白井健康元気村

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身近に迫った認知症 その現実を専門家6人が明かす

2022-04-26 05:03:52 | 健康講座

身近に迫った認知症

その現実を専門家6人が明かす

▲認知症への関心が会場を満席に

 

今年初めての「健康教室」

 白井健康元気村の主催の「健康教室」が4月24日、白井市文化会館2階の「かおりホール」で開催されました。今年になって初めての開催だったせいか、人数制限があったにもかかわらず、用意された50席はほぼ満席。

 また今年になって初めての開催だったので、いつもより参加者が多かったのかもしれません。しかし、それだけではないでしょう。高齢者にとって、認知症は身近に迫った現実だからです。

 家族や友人・知人の中に認知症の人は何人かいるはずです。それに誰もが「自分もいつかは…」と心配しているので、大きな関心を呼んだのでしょう。

 今回のテーマは「認知症本人の話から学ぶ  これからの認知症」。いつものような講演形式ではなく、パネルディスカッション形式でした。参加したのは、次の6人です。

石田美穂さん(デイサービス優楽里 相談員)
鵜澤君衣さん(北総白井訪問看護ステーション 居宅介護支援部 管理者)
堂柿智恵子さん(愛の家グループホーム白井冨士 管理者)
加藤多恵さん(白井市高齢者福祉課地域包括ケア推進係 保健師)
栗原奈津子さん(白井市高齢者福祉課地域包括ケア推進係 保健師)
上野美波さん(白井市高齢者福祉課白井駅前地域包括支援センター 保健師)

 言うまでもなく、いずれも認知症対策の専門家です。

▲進行役の加藤多恵さん

 

 加藤多恵さん(白井市高齢者福祉課)が進行役をつとめ、それぞれの自己紹介から健康教室が始まりました。まずは認知症の理解を深める普及・啓発キャンペーンDVDの視聴から。認知症になった4人(女性2人、男性2人)が登場、それぞれのケースを語り合う座談会です。

▲普及・啓発キャンペーンDVDに登場する4人 

 

 女性のBさんは「医者から『若年性認知症になると、5年で廃人になる』と言われて、落ち込みました」と、そのときの絶望感を語りました。「認知症になった先輩のことをイメージして自分の将来を悲観した」(男性のCさん)、「私も認知症だった祖母のようになるのか」(女性のAさん)とショックだったことを明かします。

 30代男性のDさんが衝撃を受けたのは、「40歳以下は介護保険の対象外なので、支援は何もない」と言われたことでした。DVDの登場者に共通している点は、介護ではなく、日常生活を続けるためのサポートを望んでいるということです。もう一つが、認知症をオープンにすることでした。

「最初は認知症になったことを妻にも子供にも言えなかった」というDさんでしたが、認知症であることを公表してから、気持ちが楽になったそうです。

「運転経歴証明書を見せて自分が認知症だと周囲に知らせるようにしたら、みんなが手助けしてくれるようになった。そうすることで『できることは何でもやる!』という気持ちになれました」とCさんがオープンにすることの利点を強調。Bさんも「社会全体が『認知症の人も一緒にやろう』という体制になればいい」と願ってやみません。

 それにしても、皆さんがはきはきとしゃべっているので、けっして認知症という感じがしません。

認知症をオープンに

▲堂柿智恵子さん

 

 堂柿智恵子さん(愛の家グループホーム白井冨士)は「認知症というと、どうしても末期の人をイメージしがちですが、このDVDに登場する人たちは違う。こういった状態が続けば、自分らしい生活が送れるのでは…」と、明るさに注目します。「自分が認知症だということを知られたくない。でも、オープンにすることで、手助けがもらえるので、進行を緩やかなものにしている。いいことだと感じています」

▲石田美穂さん

 

「認知症に限らず、自分の症状を受け入れるのは大変なことです。気持ちのバランスをとるのが難しいのでしよう」と石田美穂さん(デイサービス優楽里 )。「私、道の行き方を若いときから何回聞いても覚えられない。若いときからすごい方向オンチなんです。『なんで覚えられないんだ!』とみんなに言われて、落ち込んだものですよ。でも、認知症も同じじゃないでしょうか。今では助けてもらっています」

