《ハウリンメガネ》
こんにちは、西田敏行です。
もしもぉピアノがぁ〜……なんですかその冷たい目は。
{編集長Mash}
そもそも西やんが『日本俳優連合』の理事長で「俳優もコロナで厳しい!」と意見書を出したりしたので、今回はその事に切れ込む気だな!
《メガネ》
相変わらず深読みですよ!あなた…
{編集長}
えっ違うのか?じゃあNHKラジオで毎週日曜日に放送する「竹下景子さん」とのアレか!二人だけで全ての登場人物を演じる、あの究極のラジオドラマに切れ込むのか?そんなフリを俺は待っていたぞ!
《メガネ》
……まあ、なんでこんなフリから入ったかといえば、偉大なるピアノマン「リトル・リチャード」が亡くなったからなんですけれども…
{編集長}
ああ…そういうことね。
《メガネ》
ガッカリしすぎですよ、あなた!そんなに西田さんを語りたいの?
{編集長}
いやいや…そんなことも無いんだがね。
《メガネ》
しかし最近訃報ばっかりで、ついつい我々の音楽話もそっちに行きがちですな。
{編集長}
若手と思っていたロニーウッドがもう70歳超えだからなぁ。
《メガネ》
しかし、いくつだったんだ?87?米寿目前だったか……病死だったらしいけど、とはいえ、大往生といっていいんじゃなかろうか。
{編集長}
下積み時、小さい小屋で「専属1ヶ月のLive契約」をしていた最中にヒットしちゃって、そのショボい契約を放り出して逃げちまうんだよ!
《メガネ》
えっ、そんなことが?
{編集長}
で、その後この小屋では残りの公演を「リトルリチャード」と名乗り歌う黒人を当てがう…替え玉だな。でもその「替え玉」がリチャードよりも盛り上がってしまった…
《メガネ》
リチャード形無しじゃないですか!替え玉はそんな凄かったワケ?それとも…
{編集長}
ふふふっ。その替え玉こそ血気盛んな若き日のJB!そう「キング・オブ・ソウル」ジェイムズ・ブラウンだったのさ!
《メガネ》
うわぁ!
{編集長}
「R&Rホールオブフェイム」のコンサートではトリがリチャードで、その前に出たJBが会場を最高に盛り上げてしまったよね…力の差だろうが、あのLiveはアレサも凄いし、結局黒人のパワーを感じた瞬間だよな。今のアメリカでのデモもそうだしさ。
《メガネ》
ロックの元祖が黒人音楽ですから当然ですよね!ところでチャック・ベリーと並ぶロックンロールのオリジネーターであり、ポール師匠を筆頭にロック黎明期の人たちでこの人に影響を受けてない人はいないってくらいの大御所ですが、私、若い頃、この人全然興味なくて。
{編集長}
そんなヤツァおらんだろう〜。
《メガネ》
師匠ネタ入れて来た!だって、ギタリストじゃないから。
{編集長}
責任者出て来い!
《メガネ》
ううっ「昭和の大師匠ネタ」まで…やめてくださいよ!またそうやって「分かってねえなこの野郎……」みたいな目で言うの!
{編集長}
おお若いの!何やら理由でもお有りか?
《メガネ》
……ほら、この人の名前が出る時って「ロックンロールピアノマン」って切り口で紹介されることが多いでしょう?私、昔はギターを入り口に音楽を探してばかりだったから、ピアノ弾きは後回しにしてたんですよ。
{編集長}
君はギター好きだからねぇ…
《メガネ》
吐き捨てる様に…ほらそんな睨まんと……
{編集長}
別に睨んじゃいないよ。気になる話だから目も鋭くなるさ。
《メガネ》
まあ、さすがに有名人ですからね、「聴いとかんとまずいか」と思ってベスト盤かなんかを買ったんですよ。
{編集長}
俺は20代初期の頃、ステージでのR&Rメドレーで必ず「Tutti Frutti」を入れてたぜ!
《メガネ》
あのね……これがリトル・リチャードがロックンロールのオリジンと言われる理由なんだと思うんけど、この人、リズムが「縦寄り」なんだよ。
もちろん「縦ノリ」の曲でもスウィングはしてるし、「横ノリ」の曲もあるんだけど、同時代のシティ・ブルースとかと比べても圧倒的に「縦ノリ」。
このリズムがそれまで世の中になかったわけでしょ?
{編集長}
時代背景による必然なんだよね。
《メガネ》
で、そのリズムについた名前が「ロックンロール」だったわけだ!それが分かった時はもう、私「考古学者気分」だったワケですよ(笑)。
{編集長}
大きく出たね!(笑)
《メガネ》
やっぱりチャック・ベリーもそうだけど、あのリズムがロックンロールの基本じゃない?
ボ・ディドリー・ビートとか、レゲエもそうだけど、リズムが一つのジャンルを作るっていう。
そう考えるとやっぱりリトル・リチャードとチャック・ベリーがロックンロールのオリジネーターなんだよなぁ。
{編集長}
ギターとピアノっていう違いはあれどね。
《メガネ》
そうです。これは彼がピアノマンだっていうのが影響してると思うんだけど、ピアノって鍵盤を縦方向に押しこむ楽器じゃない?んで、ギターはまあ、いろいろ弾き方はあるけど、弦を横方向に引っ掻く楽器でしょ?ピアノの方が「バン!バン!」ってリズムを叩くようなプレイにマッチしてた結果、ああいうリズムになったんじゃないかと思うんだけど、あなたどう思います?
