安全保障上からの、米国TPP反対論について[HRPニュースファイル1680]
http://hrp-newsfile.jp/2016/2872/
幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人
◆米国次期大統領候補は、いずれも「TPP反対」
去る8月11日、米国民主党のヒラリー・クリントン大統領候補は、ミシガン州で行われた経済演説の中で「もし自分が大統領になっても、TPPに反対する」との意志表示を行いました。
もう一方の共和党大統領候補である、トランプ氏もすでにTPP反対の演説を行っていたため、オバマ政権後、いずれの大統領が当選しても、米国がTPPから離脱する可能性が高まってきました。
◆TPPの本質は「中国包囲網
」
米国は、元々国是として「自由貿易」「門戸開放」を掲げておりましたが、特に2008年のリーマンショック以降の経済危機の打開策の一つとしてオバマ政権は、TPPの推進に取り組んできました。
一方、日本では、2009年に民主党政権が誕生、当時の鳩山政権は日米同盟の危機を招きかねない幾つかの重大な判断を行いました。
まず、沖縄の普天間基地の返還問題で、決まりかけていた辺野古への移転を白紙に戻そうとしました。さらに、日中韓三国間の「FTA」協議を進め、中国との連携を深めようとしました。
「FTA」とは条約締結国の間での関税などの経済的な障壁をなくすための取り決めであり、米国から見ると日本が中国との関係強化を推進したことが、自国への挑戦として受け止め、経済上及び安全保障上の危機感を強めたのかもしれません。
この間、日米間でどのような話合いがあったのかは不明ですが、結果として日本は民主党菅政権の元で2010年に突如、TPP参加表明を行いました。この判断は、安全保障上、日本にとっては是とされるものであります。
我が幸福実現党の大川隆法総裁はTPPについて、その本質を以下のように述べています。(『ジョーズに勝った尖閣男』より)
『TPPとは、実は、「アメリカとアジアを経済的に結び、中国を外す作戦」です。つまり、TPPの本質は「中国包囲網」なのです。TPPの条項のなかには、中国がどうしてものめないものが入っています。
そこには、知的財産権の保護や人権重視、あるいは、環境保護などの概念が入っているのですよ。したがって、このTPPに、日本と他のアジアの国々が入り、さらにアメリカが入れば、実は、これで中国包囲網をつくれてしまうのです。』
『ジョーズに勝った尖閣男』幸福の科学出版/大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=838
結果として、一旦は日中間の関係強化に向いつつあった日本は、本来の日米同盟強化へと戻る事になったのです。
◆なぜ米国はTPP反対に変わったのか
オバマ政権は、中国包囲網でもあり、経済成長戦略の柱でもあるTPPを推進してきましたが、来年就任する予定の次期米国大統領は「TPP推進反対」との立場を取る可能性が高まってきました。この大きな変化の原因は、何が考えられるでしょうか。
米国は2013年、オバマ大統領の演説で「世界の警察官としての役割を返上」することを明言し、世界各国に駐留している米軍を撤退させる可能性を示唆しました。
その結果、中東の混乱はさらに拍車がかかる結果となったものの、その方向性が変わるとは思えません。
現在の米国の予算の中で、オバマケア等の社会保障費を充実される代償として、軍事費削減を行う流れが止まらない事と同時に、米国民の中でも、「なぜ自分と関係のない国の為に生命を懸けなければならないのか」、という正義の観点がなくなってしまったのではないでしょうか。
現在行われている米国大統領選挙でも共和党候補のトランプ氏は、経済人としての立場から、まずは米国内の雇用が悪化しないことを優先し、特に不法移民に対して厳しい態度で対応し、TPPだけでなくNAFTA等の自由貿易圏の推進に、反対の立場を取っています。
先ほどお伝えしましたとおり、TPPは単なる自由経済圏ではなく、中国に対抗するための安全保障上の観点からも重要なのですが、トランプ氏はこの点に関連しても在日米軍の引き上げに言及するなど、東アジアの安全保障には日本に対しても自主防衛を求めることが予想されています。
オバマ政権で国務長官を務めた民主党のヒラリー氏の見解も元々は、TPP推進の立場をとるものと見られていましたが、結果として国内の雇用確保を優先し、TPP反対を表明することとなりました。
こうした米国が内向きの方向が出てきた事について、「TPPは、中国包囲網」という視点から見ると、日本にとっては危険な方向であると認識しなければならないと思います。
◆日本は主導的な立場に立ってTPP推進すべし
さて、日中間の動きでは、来週の23日~24日にかけて、習近平政権では初めて中国外相が訪日し、日中韓3国外相会談が都内で開催される見通しになりました。
