に女性は容姿を美しく見せよう…という傾向が強く、お世辞にも綺麗とは言えない女性が、「私、ダイエットしてリバウンドしちゃったの…」とかなんとか言うのを聞くにつけ、勝手にリバウンドすればっ! と思いながらも言えず、笑って、「そうなんだ…」と返さねばならなら苦痛は並大抵(なみたいてい)のものではないだろう。^^ それでも当の本人は、またダイエットしようとするのだから困りものだ。「したって同じよっ!」 とも言えず、『リバウンドくらい、すぐ戻(もど)せるわよっ!』と、心にもない言葉を口にせねばならない立場も辛(つら)いものだろう。^^
 とある普通の奥さん二人の会話である。
「あら、嫌だわっ! リバウンドしたなんて、ちっとも見えないわっ!」
「そうお? うちの主人なんて、『お前、それでダイエットしたのかっ!』って、こうよっ! やってらんないわよっ!」
 話し手の奥さんは息巻いた。
「そんな酷(ひど)いことを?」
 聞き手の奥さんは、『確かに…。ご主人がそう言うのも無理ないわね…』と冷(さ)めて思いながら、そうとも言えず愛想笑いして話を流した。
「そうなのよっ! こうなったら10Kg落としてやるっ!」
「見かえしてやんなさいよっ!」
 聞き手の奥さんは、『無理無理っ! 絶対、無理っ!! またリバウンドするから、やめた方が…』と、また冷めて思ったが、そうとも言えず、ふたたび真逆(まぎゃく)の言葉を発して援護(えんご)した。
 このように、リバウンドした分をそれでも戻(もど)す話をすれば、内心で否定されるから、やめた方がいい。^^

                                  


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