 誰もが最初は認知症状を隠そうとしがちです。しかし、周囲にオープンにすることで、別の世界が現れてくるのではないでしょうか。鵜澤さんがDVDに登場するDさんを例にあげました。

▲鵜澤君衣さん

「Dさんが職場の隣の人に『あの人、誰?』と、さりげなく聞くと、『社長だよ、社長』と言われた。それをTさんから聞いたとき、覚えるのが苦手なんだということを、周りの人にちゃんと伝えていたから、そこだけフォローしてくれたということにつながって来ると思う」

 鵜澤さんがつづけます。

「認知症の当事者の話を聞いていると、私たち専門職が『こんなことをして欲しいのでは」というのと、本人がどうして欲しいのかというのに、差があるのかなあということも感じました。ところで、白井市でも、認知症当事者の話を聞く活動を始めているということを聞いたのですが…」

白井市が始めた「本人ミーティング」

▲栗原奈津子さん

 

  白井市でも「本人ミーティング」という取り組みを前年度から始めたばかり。栗原奈津子さん(白井市高齢者福祉課)が「本人ミーティング」の内容を説明しました。認知症の十数名から聞き取って分かったのは、「意欲がわかない」「気力が薄れてきた」といった症状をはじめ、次のようなことを訴える人がいました。

・常に眠気との闘い。
・もともと短気な性格だが、カッとするときが増えた。
・運転免許の更新ができず、受診を勧められた。運転(仕事)が生きがいだったで、免許がなくなりガクッと落ち込んだ。
・最近まで働いており、ずっと健康に気を付けていたので、いまだ受け入れられないこともある。
・家族ができないことをやってくれるが、せつない。
・すぐ忘れる虚しさは悲しい、情けない。周りは何度でも聞いてというが、悔しい気持ち。
・家族に頼まれたことをすぐに忘れることでもめてしまう。
・家族の反応は自分ではなかなか変えられない。いろいろ細々言われてしまうと、やらない方がいいのかなと思ってしまう。
・今後どうなっていくのか不安。
・老化と認知症と区別できない。どこからが認知症なのかと不安になる。とくに一人暮らしだと、気づけないかもしれないと怖くなるときがある。認知症かもと不安を友人に話しても、「皆、そうよ」となる。

 医師や薬との付き合い方についても、「医師からは心ある言葉が欲しい」「認知症の薬との付き合い方に悩んでしまう」という意見が出ました。

 また認知症状に対する工夫や気持ちの持ち方についても、「携帯のタイマー機能を使って服薬時間を設定している」「30分タイマーをつけて本を読む。1時間寝たら起きるなど、自分に強制力をかけてやっている」「落ち込んだときは寝て疲れをとる」「仲間に物忘れがあることを伝えている。手伝ってくれることを素直にありがたいと思い、受け入れている」という声があったそうです。

 では、家族は何をすればよいのか。

「本人に手伝いなどを頼むときは、詰めすぎないように、一つずつできることを声がけしている」「やらなきゃいけないことがないと、日中横になってしまうで、食器洗いや買い物など、自分でやらずに、わざわざ本人に頼むようにしている」

 本人ミーティングに参加した本人と家族は、どう感じたのでしょうか。

《本人》
「本音で話せたので、よかった」「行動範囲が広がるので、認知症をオープンにした方がいい」「引きこもらないことが一番大事と思えた」「いろいろな話が聞けたので、いきなり認知症になるのではないと知ることができた」
《家族》
「認知症の人は孤立している。認知症の人、不安な人、関心のある人が気楽に集まって、みんなで気兼ねなく本音で話せる場はとても大切」「この先、どうなるのか不安だったが、そんなに『予防予防』と言わなくてもいいのかなあと思えた」「何かあれば助けてくれる人がいるんだと知って、『何とかなるかなあ』と思えたのが、参加して一番の収穫だった」

▲上野美波さん

 

 栗原さんと同じ高齢者福祉課の上野美波さんは、白井市が実施している「認知症サポーター/認知症パートナー養成講座」と認知症カフェ「お楽しみ処」を紹介しました。

 パネルディスカッションがまだまだ続きます。会場で熱心にメモをとる人も。こうして一時間半に及ぶ健康教室は盛会のうちに幕を閉じました。

 

白井市は認知症に

どう取り組んでいるのか

 

 

 

 

認知症を予防するには…

 

 


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