① ""カムチャツカ半島ウディナ山「死火山が目覚めた」2月にM4.3 2カ月で559回""
ロシアの地球物理学者の調査で最近、大昔に活動を終えた死火山だとみなされていたウディナ山の地下を震源とするマグニチュード(M)4.3の火山性地震が起きていたことが明らかになった。もし噴火すれば、噴煙の高さが、上空35キロを超える大規模爆発になる可能性もあるという。
火山の博物館カムチャツカ半島
(ウディナ山の位置(Wikimedia Commons))
ウディナ山がそびえるのは、カムチャツカ半島東部にそびえる最高峰クリュチェフスカヤ火山群の最南端。
標高2886メートルのボルシャヤ・ウディナと、1945メートルのマラヤ・ウディナのふたつからなる成層火山だ。歴史上、最後にいつ噴火したかという記録は残っておらず、太古に活動を終えた死んだ火山だと考えられてきた。
2017年秋から地震発生
(ウディナの地震解析を行ったイワン・クラコフ室長(IVS FEB RAS))
科学誌『ジャーナル・オブ・ボルカノロジー・アンド・ジオサーマル・リサーチ』に今月5日に掲載された論文によると、ロシア科学アカデミー(IVS FEB RAS)のカムチャツカ火山観測所は2017年秋以来、ウディナ山で微弱な地震をとらえるようになった。
そこで、石油地質地球物理学研究所の地震解析研究室長イワン・クラコフ(Ivan Y. Kulakov)氏らは、ウディナ山の4カ所に地震計と地殻変動を観測する装置を設置。その結果、2018年5〜7月までの約2カ月間で559回の地震をとらえ、今年2月には過去最大規模のM4.3が発生したという。
1975年のトルバチク山の大爆発にも
このトルバチク山(標高3682メートル)は、1975〜1976年にかけて、カムチャツカ半島で起こった噴火としては史上最大規模の爆発を起こしている。この噴火は「The Great Tolbachik Fissure Eruption=トルバチクの巨大割れ目噴火」として知られており、1回の噴火で噴出した溶岩の量は、観測史上最大だったとされるものだ。
巨大なマグマだまり
(1975年7月のトルバチク山の大爆発(Oleg Volynets/ Institute of Volcanology, Petropavlovsk))
クラコフ室長は「ウディナ山とトルバチク山の間に広がるマグマだまりが1975年の噴火の原因のひとつだ」と指摘したうえで、ウディナ山が噴火すれば、古代ローマのポンペイの街を一瞬にして飲み込んだヴェスビオ火山のような大規模な爆発になる可能性があると述べている。
実は1975年のトルバチクの大爆発は、噴火の前に群発地震が発生したこともあって、当時のソ連の火山学者が予知に成功したことでも知られている。
クラコフ室長は、ウディナ山の地震活動を引き続き監視し、今後は観測体制をより強化していくと話している。