なぜ、宗教法人法で解散命令請求の審理が非公開なのか。
話題になっているので改めて。
ChatGPTがほとんど答えを言っていますが。 こちら
弁護士として法律的に説明しますと:
■ 宗教法人法81条7項で非訟事件手続法を準用
■ 非訟事件とは、公益的見地から、裁判所が後見的に介入して、実体的真実を発見する訴訟類型。
当事者の主張に拘束されない。要するに、「民事事件と刑事事件の中間」的な手続ですね。
■ 他に、借地関係(地代)、家事関係(親権者)、法人関係(設立)が、非訟事件です。公益的色彩が強いものですね。
■ その非訟事件手続法の30条で、「非訟事件の手続は、公開しない 」とされている。
「手続」が非公開であって、裁判「資料」は非公開ではない。だから裁判資料の内容を家庭連合の福本弁護士が公開することは、違法ではない。
■ ただ、文科省が「非公開の趣旨から考えて、家庭連合側の資料内容公開はどうかと思うし、文科省も捏造かどうかに回答しない」と言っているようだ。
そこで、そもそも「なぜ非訟事件が非公開か」を改めて調べると、以下4つの理由があります。
① 実体的な権利義務の確定を目的としないから
…弁護士の私でもようわからん理由ですが、要するに公益性が強いから、ってことでしょう。私人間の権利義務の争いって色彩が弱いってこと。
② 公益性の観点から、実体的真実に合致した裁判をすることが要請され、秘匿性の高い資料の公開により回復困難な不利益が生じかねないため
…秘匿性の高くない限りで公開しても問題ないってこと。
だから文科省は「捏造があったか否か」については、秘匿性の高い資料を公開して回復困難な不利益が生じない程度で、国民・メディアからの質問に答えるべき、といえる。
③ 秘密が公になるのをおそれる者からの資料収集が困難になり、真実の発見が阻害されるのを防ぐため
…この趣旨からしても、福本意見書で書かれた事実については、捏造かどうかを公開しても、今更、「さらなる資料収集が困難になる」ってことはない。陳述書作成者の証人尋問は終わったのだし。
だから文科省は捏造疑惑に答える義務がある。
④ 簡易迅速性の要請
…迅速に裁判したいから公開しない。時間的場所的制約があるから。
東京地裁の大法廷を予約するのに手間暇がかかる、的な意味ですね。
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以上①~④の理由は、法務省参事官金子修編著『一問一答 非訟事件手続法』(商事法務)64頁から。
あべ文科大臣は、本稿を踏まえて、家庭連合の解散命令請求の陳述書作成について、偽造捏造をしたか否かについて、しっかり答えていただきたい。