水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

SFユーモア医学小説 ウイルス [60]

2023年03月13日 00時00分00秒 | #小説

『まあ、ともかく続行して情報をっ!』
『分かりました…』
 助手が去り、またしばらくすると、助手がふたたび現れた。
『また君か…。なんだい?』
『今度の情報は、私が解析した結果、もっとも信頼し得る情報かと…』
『本当かい? どうも君の情報解析は信用できんのだが…』
『いえ! 今度の情報は本当にっ!』
『そうかい? まあ、ともかく聞くだけ聞こうじゃないか』
『はい。今度の情報は%&#%%#$%$・・という情報で、つい数時間前のことのようです』
『ほう! なかなかの情報だ。で、現在地はっ!?』
『今現在、尾行して追跡中だとのことですっ!』
『よろしいっ! そのまま追跡を続行させなさいっ! 追って指示をするとっ!』
『分かりました。では…』
 慌(あわ)ただしく助手のウイルスが去ると、老ウイルスは腕を組まず[ウイルスですから腕はありません^^]、回転しながら考え始めた。
『こうしちゃおれんっ! とはいえ、海老尾さんは今時分{昼過ぎ}だと研究所で執務中だし、いつもの就寝時間までは、まだ10時間ばかりもある…』
 老ウイルスは弱った弱った…と回転速度を増し、ふたたび考え始めた。
 その頃、近くの大衆食堂、鴨屋から研究所へ戻った海老尾は、コーヒーを淹れながら、凝った肩を回していた。
「どうです? 所長も…」
 海老尾は、今日の鴨屋の肉野菜定食は美味(うま)かったな…と思いながら、店屋物の鰻重を食べ終えた蛸山に訊(たず)ねた。
「ああ、有難う。少し薄めを一杯、頼もうか…」
「はい…」

                   続


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