TANEの独り言

日々の生活の中でのつぶやきだから聞き流してネ

意を決っして、旅に出る …【第14話】

2022-10-09 13:12:00 | 夢実現に向けて
道の駅「大芝高原」を出て、コンビニで次の日食べるパンを調達し、先ずは高遠を目指しました。

高遠までの道は昨日通っていたので快適なドライブです。

朝の天気は曇りでしたが、中央アルプスの山並みも見え始めてきました。

再度、高遠に寄ったのは、40数年前にお世話になった町のプールが、今はどうなっているか自分の目で確かめたかったからです。



予めカーナビで町にあるプールの場所を調べ、川沿いにある総合運動公園へ続く狭い道を車で下って行きました。

そこには長いスライダーが付いた流水プールがありましたが、40数年前にお世話になったプールかどうか判断が付かないのです。


私の記憶では、もっと周りが開けていたように思っていたのですが… 。

私はプールの全景写真を40数年前に一緒にはしゃいだ旧友にも送りましたが、その旧友も記憶は曖昧で、果たしてそこのプールであるかは確信が持てなかったのでした。

そんな時、たまたまカーナビのテレビニュースで、台風15号が熱帯低気圧に弱まった事を伝えたのです。

『青空が広がり始めたのは、そういう訳だったのか!』

私は高遠の総合運動公園の駐車場で1時間程かけ、第二の目的地である甲斐駒ヶ岳に登るための準備を完了させたのでした。

バスは戸台口からも出ていますが、広い駐車場がある「仙流荘前」に向かいました。


10時台のバスにも間に合いましたが、昼食を摂ったり、荷物の最終確認を入念に行うために12時台のバスに乗ることにしました。

北沢峠の天気が気になり、バスの運転手さんに尋ねると、

「北沢峠はガスで真っ白ですよ!」

との返事…。

「そうですよねー、台風が近くまで来てたんですから当然ですよねー… 」

と、言いながらも、

『天気は絶対に回復する!』

と信じていました。

私は、次の登山バスに乗るために乗車順を示す「1」の数字が書かれたベンチに自分のザックを置きました。


バスが出る直前には、私と同じ思いをもった登山者のザック達がズラリと並んでいました。















意を決っして、旅に出る …【第13話】

2022-10-08 15:38:00 | 夢実現に向けて
台風15号が愛知県・静岡県に接近していました。

伊那の街並みが見えた時、南アルプスは低く垂れた雲の中に姿を隠しいましたが雨は降っていませんでした。

街まで出たらホッとひと安心ですが、泊まるところがまだ決まっていません。

今夜はどこに泊まろうかと考えながら運転していると、温泉施設がある道の駅の看板がいくつか目に入りました。

『今日も温泉に入れそうー♨️』

『コインランドリーで洗濯も済ませたいなぁー👕』

車で旅をするよさは食べることや洗濯するのに困らないことです。



コインランドリーを見つけて洗濯物をぶち込んでいる間に道の駅を下見に行きました。


施設の整った素晴らしい道の駅です。

温泉施設も見に行きましたが、人が多くてゆっくりできそうにありません。

『そう言えば、高遠にヌルヌル湯で有名な温泉があるみたいな事を聞いたことがあったなぁー

高遠は40時数年前にも随分とお世話になった町でした。

自転車で中部山岳地帯を回った時に、高遠の町のプールをお風呂代わりに利用し、地元の子どもたちに混じり大はしゃぎしてしまった申し訳ない記憶がありました。

『高遠の温泉に入りに行こう!』

洗濯も終わった私は、今度は自分の体を洗うために高遠にある『さくらの湯』に行ったのでした。


温泉はウワサに違わず “ヌルヌル” で、シャンプーが流し切れていないのかと思うくらいのヌルヌル振りでした。

身も心もスッキリした私は、途中のコンビニで今夜の夕食の鶏肉のガーリックトマト煮込みをチンしてもらい、明日の朝食用のパンと牛乳を買い込んで道の駅へと向かったのでした。


