2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

読書 新藤宗幸著『司法官僚』(岩波新書)

2009-10-31 02:29:08 | 読書
「多くの市民にとって、独立した司法は政治や行政の改革のための手段となりうる。それだけではない。人権を守っていく「砦」でもある。ところが、職業裁判官にくわえられている官僚制的な「統制」が、こうした市民の期待とは異なる事態を生み出してきたことは否めないであろう。それが判決や刑事司法に反映されているとみることができよう。
 とするならば、いったい、日本の司法のなかのいかなるシステムが、どのようなしくみによって裁判官を「統制」しているのか。まえもっていえることは、戦前期の司法省統制からは脱したものの、日本の司法は最高裁判所の内部に、強大な権限を実質的にもつ司法行政機構=最高裁事務総局を整備してきた。そして、一般の職業裁判官とは別に、一部のエリート職業裁判官を選別し司法行政にあたらせてきた。裁判官の裁判所内ばかりか地域社会における自由闊達な活動は、司法内部の行政機構によって、制約されているといってよいのではないか。」(17-18ページ)

この本の構成
「第一章では、一九九九年に設置された司法制度改革審議会が見落としたといってよい最高裁事務総局の改革を論じるためにも、事務総局とはどのような組織なのか、また「司法官僚」といわれる一群のエリート裁判官は、いったいだれであるのかを論じる。
 第二章では、「司法官僚」といえる一群の最高裁事務総局の幹部とその候補生について、具体的なキャリアパス(経歴)をみることにする。
 第三章では、司法官僚による裁判官「統制」の実態を人事政策と裁判内容についての「指導・助言」の観点からみることにする。司法制度改革審議会の「意見書」をうけて、裁判官評価や再任のしくみの「改革」、下級裁判所の運営についての「市民参加」が実施に移されている。とはいえ、それらは、はたしてどこまで過去と異なっているのかを論じる。
第四章と終章では、これらをふまえて、いまなにが日本の司法改革に問われているのか、またどのような改革が必要とされているのかを、具体的に論じることにする。」(18ページ)

政権が変わったように、司法も変化が起こるのだろうか。
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