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【国立感染症研究所】 3月2日08:30分、""<注目すべき感染症>麻しん 2019年第1〜7週 ""

2019-03-02 08:34:51 | 健康・病気; 新薬・新治療法、 老化、リコール、感染症コロナウィルス!

(参考画像、麻疹症例)




 ① ""IDWR 2019年第7号<注目すべき感染症>麻しん 2019年第1〜7週 ""

◆麻しん 2019年第1〜7週(2019年2月20日現在)

 麻しんは高熱、全身の発疹、カタル症状を特徴とし、空気感染を主たる感染経路とする感染力の非常に強いウイルス感染症である。肺炎、脳炎等を合併して死亡することもあるが、事前に予防接種を受けることで予防が可能である。日本は現在、2015年3月に国際的な認定を受けた国内における麻しんの排除状態を維持すること〔麻しんに関する特定感染症予防指針(平成19年厚生労働省告示第442号):https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000112477.pdf〕を麻しん対策の目標にしている。

 2018年第35週以降、麻しん報告数は週当たり報告数1〜9例で増減を繰り返していたが、2019年第2週以降急増し(週当たり報告数22〜47例)、2019年第7週現在、2018年4月に沖縄県を中心に起きた集団発生事例を上回るペースで報告数が増加している。本稿は、主に感染症発生動向調査に基づく国内の麻しんの疫学状況に関する直近の情報を提供することを目的としてまとめたものである。

 2019年初旬から集団感染のあった三重県では、2018年12月に実施された研修会の参加者等から複数の麻しん患者(初発者からの二次感染者)が報告され、その後、家族、医療機関や学校等での接触者等から患者が届け出られた。また、三重県を上回る届出数となっている大阪府においては、特に2019年2月に入り、商業施設の従業員が発症、同僚や利用客等から麻しん患者の報告が継続している事例など、複数の集団感染が発生している状況にある。その他の複数の自治体においても、麻しん患者の届出が相次いでおり、報道発表が行われている。厚生労働省健康局結核感染症課は、麻しん患者の移動等により、今後、広範な地域において患者が発生する可能性があることから「麻しん発生報告数の増加に伴う注意喚起について(協力依頼)」(平成31年2月18日健感発0218第1号)を地方自治体へ発出した。

 2019年第1〜7週に診断された麻しん報告数(2019年2月20日現在)は221例であり、うち、検査診断例が197例(89%)であった(麻しん:158例、修飾麻しん:39例)。男性108例、女性113例であり、年齢中央値は23歳(範囲0〜72歳)であった。都道府県別の報告数は、大阪府77例、三重県49例、愛知県20例、東京都14例、京都府9例、神奈川県8例、和歌山県7例、岐阜県、広島県各5例、千葉県4例、北海道、茨城県、静岡県各3例、栃木県、埼玉県、滋賀県、兵庫県、奈良県、沖縄県各2例、岩手県、熊本県各1例であった。推定感染地域は国内が170例(うち都道府県不明13例)、国外が33例(フィリピン13例、ベトナム8例、ミャンマー3例、モルディブ2例、韓国、カンボジア、スリランカ、マレーシア各1例、スリランカ/モルディブ2例、タイ/ラオス1例)、国内/国外が3例(愛知県/フィリピン2例、愛知県/ニューカレドニア1例)、国内・国外不明15例と報告されていた。ワクチン接種歴については、接種歴無しが84例(38%)、不明が72例(33%)、1回が38例(17%)、2回が27例(12%)であった。2回接種歴有りの27例のうち15例は軽症で非典型的な麻しん(修飾麻しん)であった。接種歴無しの84例のうち81例は典型的な麻しんで、うち70例は検査診断例であった。

 また、2019年2月21日現在、麻しんウイルスに関する情報が病原体検出情報へ73例報告されており、遺伝子型の内訳はD8型69例(95%)、B3型3例(4%)、不明1例(1%)であった。

 海外では麻しんの流行が継続している国は多い。海外から麻しんを持ち込まないためには、海外渡航予定者においてはワクチン接種歴等を確認の上、必要に応じてワクチン接種を行うことが推奨される。

 国内における感染拡大の防止のためには、個々の予防と集団免疫の維持が必要である。このためには、麻しん風しん混合ワクチンによる2回の定期接種の徹底が最も重要である。加えて、感染者の早期探知と迅速な対応も欠かせない。麻しん患者の適切な診断、1例でも報告された時点で各関係機関の協力のもとで行う迅速な接触者調査と対応、地域の医療機関への情報伝達と住民に対する予防のための啓発が重要である。特に事例が広域となるおそれのある場合の各関係自治体間の情報共有は重要である。

 また、麻しん患者の報告がある地域においては、特に、医療機関における院内感染対策の徹底が重要である。そのためには事務職員等を含む病院関係者全員へのワクチン接種歴調査や必要に応じたワクチン接種が求められる。また、発熱・発疹などの麻しん様患者との接触がある方が、麻しんを疑われる体調不良を自覚した場合には、二次感染防止のため、麻しんの疑いがあることを事前に医療機関に電話で伝えた上で受診することが重要である。

 麻しんは空気感染によって伝播し、重症度も高い。現在の、国内における例年を上回る麻しん患者数の増加は、麻しんによる重症者発生のリスクを増大させるとともに、我が国が達成した麻しん排除への深刻な脅威となることが懸念される。今後、時期的にさらに人の移動が活発となることも含め、国内で発生が継続する可能性が高いと考えられる。麻しんはワクチンにより予防可能な疾患であることを踏まえて、感染が拡大しつつあることへの厳重な警戒と対応をお願いしたい。




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