私は缶ビールを飲みながら、

『コンビニの味も侮れないなぁー』

と、妙に感心したものでした。


車中泊仕様の愛車の寝心地は申し分無く、朝まで熟睡し爽快な朝を迎えることができました。

朝食はパンと牛乳、それにインスタントのコーンスープです。


空はまだ雲が低く垂れ込めてはいましたが、再度、高遠に寄り登山バスが発着するところまで行ってみることにしました。









意を決っして、旅に出る …【第12話】

2022-10-07 17:16:00 | 夢実現に向けて
九州の我が家を出たのは9月20日の16:15でした。

21日の夕刻には剱岳を目の前にする劔沢キャンブ場のテントの中で夢にまで見た剱岳を肴にビールを飲んでいました。

22日は剱岳に無事登頂し、夕方はズブ濡れになりながらも長い長い石段を登ったところに建つ雷鳥荘に辿り着きやっと緊張から解放されました。

23日、台風15号が近畿から東海にかけて上陸の恐れがあるとの予報があり、南アルプスの北沢峠まで上がることはせず、平湯温泉または伊那市まで移動することにしました。

立山駅前にある無料駐車場から愛車のスバルXVを出し、飛騨街道を目指します。

飛騨街道に入る手前で昼食をとることにし、スマホで調べると美味しいお蕎麦屋さんがあることが分かりました。



民家に手を入れた感じのその店はすぐにみつかり、野菜と海老の天ぷらが付いた手打ち蕎麦を頼みました。

蕎麦ができる前に出汁巻き卵も食べたくて注文したのですが、その美味しさは感動モノでした。



『地元の美味しいモノを食べることができるのも、旅ならではの楽しみなんだなぁ』

と、しみじみ感じました。

また、お膳を運んできてくれた女性がとても良い感じの方で、

『娘と信州旅行をした時の子どもたちの行儀の良さが印象的だったけど、北陸もまた古き良き日本の姿がそこに住む人々の中に残っているのだなぁ… 』

と、感心ました。

香りと食感の良い蕎麦をお代わりしてお腹一杯になったので、再び元気が湧き、最後は蕎麦湯まで出してもらいました。

飛騨街道を南に進み奥飛騨温泉郷を過ぎ平湯温泉まできましたが、雨が強く道が通れなくなる心配が出てきました。

そこで、安房トンネルを抜け、沢渡を過ぎて野麦峠方面への道に入り伊那を目指しました。

ところが、突然、カーナビが道路崩壊による通行止めを伝え始めたのです。

事前に伊那に通じる道は幾つかルートは調べていたので、木祖村方面を示した標識を見つけると山奥のクネクネ道を木祖村へと降って行ったのでした。



その後も、ナビは何ヶ所かの通行止めを知らせましたが、私と愛車のスバルXVは北アルプスを南側から抜け、中央アルプスは権兵衛トンネルて潜り抜け、無事、伊那市へ出ることができたのでした。










