私が初めて担当者(責任者=チーフリーダー)となり実施した『多良岳』山行は、無事に完了することができました。
次に登る予定だった山は『雲仙岳』でした。
『雲仙岳』山行の担当者はベテランの女性の方で、山行当日の天気予報が不安定だったために当日朝に集合場所で判断すると山岳会のグループLINEに連絡が入りました。
『判断が難しいだろうなぁ… 、私が担当者だったらどうするかなぁ… 』
などと考えながら早朝の集合場所に向かいました。
集合場所にはすでに、会長さんをはじめ何人かの参加者がベテラン女性を中心に集まっていました。
『中止の相談かな?』
と思い私もその輪に加わると、ベテラン女性担当者は雲仙岳とは別の山の地形図と行程表を私に渡したのでした。
渡しながら、
「雲仙岳は無理やけど、今日の天気だったら牧ノ山〜青螺山は行けると思って作ってきたよ!」
と、当然のことのように言われるのです。
私はその臨機応変さに驚くとともに、長年の登山経験を基にした判断力・行動力に敬服したのでした。
焼物(磁器)をつくるのに適した石がその町にある山から見つかったことによります。
山がちな地形で、周辺部には奇岩が露出する岩山もあったりします。
その岩山の北方に青螺山はあります。
私たち一行が青螺山の麓にある駐車場に着く頃には雨は上がり、空は明るくなり始めていました。
舗装されたアスファルト道から登山道に入ると、落ち葉はまだ濡れているものの滑ることはありませんでした。
少し進むと『最強の低山』と書かれた手作りの木のプレートが掲げられていました。
私も含めプレートを見たみんなの口から、
「どういうこと…?」
という声があがります。
調べてみると、牧ノ山〜青螺山はその標高に対し思った以上に急登が続き、一部は補助ロープが設置された岩場や登山道の脇には断崖絶壁もあって、変化に富んだルートなのでした。
ベテラン女性担当者は登山当日まで雲仙岳への山行を実行すべく思案したことでしょう。
その一方で、雲仙岳に登れない場合でも他にやれる事はないかと、自分の持っている “経験の引出し” の中から実現可能なプランを引っ張り出してきて準備されている。
お陰様でその日は、参加者全員が『最強の低山』を満喫したのでした。