「#岸田政権の退陣を求む」とのハッシュタグがツイッターでトレンド入りしたと報じられている。これについては、 岸田首相が、外相に林氏を起用し茂木氏を幹事長に任命したことについて、それに反発している元首相に共鳴する一部の保守層が中心となって発信していると言われている。
私は、それに、なにか不気味なものを感じている。勿論、(かって中華人民共和国の領土の一部となったことのない)台湾の住民が独立を主張することは武力を行使しても阻止する、との中国共産党の主張については、彼の国の最近の世界的な覇権行動も含めて懸念するところだし、そのような中国が、我が国の政財界に様々な工作を仕掛けていることも理解しているが、それでも、我が国の一部保守層が、ある種の政治的意図を持って、少なくとも、自民党内の総裁選で選ばれ、国会で首班指名された岸田内閣を貶めようとすることはどうなんだろうかと思う。これは、現時点では、彼ら保守層の意図とは異なり、むしろ、我が国の政治を混乱させ、対中国という場合に利敵行為にすらなるのではなかろうか。
岸田首相は対米外交を主軸にしているが、中国とも経済的な結びつきが強い為、いきなり、これを敵視することは出来ないであろう。尖閣列島などに対する彼の国の嫌がらせ行為には目に余るものもあるし、万が一の危機に備えての防衛力の整備にも努めなければならないが、感情的な対中敵視政策一辺倒では我が国の安全を損なうことにもつながりかねない。SNSなどを利用した世論工作は、害があって益が無い行為であると言わざるを得ない。
それよりも、夫人の無防備な行動への追求に対して、「関係していたなら首相を辞める」とまで言い放った元首相に忖度し、公文書の書き換えを強要して真面目な官僚を死に追いやったキャリア官僚の行為は永遠に許されるものではない。そして、その事件の原因ともなった、元首相こそ、発言通り政治家を引退すべきではなかろうか。