※ 本日、最後の記事のUPです。
① ""2019年11月の太陽活動””
更新情報 : 2019年11月の太陽活動を公開しました。 (2019.12.11)
☀● 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。
前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。
現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。
一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。 → 2019年の黒点相対数
11月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光
② 11月は新黒点望遠鏡による黒点観測を21日間実施できましたが、自動検出システムで捕捉できる黒点が出現したのはただ1日 (11月5日) だけでした (白色光画像の11月のデータベースカレンダー)。
NASAの太陽観測衛星Solar Dynamics Observatoryの観測では、この黒点は世界時で4日の6時頃から5日の10時頃 (日本標準時 4日15時頃から5日19時頃) まで北半球の緯度6度に見えていましたが、NOAA (※1) の活動領域番号は付きませんでした。黒点相対数の月平均値は0.52で、南北別に見ると北半球 0.52、南半球 0.00となりました。
黒点観測の中央局であるSILSO (※2) が発表している欠測のないデータでは、11月に黒点が見られたのは4日間で、この月に出現した活動領域はNOAA 12750 (南緯28度), 12751 (北緯6度), 12752 (南緯23度) の3つです。ここで注目したいのはNOAA 12750と12752で、これらは南半球の緯度20°以上に出現して次周期の磁場配列を見せる活動領域でした。
NOAA 12750とNOAA 12752は、太陽フレア望遠鏡でもとらえられています。図1は1日に撮影されたNOAA 12750、図2は14日に撮影されたNOAA 12752の連続光画像と赤外線偏光 (磁場分布) 画像を並べて見せています。赤外線偏光画像では、どちらの活動領域にも西 (W) から黒-白 (S極-N極) の並びの磁場ペアが見られますが、これは南半球では第25周期の磁場配列です。図1では、連続光の拡大画像中の白い矢印で指示したところにNOAA 12750の小さな黒点が写っていますが、自動検出の基準に満たない大きさでした。図2の連続光拡大画像では、NOAA 12752の場所には淡い白斑 (はくはん。周囲よりも明るい領域) が見えています。
第25周期の磁場特性を持ち活動領域番号が付けられた黒点は、7月に出現したNOAA 12744に続いて3つとなり、このような活動領域が1カ月のうちに2つ出現したのは2018年4月以降では初めてのことです。次周期に属する黒点が最初に出現してから1年以上が経過しましたが、そろそろ第25周期の活動の上昇が見られるかが注目されます。 ================================ ※1 NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって、太陽活動領域に番号が振られる。) ※2 SILSO: Sunspot Index and Longterm Solar Observations (ベルギー王立天文台内にある黒点観測の中央局。世界中の黒点観測を収集・集計している。)
図1. 2019年11月1日に太陽フレア望遠鏡で撮影した(左) 太陽の連続光全面画像と活動領域NOAA 12750の拡大画像、(右) 赤外線偏光 (磁場分布) 全面画像。
左右のパネル中にある白い四角の枠は、拡大画像で見せたNOAA 12750の範囲を示し、左のパネルにおいて拡大画像中の白い矢印は黒点を指示している。右の赤外線偏光画像では、白はN極、黒はS極の磁場を表している。
図2. 2019年11月14日に太陽フレア望遠鏡で撮影した(左) 太陽の連続光全面画像と活動領域NOAA 12752の拡大画像、(右) 赤外線偏光 (磁場分布) 全面画像。
左右のパネル中にある白い四角の枠は、拡大画像で見せたNOAA 12752の範囲を示す。