家へ入る収入が足らない場合は、出費を切り詰めるか、副収入を考えるしかない。生活に困窮(こんきゅう)するほどでない場合は、切り詰めて出費を少なくしようとするだろう。経済学者のエンゲルは、この状況を把握(はあく)しようとした。皆さんもよくご存知のエンゲル係数と呼ばれる数値である。この数値は、全収入額に占める食費の割合を示すものだ。食費に占める率が高ければ高いほど貧困である・・と彼は説いた。収入が足らないのだから、その家のご主人以下、家族の方々に頑張ってもらう他はない。まあ、ハチマキを巻いて・・と、までは言わないが…。^^
とある中央官庁である。課長の蕨(わらび)が深刻な顔でジィ~~っと収入調停簿と予算差引簿を交互に見つめている。
「課長どうされましたっ!?」
気づいた課長補佐の筍(たけのこ)が、茹(ゆ)でて食べれば美味(おい)しい春めいた顔で蕨に訊(たず)ねた。
「収入調定額をもう少し高めに要求すべきだった…」
「そうですよね…全然、足らないです」
筍は、そんなことを言ってもあとの祭りですよっ! …とは思ったが、そうとも言えず、蕨に同調した。
「全然、ということはないんだよ。もう少しなっ!」
「はあ、もう少しですよね…」
「もう少しってのは、君の腕次第だという意味だよ」
「はあ…」
「歳費の収入がコレだけなんだからさぁ~、あとは歳出をどう抑(おさ)えるか、これが君の肩にかかってるんだぜ」
「はあ…」
筍は今にも蕨に湯がかれ、美味しく食べられそうな顔になった。
収入が足らないと、支出担当者は管理者に美味しく食べられる危険性が高まる訳だ。^^
※ 年度末、筍さんは予算残額を出し、美味しく蕨さんを食べ返したということです。めでたし、めでたし…。^^
完