大分県警の「隠し撮り」 恣意的に取り締まれる公選法に問題あり
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大分県警別府署が、政治団体の敷地に隠しカメラを設置した問題で、県警は26日、設置を指示した幹部ら4人を建造物侵入の疑いで書類送検した。
今月4日に明らかになったこの問題は、同署の捜査員2人が今年6月、参議院選挙の公示前後に野党候補を支援する政治団体が入る敷地に無断で侵入し、隠しカメラ2台を設置、録画していたというもの。公職選挙法に違反していないか取り締まるための捜査だったという。
県警は、刑事官と刑事第二課長を懲戒処分としたほか、別府署長ら4人についても訓戒処分とした。県警の首席監督官は書類送検について、「他人の敷地内を撮影するだけの必要性・相当性は認められないことから、不適正な捜査と判断しました」としている。
◎恣意的な選挙違反の摘発?
記者会見で県警は、捜査員が敷地に侵入し、隠しカメラを設置した目的は、参院選の選挙違反の捜査で特定の人物に狙いを定め、証拠を押さえるためだったという。違法な捜査をしてでも、特定の人物や政党を追い落とそうという思惑があったということだろう。
そもそも公選法の規定は、あまりにも膨大で分かりにくく、公選ハガキのグラム単位の重さや、候補者の周りでビラ配布する人数の規定などさまつなものが多く、精通したプロがいても、うっかり公選法違反に問われることがあるという。
警察が特定の政治団体に狙いを定めて違法行為を調べれば、小さなことでも逮捕できるため、しばしば恣意的、政治的に使われることが危惧されている。
過去には、冤罪事件も起きている。
2003年、鹿児島県議選で当選した県議会議員が、有権者に現金を配ったとして、13人が逮捕・起訴された「志布志事件」が、その代表例だ。容疑者にはアリバイがあり、明確な証拠もなかった。志布志事件は、冤罪だっただけでなく、警察による自白の強要や、数カ月から1年以上にわたる異例の長期勾留など、違法な取り調べがあったことも批判されている。
◎警察の「ノルマ」が、警察の犯罪につながることも
また、警察には検挙目標という実質的な「ノルマ」があると言われている。交通違反などはその分かりやすい事例であり、過去には、警察が検挙実績を上げるために、捜査書類をねつ造するという悪質なケースもあった。
2012年には、大阪府警泉南署の元警部補が、飲酒運転を取り締まる際にアルコールの検出数値を捏造したとして、証拠隠滅罪などに問われた。検挙件数を増やし、昇進するためにこうした行動をしたことが分かっている。
◎早期の公選法の見直し・撤廃を
公選法は、一般常識では理解できない理不尽な取り決めが多い。その上、どの事案を摘発するかというのは捜査機関が決めるため、警察などの国家権力に、政治的に利用される恐れもある。
警察が「ノルマ」達成のために、特定の候補に狙いをつけ、細かい事件でも公選法違反に仕立て上げるという事態を避けるためにも、現状の公選法の早期の見直し・撤廃することが必要だ。(小林真由美)
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中国の最高裁に当たる最高人民法院が、中国の「管轄海域」で違法漁労や領海侵入をした場合に刑事責任を追及する「規定」を定めていたことを、27日付産経新聞が報じた。
最高人民法院が海洋権益に関して、具体的な条文で司法解釈を定めるのは初めてという。
同紙は、中国の脅威をこう伝えている。
「今回の規定で、中国国内法上は、尖閣を含む日本側の領域で日本人漁師などを中国側公船が摘発することを正当化した形だ」「『不法侵入』などとして、日本人を身柄拘束する可能性をちらつかせることで、日本側をけん制する意図があるとみる政府関係者もいる」
◎尖閣は「沖縄県石垣市」である
尖閣諸島周辺の海域で起きたことに対して、自国の法律を適用させる動きだが、尖閣諸島は「沖縄県石垣市」である。明らかにおかしなものだが、国際的な常識が通じないのが中国である。
実際に、7月にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が「南シナ海での中国支配を認めない」と判決を下した後も、判決の出た南シナ海のスカボロー礁付近でフィリピン漁船を追い出すなどしている。
アメリカ海軍大学校の「中国海洋研究所」のピーター・ダットン所長は、「中国は自国の歴史と国内法をまず主権主張の基盤とし、後から対外的にも根拠があるかのような一方的宣言にしていく」と述べている。
◎チベットを「中国の一部」にした狡猾なやり方
自国の主張を通すために、あらゆる手段でもって足場固めしていく中国のやり方が顕著に表れている事例を紹介したい。
中央アジアや仏教に造詣の深いマイケル・ダナム氏が著した『中国はいかにチベットを侵略したか』には、次のような実例が紹介されている。
1953年、毛沢東はインド首相ネールと会談し、あたかもチベットが中国の一部であるかの如く、チベット側に何も知らせないまま勝手に、「インド・チベット間の交易は、すべて中国が管理する」という協定を結んだ。
協定の中でも、チベットは「中国の一地域」とされ、チベットとの交易が何百年も続くインドに対して、「チベットは中国の一部」ということを事実上認めさせる目的があった。
◎「受け入れられない」「遺憾である」では太刀打ちできない
これに加え、中国政府の発刊した『西藏歴史档案薈粹(せいぞうれきしとうあんかいすう)』がある。この中には、チベットが中国の一部であることを認めさせるために選び出された史料類が収録されている。
歴史的な公平性を完全に無視し、「チベットが中国の一部である」という理論を対外的に発信するだけにつくられたプロパガンダ書である。自国のみで通用する歴史、ある種の「国内法」であろう。
被害を受けた国が、「受け入れられない」「遺憾である」と言い続けても、中国は、国内法や歴史、外交戦略、あらゆるものを駆使して、自国の権益を主張し、武力を使って押し通してくる。
日本は、国際社会との連携を強めるのはもちろん、「悪を犯させない」ための手段を持つ時期に来ている。(片岡眞有子)
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