水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

SFユーモア医学小説 ウイルス [59]

2023年03月12日 00時00分00秒 | #小説

 こうして老ウイルスは老骨に鞭うち、様々な情報網を駆使することで悪玉ウイルス情報を集め始めた。いや、集めるだけではなく、秘書ウイルスを使って解析をも始めたのである。^^
『あの…とあるウイルスから情報が届きました』
『どんな情報だい?』
『$#$%&$#$#(&&$・・と申しておりますが…』
『…$#$%&$#$#(&&$だけじゃ追跡できんだろっ!? もう少し詳しく知りたいと伝えなさい』
『分かりました…』
 助手ウイルスは、ただちに情報を送ってきたウイルスに伝達した。ウイルス間の伝達は私達の携帯やPCによる伝達より早いのである。秘書は美人だろうな? などとお思いの方もおられるだろうが、ウイルスには性別がありません。^^
 三日ばかり経つと、多くの情報が老ウイルスの下に集められた。助手はそれらを解析し、的確だと思われる情報をピックアップして老ウイルスへ伝えた。
『#$""""$""%%・・という情報が届きましたが…』
『#$""""$""%%か…。これはレンさんに伝える必要がありそうだ。で、それはいつだと?』
『二日前だそうです…』
『二日前か…。二日前なら現在地は特定できないな…』
『ですね…』
『ですね、じゃ困るんだよっ!』
『すみません…』
『いや、君が謝るようなことでもないんだが…』
 老ウイルスは秘書ウイルスに弁解した。それは恰(あたか)も、研究所の蛸山所長が海老尾に話す語り口調に似ていなくもなかった。

                   続


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