水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (23)頭(あたま)

2022年07月17日 00時00分00秒 | #小説

 頭(あたま)が足らない・・などと言う。この、頭が足らないという言い方には、ふた通りの意味がある。一つの意味は、人の頭数(あたまかず)が足らない・・という意味だ。もう一つの意味は、お馬鹿・・という意味である。まあ、どちらにしても頭は足りた方がいいに決まっている。^^
 中央官庁のとある大臣官房のとある一室である。
「どうも私は頭が足らんな…」
「いえ、審議官は十分、やっておられます…」
「ぅぅぅ…君だけだよ、二宮君っ! そう言ってくれるのはっ!」
「いえ、私だけではないと思いますが…」
「そうかねぇ~、そう思ってくれるかいっ?」
「ええええ、そう思います。そう思いますともっ!」
 そのしばらくしたあと、そのとある一室の二つばかり離れたとある一室では、同じような光景が見られた。
「どうも私は頭が足らんな…」
「いえ、事務次官は十分、やっておられます…」
「ぅぅぅ…君だけだよ、二宮君っ! そう言ってくれるのはっ!」
「いえ、私だけではないと思いますが…」
「そうかねぇ~、そう思ってくれるかいっ?」
「ええええ、そう思います。そう思いますともっ!」
 二宮官房長は頭がよく、両者に動いたのである。
 出世するには頭が足ることが必要で、足らないと出世は諦(あきら)めた方がよさそうだ。節分に鰯(いわし)の頭がなぜ選ばれたのか? まで私は知らない。^^

                   完


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