白井健康元気村

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ペットボトルの蓋 岩崎邦子の「日々悠々」(93)

2020-07-31 07:12:10 | 【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(93

ペットボトルの蓋 

                

 

 新型コロナウィルスに対する緊急事態宣言が解除されたのは、5月25日だった。ところが収束への道は、はるか遠いようだ。7月に入ってからの感染者数は、東京都をはじめ、全国に拡大の一途。驚きと恐怖が入り混じる日々である。

 若者の占める比率が多いのは、夜のクラブや飲食に伴う行動に問題があるのだろう。クラスター・家庭内感染・感染経路が不明であることも指摘されて、不安の要素が広がった。有効なワクチンが完成するまでは、新型コロナの封じ込めは出来ないのかも。

 感染拡大を沈静するための外出自粛と、景気回復を図るための「GO TOトラベル」キャンペーン。その二つの施策も、方向が二転三転。東京都も国も施策に困難なことは分かるのだが……。その「GO TOトラベル」だが、高齢者も「3密」さえ守れば、家の中にばかり居ることもないだろう。

 白井健康元気村では「農業クラブ」もある。畑には、夫と二人で出かけることが多くなった。車でなく、なるべく自転車で。夏野菜のキュウリやナスの収穫が楽しみだ。今は紫の可愛いブルーベリーが、たわわに色づいている。

 大手を振っているわけではないが、夫はゴルフの参加が自粛中より増えた。パークゴルフの週1の定例会にも、二人で参加をしている。蒸し暑さは強敵ではあるが、元気な仲間の顔が見られるのは嬉しいものだ。ホールインワンが出たり、スコアが良ければそれはそれで、嬉しくなる。が、楽しいことへの追及が勝り、上達への努力は、全く疎かに。

 パークゴルフを週に何回もプレーをしている強者もいるが、すっかり顔が見られなくなった人もいる。年を重ねれば何かしら都合の悪い病になる人もいるのだろう。足の運びがすっかり遅くなってしまった人もいる。私は性格がせっかちなので、ボールの傍に早く辿り着きたい。だから、走るような歩き方になってしまう。 

 私の運動神経は、子供時代からまるでダメだった。校庭の片隅にあるジャングルジムの上の方に登れない、雲梯は一つも前に進めない。滑り台をしたくても高い階段は上れないし、ブランコは少ししか揺らせない。鉄棒の懸垂も逆上がりも一度も出来ないし、跳び箱は飛べない。まさにないないづくし。 

 ドッジボール、バレーボール、ソフトボールも、クラスの戦力にはなれない。徒競走のある運動会に至っては、大の苦手だった。が、借り物競争などは不思議と得意な方だったような記憶がある。

 体育の成績は、当然、最低評価の「1」となるところだが、体操を真面目にしたことと、授業の筆記テストで何とかごまかせていた。だが、運動ダメダメ人間であることに変わりはない。そんな子供時代の私のことを知っている友人たちは、私が車の運転をすることや、パークゴルフの話を熱心にし、勧めることにも呆れている。

 さて最近、特にコロナ感染の恐怖で家に閉じこもりがちになる高齢者、そして運動神経のまるでダメな私にとって、「フレイル」の言葉が気になり始めた。ネットの記事の片隅や、病院内にあるポスターによく見かけるようになったからだ。

 すでに身体機能の低下をきたす注意喚起の言葉として、「ロコモティブシンドローム」や「サルコペニア」がある。「ロコモ」は、骨、筋肉、関節、神経などの運動器に障害が生じて歩行機能が低下した状態のこと。「サルコ」は、加齢に伴う骨格筋の萎縮で筋力と身体能力が低下した状態のことを指す。

 そうならないようにと、私は白井健康元気村の講演や簡単運動の講座も熱心に受けてきた。では、「フレイル」とは、一体何なのか。

 高齢化が進むと、身体機能や精神機能が低下し、社会との繋がりも少なくなってしまう。この状態を放置すると、要介護状態を招くことに。それを防ぐには、どうすればよいのか。分かりやすいのが、「頭と脚の健康に気をつけなさい」である。

 頭の健康と言われれば、うっかりミスや、失言、人の名が出ない、そして物忘れ。つまり、認知機能の低下だ。脚の健康はというと、動くことが少なくなって身体機能が低下し、歩くスピードが落ちることだろうか。

 フレイルのチェックリストがある。認知症テストに似ているのかもしれない。簡単なチェックリストを紹介すると、体重が減少した」「握力が弱い」「疲労感がある」「歩くのが遅い」「運動習慣がない」などがある。

 この中で、最近、私が身につまされて感じているのは、「握力が弱い」ことだ。例えば、お茶が入ったペットボトルの蓋である。かなり頑張らないと開けられないのだ。梅酒を薄めて飲むため、炭酸水をよく使う。炭酸水だから気密性を重視しているのか、このペットボトルの蓋になると、絶対に開けられない。私では無理。そこで悔しいが、お酒を飲めない夫に頼んでいる。

 もう一つ、以前より疲労感が増したかも。すぐに「疲れた~」となる。また、お腹を満たせば、眠くなってしまう。昼寝をすることで、解決しているのだが……。

 さて、フレイルを防ぐには、どうすればよいのだろう。ネットから学ぶことが出来るので、たまにはネットで調べてもらいたい。それも面倒だという人もいるかも。仕方がない。最低限のことを教えてあげよう。

 

  • 日常生活に運動を取り入れる。
  • バランスの良い食事をする。(低栄養はフレイルを起こす最大の要因とされている。)
  • 口腔・嚥下機能を保つ。(カラオケやコーラス、人とのおしゃべりは、効果がある。)
  • 社会とのつながりを持つ。(興味を持って行事に参加する。誰かと一緒に食事をする。)

 

 こうして、箇条書きしてみると、①と②は、本人の心がけ次第だが、③と④は、コロナ感染の予防対策に真面目に取り組んでいる高齢者にとっては、機会が少ないので、実践・参加には注意を払う必要があるかも。

 こんなことを、書いている矢先、白井市役所のSさんという人から電話が。私が住む集合住宅で催されていた「楽トレ(楽々トレーニング)」(コロナの影響もあって休みになっている)に参加していた人全員に問い合わせているらしいのだが、「体に変わりはないか」「運動はしているのか」と聞かれた。「フレイル」の言葉こそ出なかったが、長びく「楽トレ休止」による、高齢者への体調危惧感からなのだろう。

 5、6年前のことだ。私より先輩と思われる女性から「すみません、開けてください」と、お茶のペットボトルを差し出された。蓋を開けるのが困難になったのだろう。そんな私も、今ではペットボトルの蓋だけでなく、缶詰のプルタブも握力低下で苦労をするように。

 確実に年齢を重ねていくのは、致し方ない。もう割り切って、「あはは~」と、笑って過ごすも一つの手段かな?

 

 


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