{編集長}
実は君のいう通りピアノという楽器の特性が大きいのよ!ブルースやジャズでもピアノは昔から使われているだろ?その楽器特性からテンポも早く出来、しかも明るい音色だから、古来より男性ブルースよりも女性ボーカル物に多く使われていたんだね。哀愁感情を表すにも女性向けだからビリーホリデーなんか素晴らしいじゃない!逆にギターは男性哀歌にピッタリ!ブルースでこそ打って付けでしょ?
《メガネ》
でも結局この人の凄さは歌だよ、やっぱり。
ハードな曲でもメロウな曲でもガンガン上にしゃくり上げるあの歌い方!録音レベルオーバーしちゃって歪んじゃうあのシャウト!ポールのシャウトなんて影響もろ出しじゃん(笑)!
そういやポールがリチャードに直接歌い方を教えてもらったことがあるってホントなの?
{編集長}
コレは本当の話だよ。若き日のビートルズがハンブルグで一度リチャードと全員かはわからないけれど演奏した様だね!リハみたいな遊びで。また、リチャードはポールと共にピアノを囲んでシャウトを教えたらしいのよ!この時にポールは自筆サインを入れたシャツを彼にプレゼントしているんだ。まだ無名のビートルズなのに、リチャードも大切に取って置いた様だね!
《メガネ》
へぇ〜!想像だけど、ロニー、あ、ジェイムス・ディオの方ね(笑)
{編集長}
おいおいロニーと言えばロニーウッドだろ!(笑)
《メガネ》
とかもリトル・リチャードの影響、あるんじゃない?節回しの感じとか、なんか近い気がするんだけど。
{編集長}
アレはポールの影響だな。ほらオジーもそうだが、イギリス人みんなポール好きだから!まあ脈々と続く「リチャード節」には違いねえ!
《メガネ》
さっきのリズムの話に戻るけど歌い方もこう、タメずに符割からオーバーするくらい詰め込んでバンバン言葉を入れてくるよね。普通、舌回んないよ(笑)!この歌いっぷりはやっぱりゴスペルから来てるのかな。デビューしてすぐに一回引退して牧師になっちゃうくらいの人だもんね。
{編集長}
JBやアレサもそうだけれど説法の部分からも教会音楽が染み込んでいるよな!
《メガネ》
ジミヘンが彼のバンドで下積みしてたってのは有名な話だけれど、なんで離れたかもちょっとわかる。多分ジミはもっとリズムに自由のある環境でやりたかったんじゃないかな。ジミがバックに入ってるアルバムの「リトル・リチャード・イズ・バック」とか聴くと、「あ、ジミだ」って分かるけど、やっぱりまだあの自由奔放さはないもんね。
{編集長}
それこそギター弾きで、彼はしっかりしたブルースが弾けず、プレイも独自だったワケ!そこにビートルズが出て来て揺れて行くワケでしょ?凄い時代だよ。
《メガネ》
まあ、リチャードも自分のスタイルに厳しい人だったろうしねぇ。「ステージで俺より目立つな!」ってジミが怒られたんでしょ?
名前は地味(ジミ)なのにね!
{編集長}
責任者出て来い!
《メガネ》
……失敬、口がスベりました。
{編集長}
まあ当時ビートルズはポッと出の若く元気な英国人!くらいにしかリチャードも見てねえし、自分やベリー、兵隊に行ったがエルヴィスがトップスターだと認識していたはずだから、ジミには酷だよ。ただジミは若くロックの新しい可能性が見えていたんだろうね!
《メガネ》
私の結論としてはしょっちゅう聴くほど好き!ではないんだけど、たまに聴くと「おぉ……やっぱ凄ぇ……」ってなる人ってところですねぇ。
やっぱりオリジネーターには凄味があるよ!
{編集長}
この辺りの「ルーツRock」を聴かずに音楽って出来ないよね!他にも凄い人がウジャウジャいたでしょ?ロックとは言われないけれど、レイチャールズやナットキングコール、シナトラまで…まあ凄い時代だよなぁ。
《メガネ》
そういや、今回、あなたからリトル・リチャードのCD送ってもらったじゃない。
あれの中に入ってた「ジミ・ヘンドリクス・フューチャリング・リトル・リチャード」のジミ単独パートが良くってさぁ!
{編集長}
おいおいココでジミヘンはマズイだろ?
《メガネ》
え?時間がない?もうちょっと喋りましょうよ!
{編集長}
一応リチャード追悼対談なワケでさ(苦笑)
《メガネ》
じゃあ、次回!次回にやろう!
{編集長}
流れはイイがジミヘン語るにゃ1回じゃ終わらんぞ!
《メガネ》
語り尽くしましょう!何度でも何度でも!起き上がれ!ジョー!
{編集長}
君いつから丹下になったんだ?
《メガネ》
ジョーじゃないですね(笑) 起き上がれジミ!でした。
{編集長}
責任者出て来い!
《メガネ》
責任者あなたでしょ?
{編集長}
うっ…母ちゃんゴメン!
《メガネ》
……