悩んでいる。
相変わらず悩んでいる……ハッ!失礼!
ご機嫌よう、読者諸賢。ハウリンメガネである。
まーた悩んでんのかい、下手の考え休むに似たりというではないか、とは仰らないで頂きたい。下手は下手なりに考えるものなのである。
事の始まりは数週間前のライブ。
御一緒したベテランプレイヤーの音の出し方がまあお見事だったのである。
アコギをマイクで拾うスタイルの方なのだが、キレイなテンションコードはキレイに、ラフなピッキングはラフに、パーカッシブなミュートはパーカッシブに鳴らす。
繊細なノートは繊細に、パンチの効いたノートはしっかりとパンチを効かせた音が、必要な箇所で鳴っている。
……当たり前のことを言っているように思われるかもしれないが、これができるのがどんなに凄いことか!
しかもこれを弾き語りでやってらっしゃるのを目の当たりにすると流石の私も「これはこの技術を盗んで帰らねばならぬ!」と思い、しげしげと眺めていたのである(小さな店でのライブだとこういう時に至近距離でプレイを観察できるのが利点ですな)。
で、人様のプレイに感銘を受けた私。これは己のピッキングをいい加減、どうにか改善せねばならぬ、と思い、夏休みの間、音の出し方研究に勤しんでいたのである。
とはいえ漠然と「うまくなりたいなぁ」では上手くいかぬ。今回の私のテーマは「軽やかさ」であった。
先述のベテラン様や、うちの編集長もそうなのだけど、上手い人はタッチが軽い。
弦を押さえる左手も、ピッキングする右手も力んでいない軽〜い感じで弾いているのに、音はしっかり出ている。
そう、上手いプレイヤーは力まないのである。
が……私はどうにもこれができていない。
ソフトに弾く分にはまだいい。が、パンチを出そうとするとどうにも右手に力が入り、結果、パンチというよりもリミッタのかかったようなガチャガチャとした平坦な音になってしまう。
何故上手い人はあのタッチであのパンチが出るのか……これが今回の課題だったのであります。
休みに入り、ギター片手にこの「軽やかなのにパンチが出せる」弾き方になんとか近づかん、と完全に力を抜いた状態でピックを持ってみたり、アコギとエレキを行ったり来たりして弾き方を変えてみたりしていたのだけれど、どうもしっくりこない。
なにか根本的な思い違いをしている気がしてしょうがない。
そこで己が力みがちになる状況を振り返ってみて、ハッと気づいた。
私、フルパワーで弾いた時を最大音量だと考えてる!
そうだ、発想が逆なのだ。力いっぱい弾いている状態を100と捉えるのではなく、軽く弾いている状態を100と捉えるべきだったのだ。
アコギを軽くピッキングしただけでも実は結構な音量が出ている。なのに何故私は音量が足りないと感じていたのか。
アコギのサウンドホールが私ではなく観客に向いているからだ。
実際は軽く弾くだけで客席には十分聴こえているのである。
つまり、力いっぱい弾いてしまったら100どころか120で弾いているということで、上限値ギリギリまで行ってしまっているのである(だからリミッタがかかっているような聴こえ方になるのだ)。
エレキでも考えてみよう。
練習スタジオに入りフルボリュームにしたアンプに繋いでギターを弾いてみて頂きたい。
普段よりだいぶソフトにピッキングしてもかなりの音量になるはずだ。そして十分パンチの効いた音が出ていないか?
その状態で普段以上にソフトに弾けばきちんとソフトな音が、少しスナップを効かせて弾けばびっくりする程パンチのある音が出ていないか?
そう!ギターを弾くのに力は要らないのだ!
上手い人は力んでいないのではない!そもそも力む必要がないのだ!
力を入れてもいい音は出ない!むしろ力は入れずにスナップを効かせたり、ピックの当て方を変化させたり、指で弾いてみたりすることこそがギターからいい音を引き出すテクニックなのだ!
……なんでこんな簡単なことに気づくのにここまで年月がかかっているのだ……俺はやはり馬鹿なのか……
いや!「下手の考え休むに似たり」とはいうが、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」という言葉もある!
考えても実行しなければ休んでいるのと同じだろうが、下手でも馬鹿でも考えることに行動が伴えばいずれ何かを掴めるということだ!(ということにしてくれ!)
下手でも考えて動き続ければちったあマシな答えに行き着くこともあるという、今回の研究結果でございました……ってなところで今回はここまで!
また今度!
<ハウリンメガネ筆>
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