決断力が足らないと物事は成就しなかったり中途半端に終わってしまう。特に、集団や組織になると、頂点に立ち、全てを動かすリーダーの決断力は重要となる。
またしても、^^ とある中央官庁である。(29)で登場した課長の蕨(わらび)が、またしても深刻な顔で予算差引簿を眺めている。とある与党の仕分けによって減額を余儀なくされた足らない予算をどう捻出(ねんしゅつ)するか? に悩んでいるのである。
「課長どうされましたっ!?」
気づいた課長補佐の筍(たけのこ)が、炊いて食べれば美味(おい)しくなる春めいた顔で蕨に訊(たず)ねた。
「予算が削られちまったよっ! さてと…筍君、君ならどうする?」
「どうするも、こうするもないじゃないないですか、課長。減額されたものは復活させればいいんですよっ! そこまでの法的強制力はないんですから…」
「と、いうと?」
「はい、これ…」
筍が蕨に手渡したもの、それは一枚の流用充当通知書だった。
「ああ! その手があったかっ!」
蕨の顔が一瞬にして明るくなった。
「足らなくなっても足りるでしょ、課長っ!」
「ああ…」
二人はニンマリと笑った。
減額され足らなくなったとしても、法的強制力がなければ、このように科目を変えて予算は復活する訳だ。これを止める決断力は残念ながら政党にはない。政官は癒着(ゆちゃく)もするが、決断力の構造は完全に異質なのである。^^
完