オーディフィル公式ブログ (趣味の小部屋)

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リアルで心地よい音の【ひのきスピーカー】を製作中。

PMCの「ATL」と、自作の「TQWT」と、カノン5Dの「ネセサリーRS」の話

2011年10月16日 07時47分00秒 | オーディオ
前回の日記で発表した「ネセサリーRS」ですが、
形状自体は、既視感を覚える方も多いはず。


市販スピーカーに詳しい方は、
PMCの「アドバンストトランスミッションライン」「ATL」
と類似しているように感じるかもしれません。


確かに、形状は良く似ています。

PMCによると「ATL」は、
•明確な解像度と低減された歪み
•均等な周波数レスポンス
など、様々な利点があるようです。
http://www.hibino-intersound.co.jp/pmc/9.html

しかし、この設計思想自体は「共鳴管」とは全く異なるものです。
「ATL」は「共鳴してはいけない」管なのです。

「ATL」は、管に吸音材を敷き詰めることで、
PMCならではのリジッドで正確な低音再生を支える箱となっています。
どちらかというと、「ノーチラスチューブ」に近い箱だといえます。

技術的には、こちらのwebページに明確な説明があります。
http://www.gem.hi-ho.ne.jp/katsu-san/audio/Speaker/TLS_SS.html




一方、自作スピーカーに詳しい方は、
「TQWT(Tapered Quarter Wave Tube)」を想像されるかもしれません。


こちらも、テーパーの感じなど、かなり似ていますね。

TQWTは、ユニットの取り付け位置や、
各部の寸法など、かなり細かい指定があります。
http://vicdiy.com/products/tqwt/tqwt.html
http://www.diy-sound.net/contents/spbox_10.html
http://www.bonavolta.ch/hobby/en/audio/tqwt.htm

TQWTの根本的な設計思想としては、
・パイプをテーパー状にすることで、高次振動を抑える
・ユニット位置は、低次高調波(2倍or3倍)がキャンセルされる位置
・開口部の一部を塞ぐことで、中高域のモレを防ぐ
となります。

一方、私が今回作った「ネセサリーRS」は、設計思想に大きな違いがあり、
・パイプをテーパー状にすることで、内部定在波を分散させる。
 共振の抑制が起こらないよう、テーパーは緩めとする。
・ユニット位置は、200Hz以上にある高次高調波(5倍振動以上)が減衰される位置。
・開口部は、そのまま開口とし、空気の流れを妨げず最大の共鳴効率を得る。
となっています。

結果として、TQWTは、
非常に急なテーパー型となっていることで、最低域では共鳴が得られず(実験で確認済み)、
最低域は開口部の一部を塞ぐことによるバスレフ動作で補完している。
(つまり、動作としては細長い大容量バスレフ箱)
と私は解釈しています。

形は似ていても、
そこに至る設計思想や、結果としての動作原理など、
大きく違っていると思います。



さて、次回は製作編です!!
(ちょっと余談が入るかも?)

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