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トゥー博士のアメリカ便り 新型コロナが変えたカルフォルニア

2020-04-06 10:15:04 | アンソニー・トゥー(杜祖健)

トゥー博士のアメリカ便り    

新型コロナが変えたカルフォルニア

      

 台湾でアンソニー・トゥー(台湾名・杜祖健)博士の新著『奔流的樹葉:杜祖健與毒物共舞的人生(激しく流れた木の葉:杜祖健と毒物が舞う人生)』(玉山社)が出版されるのを記念して、台北の書店2カ所で博士のサイン会が行われることになりました。こうしてアメリカから日本経由で台湾に向う予定だったトゥー博士ですが、出発直前に台湾行きをキャンセルし、日本だけに滞在することに。日本が新型コロナウイルス蔓延の国とみなされ、日本から台湾に入国する旅客が2週間も隔離されることになったからです。2月28日に羽田空港に降り立ったトゥー博士は、日本での予定を精力的にこなし、3月10日に日本からカルフォルニアへ。しかし、サン・マテオの高齢者施設でトゥー博士を待っていたのは、2週間の隔離生活でした。そして4月5日、本ブログ宛にトゥー博士からメールが。そこには「新型コロナウイルス蔓延のアメリカ便り」と題した一文が添付されていました。

 

新型コロナウイルス蔓延のアメリカ便り

             アンソニー・トゥー(杜祖健)

 

▲サン・マテオの高齢者施設で89歳の誕生日を祝うトゥー博士(前列中央、2019年8月12日)

 

 私が日本からアメリカに戻ったとき、新型コロナウイルスの感染者が急激に増えた。老人ホームと病院は一般の施設よりも厳重になり、結局、私は2週間も老人ホームに隔離されることになる。今ではさらに厳重になり、アメリカ人の3分の2の人々が自己隔離を強いられているのだ。私が日本に滞在していたときも、新型コロナウイルスが蔓延していたが、新聞やテレビが危ないと騒いでいる割には、特別に不便なことは無かった。

 しかし、アメリカは今、国全体が目に見えないウイルス相手に戦争している真っ最中である。その点、日本とはまったく違う。それでは、まず私の住んでいる老人ホームの実情をお伝えしたい。冒頭にも触れたが、老人ホームと病院はとくに厳重である。外部からは入れないし、逆に、そこで暮らしている私も2週間は外出できない。その間にもウイルスの蔓延がひどくなる。そこで、食料品などの生活必要品に限って、外に買に行っていいことになった。

 増野さんは40年前日本からアメリカに来た元牧師で、私と同じ老人ホームに住んでいる。彼の奥さんが2カ月前から脳の手術で意識不明になった。しかし、入院中の奥さんを見舞うこともできない。病院に電話をかけて、看護師かお医者さんに奥さんの様子を聞くしかないという

 そんな2週間もの私の「軟禁」生活もやっと終わった。外に出てみたところ、車も歩く人もぐんと少なくなっている。銀行に行ってみると、床に印がしてあるではないか。感染しないように、各人が6フィート(約1.8メートル)離れるようになっていた。しかも銀行には大勢が一度に入れず、1人ずつ入るという具合である。私がよく歩いて利用する別の銀行に行くと、「この支店は閉鎖したので、別な大きな支店へ」と張り紙が出ていた。そこには車でしか行けない。とても歩いていける距離ではない。

 グロサリー・ストア(食料雑貨店)に行ってみると、客の1人が中から出てきてから、待っていた1人が入れる仕組みになっていた。また、買い物袋は客が持参したものではなく、店が支給したものを使う。店に入ると、すぐに使い捨ての手袋を渡され、またアルコールで手が消毒できるようになっていた。レストランはたいてい閉まっているが、ドアに「お持ち帰りのご注文は大丈夫」と表示している店もある。

▲順番待ちの行列が50mぐらい続くコストコ(撮影・トゥー博士)

 

 私のように老人ホームに住んでいる場合、用事があって外出して戻ってくると、まず体温を測定される。熱がなくて初めて中に入れてもらえるのだ。ホームに住んでない人は、用事があっても入れない規則になっている。

 エレベータも2人以上乗ってはいけないし、郵便室も1人ずつしか入れない。老人ホームのダイニングルームもコーヒ室も、応接間も閉鎖された。今までは応接間に新聞が3紙置いていたが、それも見ることができなくなった。だから、世界のニュースはもっぱらインターネットに頼っている。

 ところで、私はハワイのホノルルにホテル・コンドを3部屋所有している。ホテル・コンドというのは、ホテルの1室を完全に所有し、オーナーである自分が使わないときは、ホテルの1室として観光客などに貸し、その収入をホテルとわけあうという、じつに便利なシステムである。

 だが最近、ハワイの州知事が「外国からハワイに来てはいけない」「もし来たなら、2週間隔離する」という声明を出した。それでハワイのホテルに観光客が来なくなり、普段の10~15%ぐらいしか客室が埋まらない。それどころか、これからもどんどん減っていくという通知を、私はホテル側から受け取った。

 そんなわけで、ハワイからの収入はほとんどゼロである。カリフォルニア州でもホテルの客が少なくなり、倒産したホテルも少なくないらしい。私は今では退職した身なので、年金以外の余分な収入というと、ホテル・コンドからの収入である。ところが、そこからの収入がほとんどなくなった。私にとっては痛手である。

 しかし、思いもよらなかった新型コロナウイルスの影響だから、個人としてはどうにもならない。この社会変異がいつまで続くかわからないが、当分はこのまま続くだろう。私の経済的な打撃も大きい。私はホテル・コンドでないコンドも所有している。それを貸し出すことで得る収入もあるので、少しは生活の補助にはなっていた。ところが、ブローカーから手紙を読んで驚いた。

 新型コロナウイルスの影響で家賃が払えない人もいるが、家主は彼らを追い出してはいけないことになったというではないか。今までの法律では、家賃を払わない人を裁判所の命令で追い出すことが出来た。しかし、新型コロナウイルス蔓延の影響で、この法律が暫時凍結されたのだ。私には本当に大きな打撃であるが、只々運を天に任せる以外に方法がないようである。

 さて、アメリカで一番被害の多い州はニューヨークだ。NYCには私の長女が住んでおり、お互いの消息はメールと電話でやり取りしている。4月4日の段階ではニューヨーク州では感染者が12万2031人で、死者が4159人だった。それでアメリカ政府は病院船を1隻ニューヨークの波止場に送った。この1隻で1000人収容できるという。

 なにしろアメリカは常日頃から戦争の準備を怠らない国だ。病院船を35隻持っているので、必要に応じてもっと使用できる。だから、患者を収容するには今のところ問題がないようである。

 

 これが新型コロナに侵された肺だ!

 トゥー博士からのメールには、インドネシアの法医学専門医であるエビ・ウントロ博士(Dr. Evi Untoro)から送られてきた2枚の画像が添付されていました。上が正常な肺、下が気腫になった新型コロナウイルスに感染した患者の肺です。腫れた肺は元に戻らないので死亡率が高い。この画像を見ても、いかに恐ろしいウイルスか分かるでしょう。

▲気道がくっきりと見える健全な肺

 

▲新型コロナウイルスで気腫になった肺

 


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