【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(52)
「ふくしまつり」が9月28日、白井市の福祉センターで行われ、私も参加した。秋の気配が聞こえる頃から、年度末の3月にかけて順次、白井市の各公民館(コミュニティセンター)を利用者たちが中心になってフェスティバルなどのイベントが行われる。白井駅前センターや、西白井複合センターなど、交通の便の良い所は年が明けてから開催されが、ここでのイベントは例年、どこよりも先駆けて行われてきた。船橋カントリーの前にある福祉センターには、老人福祉センター・青少年女性センター・福祉作業所があるが、そこへ行くにはバスの本数も少ないので、車を利用することになる。
「ふくしまつり」を運営するのは、福祉センターを利用しているサークルの人たちだ。発表・体験部門、展示部門、販売部門があって、私は展示部門の「和の小物手芸・着物リフォーム」に参加した。私が所属している会は、月に一度だけで、特別にカリキュラムがあるわけではない。講師が用意した参考作品に沿って作ったり、時には手持ちの布で作りたいものを教わったりする。
ほとんどが家での作業を頑張らねば作品を仕上げることは出来ない。ブローチなどは彩が気に入って創作意欲が沸くこともあるが、若い頃と違って夜なべが出来ないことと、外遊びが過ぎて作業が思うように進まないのが悩みだ。
ところで、何年か前までは、福祉センターでも「ふくしまつり」とは言わず、他の公民館と同じようにフェスティバルとして、土・日の2日間行われてきた。参加団体も多かったため、その準備のためには市内の各公民館から、机やパネルなどを借り受けねばならない。だから、ボランティアの人たちが活躍してくれて成り立っていた。
でも、そうした人たちも高齢化したので、作業をお願いするのも難しい。また所属する各サークルの人たち自身も高齢化が進み、盛況だった頃に比べてその数が年々減っている。私が行っている手作りを楽しむサークルも、20年近く前に入所した頃に比べると会員は大幅に減少した。それに10年程前から市内の公民館を利用する手続きも高齢者には面倒なことに。パソコンや携帯で申し込まなければならなくなったのである。
この会では順番にリーダー役をすることになっていたが、その操作を苦手とする人が少なくない。だから、役が来る前に辞める人が続出した。私自身もパソコン操作は得意ではないが、会の存続のために、それを引き受けることになった。その後は誰もリーダーを引き継いでくれる人がいないまま、今日に至っている。そんなわけで、私が最長老となってしまった。
この催しの準備は、前日に飾り付けなどの会場造りをする。パネルの組み立てや机などの運び込みは、会員同士が助け合う。が、なにせ皆さん高齢者が多いので、体が思うように動かない。しかし、今のセンター長さんが若い男性になったこともあって、それらの難儀な作業のすべてを率先して引き受けて下さった。なんと有難いことか!
会員が各自持ち寄った作品を、パネルにはフックを掛けて、バッグやタペストリーを飾る。机の上には、テーブルクロスを敷いて、カードケースやポーチ、簪・葡萄・向日葵・団栗などのブローチを並べた。先生の和風飾りの作品も別のテーブルに並べて、「ふくしまつり」の準備は完了した。
当日の朝は、市長の挨拶や和太鼓演奏のセレモニーで始まった。幸いにも天気には恵まれたが、例年なら来場者の中に学童やその父兄も多く見られたのに、それがなかった。近隣の学校行事と重なったのだろうか、少し賑わいに欠けたことが残念であった。参加者が以前に比べて少なくなっていること、予定していながら不参加となったサークルもあることも分かった。なんとも淋しいことではある。
このところ高齢化問題・後継者不足が、取りざたされているが、このことは農家や中小企業における問題だけでなく、身近な所にもじわじわと押し寄せて来ているようだ。高齢の私である。いつ会への参加が出来なくなってもおかしくはないが、気に入った「布たち」とは、いつまでも遊びたいな。