2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

読書 堀江邦夫著『原発ジプシー』(現代書館)

2011-11-05 23:56:14 | 読書

著者は、1978年9月末ごろから翌年4月中旬ごろまで、美浜原発、福島第一原発及び敦賀原発で、原発労働者として働いた。

原発という危険な現場で働いた理由は、「いらだち」という。政府及び電力会社などの原発推進派の原発の「安全性」の情報と、そうでない立場の人からの原発の「危険性」との情報の洪水のために、本当の原発の姿とは何かがわからずに、「いらだち」を覚えたという。そこで、そのような情報ではなく、「原発とじかに接する」こと、つまり原発労働者となることを決心したのだった(2頁から5頁)。

福島第一原発事故でも、問題となっていた原発労働者の被曝放射線量の管理は、堀江さんが勤務していた頃は、ずさんだったようだ。なぜなら、規則で定められた被曝量を守ろうとすると、作業ができなくなるからだ。これは、電力会社にとっては多量の労働者を必要となり、一方原発現場に多い労働者は日雇いで、働けないと収入がなくなってしまう。このことから、お互いの利益が一致して、規則を超えた被曝が多くなってしまう。しかし、被曝が多いということは、その後に健康を害する危険性が高まるはずだが、長期にわたる健康調査などは行われず、また労災などは御法度という状態(マスコミが騒ぐと、その労働者を雇用している下請け会社には仕事が回ってこなくなるからだ。)のため、その実態はわからないのが現状だ。

福島第一原発の現場でも、同じだろうと思う。だから、たくさんの下請け原発労働者が、最前線の原発内部で、事故処理を行っているだろう。通常の原発の仕事でも大変なのに、大きな事故を起こして(なお継続している)原発内部の仕事は、相当なものであることは間違いない。せめて、そのような労働者の労働環境は守ってもらいたいが。

 

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