(「行っちゃだめ」叫ぶも声届かず 浸水した車の横で男性死亡)
① ""「行っちゃだめ」叫ぶも声届かず 浸水した車の横で男性死亡””
2019年10月27日 16時47分
🚚 このうち、長南町長南に住む鈴木仁一さん(81)は25日の夜7時すぎ、長南町千手堂の路上で、浸水した軽トラックの横で倒れているのを発見され、死亡しました。
👤 鈴木さんの軽トラックが水の中に入り、身動きが取れなくなるのを目撃していた女性がいました。
女性によりますと、鈴木さんの軽トラックは25日の正午ごろ、徐々に低くなっていく農道を走ってきたということです。
水が深くなっている所にさしかかろうとしていた際に女性は、大声で止まるように呼びかけたということですが声は届かず、車は冠水した道路で止まってしまったということです。
🚒 女性はすぐに通報しましたが、その後水位が上がり、消防による救助で鈴木さんが見つかったのは、およそ7時間後の午後7時でした。
消防によりますと、鈴木さんの体は軽トラックの車内の取っ手とロープで結ばれていたということで、浸水した車から脱出を図った際に流されないように、みずから結んだとみられます。
女性は「車に向かって『行っちゃだめ』と大声で叫んだのですが届かなかった。助けようにも水が深くて近づけなかった。亡くなったと聞いて何とも言えない気持ちです」と話していました。
妻を迎えに行く途中か
👤 鈴木さんの妻のかず子さん(76)によりますと、鈴木さんは25日午前11時ごろ、仕事を終えた妻のかず子さんを職場に迎えに行く途中で、浸水した道路で動けなくなったとみられています。
鈴木さんはロープで体と車内の取っ手を結んだ状態で見つかり、軽トラックの屋根には鈴木さんのものとみられる足跡があったということです。浸水する車から脱出を試みる際に、鈴木さん自身が流されないようにロープを結んだり、屋根に上ったりしたとみられます。
かず子さんは「流されないようにとロープで縛って屋根に上ったのか、その後、流されてしまったのかと、いろいろ考えてしまいます」と話します。
長南町で生まれ育った鈴木さんは農業や畜産を営みながら、かず子さんとともに3人の子どもを育て上げました。子どもたちが成長して家を出てからは、育てたお米を近くの農産物直売所に持って行き、買った人から「おいしかった」と言われるのを喜んでいたといいます。
また、山登りと写真が趣味で、かず子さんとたびたび各地の山を登っていました。事前にしっかりとプランを立てるのが好きな鈴木さんに、かず子さんはいつもすべてを任せ、近く長野県の山に登る約束をしていたということです。
かず子さんは「ふだんから夫には『何があっても涙流したらだめだ』と言われているので気丈にしなければと思うのですが、見つかったときは手にも体にも泥が残っていて、苦しかったんだろうなと思うと涙が出ます。こんなことにならなければ楽しく山登りに行けたのに、本当に残念です」と涙ながらに話していました。