◎◎ ドル・円は上昇、米インフラ支出報道と日銀政策でリスクオン
野沢茂樹
2020年6月16日 12:55 JST
更新日時 2020年6月16日 15:47 JST
◇◇ 東京外国為替市場のドル・円相場は上昇。前日の米連邦準備制度理事会(FRB)の社債買い入れ発表を受けたリスク選好の流れの中、トランプ米政権の景気てこ入れ策が伝わったほか、日本銀行による資金繰り支援策の拡充で円売りが優勢となった。
ドル・円は午後3時37分現在、前日比0.1%高の1ドル=107円48銭。107円23銭を安値に一時107円64銭まで上昇
円は主要通貨に対してほぼ全面安
ドル・円はリスクオン加速で上昇
市場関係者の見方
¤¤¤ SMBC信託銀行の佐溝将司マーケットアナリスト
米経済指標やFRBの社債買い入れ決定に1兆ドル規模の米インフラ支出報道が加わってリスクオンのムードが強まったことが円売り要因に。トランプ米政権が大統領選をにらんで対中強硬姿勢を緩めつつあるとの観測が投資家心理を改善している面も
日銀による資金繰り支援策の拡充は相場に織り込み済みだが、黒田東彦総裁の記者会見では新型コロナウイルスの感染第2波や財政政策との協調姿勢に関する発言に注目
¤¤¤ あおぞら銀行の諸我晃総合資金部部長
日銀の資金繰り支援枠拡大にそこまでの需要があるかどうかは不明だが、米欧中銀が緩和姿勢を強める中で円高回避の観点もあって歩調を合わせてきたのではないか
長期国債買い入れの「年80兆円」めどの撤廃も同じ文脈の措置か
¤¤¤ NBCフィナンシャルマーケッツ・アジアのディレクター、デービッド・ルー氏(香港在勤)
トランプ政権による1兆ドル規模のインフラ支出にリスクオンで反応し、クロス円が上昇、ドル・円を押し上げている
日銀の資金繰り支援プログラムの拡大は株式相場にはポジティブかもしれないが、為替市場ではすでにリスクオンの流れがある中で影響は限定的ではないか
◑◑ 背景
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