水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

SFユーモア医学小説 ウイルス [48]

2023年03月01日 00時00分00秒 | #小説

「ははは…所長[も]、の、[も]はいらないだろ」
「研究所の誰もが、成るように成る・・と思ってやってるんでしょうか?」
「全員が・・とは言えんだろうな。所員の中には、必ずなるっ! と意気込んでる者も少なからずいるはずだ」
「やけに、はっきり言われますね?」
「そりゃそうさ。私も伊達や酔狂で所長やってるんじゃないからね」
「それに、ここの先端医療ウイルス科科長も、です」
「ははは…この場合の、[も]はいるがね」
「所長のお仕事は大丈夫なんですか?」
「大丈夫な訳がないだろ。そんなのやってたら、身体が幾つあっても足らない」
「と、言われますと?」
「総務部長の波崎君に代理を任せてあるのさ」
「影の所長ですね?」
「ああ…。月に二、三度は書類に目を通すがね…」
「ははは…所長は学生の一夜漬けより上を行きますねぇ~」
「兼務をまともにやってりゃ過労死だよ、海老尾君」
「ああ、それはまあ、そうでしょうが…」
 海老尾は、まる投げをそれ以上深く追及しなかった。

                   続


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