しかし6月9日に尖閣周辺の接続水域に中国軍艦が初めて航行、8月に入ってからも尖閣周辺の領海に漁船や公船が連日航行するなど、中国側の挑発はエスカレートし、将来には軍事的な衝突の可能性が高まっています。
本来はこうした時こそ日米同盟の強化を進めるべきであるにも関わらず、次期米国大統領のTPP反対という意思表明は、日米同盟が弱体しかねない危険性を持っています。
そうした意味でも日本は米国に代わって主導的な立場に立ってTPPを推進し、また日米同盟の懸案となっている普天間基地の辺野古移設問題についても、政府として速やかにその実現を図り日米同盟を強化することが今後の東アジア情勢の安定には重要であります。
http://the-liberty.com/article.php?item_id=11801
沖縄の保守が、アジアを守るために声を上げた——。
民間でつくる「アジアの平和を守ろう」実行委員会が21日、那覇市の沖縄県庁前広場で集会、デモ行進を行った。尖閣諸島付近の海域をはじめ、台湾や南シナ海で、横暴な振る舞いを続ける中国に対して、日本政府に毅然とした対応を求めるよう訴えた。
「中国は、尖閣周辺での威嚇行為を停止せよ!」
「日本政府は、台湾を国家として承認し、国連加盟を支援せよ!」
「中国は、情報を開示し、民主化せよ!」
那覇最大の繁華街「国際通り」で、参加者約330人がシュプレヒコールを上げると、沿道からは、一緒にこぶしを上げたり、「ありがとう!」などと声がかけられた。
台湾人観光客からは、英語で「沖縄は日本です。中国ではありません!」「台湾と中国は一緒ではない。台湾は独立した国です!」と声が上がるなど、多くの賛同の声が寄せられた。
◎沖縄の「保守」の声
このデモは、立党以来一貫して、沖縄の米軍基地の大切さや国防強化の重要性を訴えてきた、幸福実現党沖縄県本部の山内晃代表と金城竜郎副代表が、呼びかけ人となって開催。
地元の「沖縄百歳まで生きる会」(大浦公子代表)や「沖縄の自由と繁栄を守る女性の会」(下地玲子代表)、「ゆんたくシーサーラジオ」パーソナリティの東郷美奈子氏、徳留愛奈氏のほか、「国防サークル」をつくる大学生の高江洲大槻さん、山本隆介さんなどが賛同して行われた。
◎「わが国が中国に支配される最悪の未来を招きかねない」
沖縄では、「米軍基地はいらない!」などとアメリカ軍を追い出そうという意見が支配的だ。しかし、同実行委員会は、こう主張する。
「同盟国の米国が核の先制不使用を考えているのであれば、わが国は、ますます危険な状態に置かれる。いま、『米軍基地はいらない』という民意によって、わが国が中国に支配される最悪の未来を招きかねない状況にある」
「いま、恐れるべきは、中国の台湾併合の動き。わが国は、台湾を独立国家として承認し、国連加盟を支援し、日台条約を結ぶことによって、日台の平和を守るべき」
「私たちは、中国型の政治システムでアジアが支配されるか。それとも、自由主義圏で共同して、アジアの平和を守り抜くか。大きな岐路に立たされている」
◎「翁長知事は、アメリカに抗議して、中国に抗議しないのはおかしい」
今月8日には、過去最多の15隻の中国公船が尖閣諸島の接続水域内に入り、周辺では300隻にも及ぶ中国漁船が航行した。
危機感を抱いた幸福実現党沖縄県本部は翌9日、沖縄県庁を訪れ、翁長雄志知事宛てに、「(沖縄の米軍基地に対しては)訪米してまでアメリカ政府に抗議をしているが、中国政府に対して直接抗議しないのはおかしい」と指摘。中国への抗議を日本政府に働きかけるよう要請した。
同党県本部の新里卓幹事長は、こう話す。
「今回デモを行って、尖閣問題を抱える沖縄から、台湾の国連加盟や中国の民主化など、アジアの平和実現に向けて発信することは、とても大きな意義があると感じました。これからも、広い視野を持って、アジア地域の平和を守るための取り組みを重ねていきたい」
沖縄から立ち上がっている、アジアの平和を守る取り組みに、今後とも注目していきたい。(山下格史)
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2016年8月10日付本欄 尖閣で挑発する中国船 沈黙する翁長知事に「なぜ抗議しない?」の要請文
http://the-liberty.com/article.php?item_id=11764
2016年8月17日付本欄 尖閣諸島の中国漁船に民兵100人以上 アメリカなしで尖閣を守る準備を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=11789
2010年7月号 【民主党政権から日本を守れ】(1)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=915