そのキリギリスは、昔はアリでした。
一生懸命働くコトが彼の生き甲斐でした。そんなある日、せっせとエサを運ぶ彼の横で、青空の下、草むらに寝転んでいたキリギリスが言いました。
「おい、アリくん、そんなにせっせと働いて楽しいかい?少しは休んだらどうかね?働きすぎは心とカラダに良くないよ。何でもほどほどが一番さ」
そんなキリギリスの言うコトを無視して彼はエサを運び続けました。そして、内心、こう思っていました。
(この、ナマケモノめ❗)
そして、彼は更なるエサ場を求めて北へ向かいました。そこでは、女王アリのために、すべてのアリが休まずエサを運び続けていました。
彼も、さっそく仲間に入りました。
でも、休まず働くため、ある時、一匹のアリがダウンしました。すると、そのアリの分まで残ったアリでカバーしないといけません。
そのうち、もう一匹のアリがダウン...こうして、仲間のアリたちが次々とダウンしていく中で彼は思いました。次はオレかも?
彼は、その場を去るコトを決意しました。そして、キリギリスになりました。
キリギリスになった彼は、日々の過重なるエサ運びから解放され、当時はバカにしていた、あのキリギリスのように日なたでのんびり暮らし、時折、横を通るアリの群れを見ては小バカにしていました。
「ガンバレ、ガンバレ🎵ま、せいぜい、心とカラダは大切にな🎵ハハハ」
一年目の冬は、貯えていたエサのお陰で何事もなく無事に過ごすコトが出来ました。
ある時、彼は自分のエサ場を見て愕然としました。まもなく二度目の寒くて長い冬が訪れようとしているのに、彼のエサ場には、もうエサはありません。
どうしよう...このままでは、寒い冬を越すどころか、冬が来る前に死んでしまう❗死ぬわけにはいかない。
でも、キリギリスになった以上、もうアリには戻れません。
その時、さんざんバカにしていたあのキリギリスの言葉を思い出しました。
何でもほどほどが一番、という彼のコトバを。
そうだ、オレはキリギリスでもアリでもない、アリギリスを目指そう❗そうして、女王様のため、だけではなく、みんなのために、みんなが幸せになるために働こう❗
そうして、彼はアリギリスとして生きる道を選びました。
まもなく、太陽の無い寒くて長い冬がやって来ますが、彼のアリギリスとしての前途には木漏れ日がさしていることでしょう。
追記・電通に有罪判決が下されました。過重労働は犯罪です‼社会全体がこのコトに目を向け、少しずつ意識が変わっていくコトを祈念します🎵
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#過重労働は犯罪