意を決っして、旅に出る …【第11話】

2022-10-06 15:30:00 | 夢実現に向けて

受付の女性の言葉は私を緊張から解き放ってくれました。

更に私を救ったのは次の一言でした。

「そこの階段を降りた所に乾燥室があるので、濡れたものがあれば名前を書いた札を付けて干して下さい」

これでズブ濡れになった登山靴や衣服やテント、ザックも乾かすことができるのです。

私は部屋に行く前に乾燥室に向かい、濡れた登山靴やレインコート、ズボンと明日身に付ける衣服をハンガーに掛けて干したのでした。

私に当てがわれたのは8人部屋で、梯子付きの2段になった寝床が通路を挟んで並んでいました。

決して広いスペースではありませんが、私のテントより広いうえに雨の心配も無く暖かい布団で眠れることを有難いと思い感謝しました。

おまけに、白濁の温泉と美味しい食事も付いているのです。


電源もWi-Fiも水栓トイレもあるし、天気図も台風の進路予測もテレビが教えてくれます。



私は夕食後も夜も早朝も何度も乾燥室に足を運び、下着以外の乾かせるものは全て替わる替わる乾かしたのでした。

また、翌朝は4時頃から朝風呂に入り、誰もいない脱衣場でヘアドライヤーを使い、濡れたお札や財布、ウエストバッグまで乾かすことができました。


朝は雨が降っていましたが、すっかり乾いた登山靴や衣服を身に付けて石畳の道を室堂に向けて歩き始めました。



そして、10時過ぎには立山駅前の駐車場に戻ることができたのでした。

予定では、その日のうちに南アルプス北部にある北沢峠まで移動することになっていました。

しかし、台風15号が紀伊半島から東海辺りに接近していましたので、麓にある伊那市の道の駅で一晩様子を見ることに決めたのでした。






意を決っして、旅に出る …【第10話】

2022-10-05 13:41:00 | 夢実現に向けて



劔沢キャンブに建てていたテントを僅か5分程で撤収し、雨の降る中雷鳥沢に向けて歩き始めました。

剣御前小舎(別山乗越)までは登りが続きます。

行動開始から既に7時間が経過していました。

これから先、雨の中を雷鳥沢まで3時間歩き続けるつもりです。

足が攣らないように、また、岩につまづいたり滑ったりしないよう、一歩一歩慎重かつ確実に足を進めて行きました。

1時間もかからずに剣御前小舎までやってきましたが、雨はますます強くなって行きました。

雨具は着ていても下着まで濡れているのが自分でも分かりました。


<写真は行きに撮ったモノ 帰りの写真は1枚も無し>


『このまま雷鳥沢キャンブ場に行ってテントを張っても、体を休めることはできないだろう… 』

『いっそのこと室堂まで歩き、最終便の高原バスに乗って立山駅まで降りて降りるべきか… 』

『高原バスの最終便は16時30分… 、急げは間に合うかも… 』

『とにかく歩き続け、最終便に間に合わないようであれば、雷鳥沢近くの山荘に泊まるのが最善の策か… 』


沢のように水が流れる登山道を私は歩き続けました。

登山靴の中も雨が入り込んでグチョグチョと音を立てていました。

雨に濡れた衣服が次第に重さを増して行くのが分かりました。

ザックの中のシュラフや替えの衣類は、防水性の袋やビニール袋に入れているので大丈夫ですが、濡れた登山靴は乾燥機でも使わない限り復活させることは不可能な状況でした。

来る時には喘ぎながら登った急登を、帰りは他の登山者を追い越しながら無心で降って行ったのでした。

15時30分に雷鳥沢キャンブ場を通過し、そのままコンクリートで固めた石の階段を室堂に向けて登り始めました。

修行のように辛い時間でした。

室堂のバスターミナルに行くにも、近辺の山荘にたどり着くにも、この階段を登り切らなければ辿り着かないのですから… 。

『私は試されているんだ… 』

階段を登り終えたところに「雷鳥荘」が建っていました。



『このまま室堂まで進むべきか、それとも泊めてもらえるか尋ねてみようか… 』

『果たして、宿泊予約もしていない私を泊めてくれるだろうか?』

コロナ感染症が収束していないこの時期に、予約も無しに泊めてもらえるか不安がありました。

私は何度か「雷鳥荘」の前を行ったり来たりした末、玄関を開けたのでした。

「予約はしていないのですが、泊めてもらうことはできますか?」と、尋ねると…

受付にいた女性は、「大丈夫ですよ。雨の中大変でしたね!」と、返事を返してくれました。

この言葉に私はどれだけ救われたか分かりません。

私は、これまで気を張って歩き続くけてきた緊張の糸がフゥーっと解けていくのが自分でも分かりました。