ところにより強い雨が降っていますね。
週末はオーディオでゆっくり過ごすのも良さそうです。
さて、今日は
「フルレンジスピーカーの長所と短所」というお題で、お伝えしようと思います。
市販のスピーカーの多くは、2way以上の構成、
つまり「ウーハー」と「ツイーター」による2wayスピーカーが大半を占めています。
その一方で、オーディフィルのスピーカーは、
現在は「フルレンジ」方式のみとなっています。
そこで、フルレンジを作る身として、
その方式の良し悪しについて、書いてみようと思います。
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フルレンジの長所 その1
「時間軸方向の正確さ」
フルレンジスピーカーは、2wayよりずっとシンプルな方式です。
音が出るユニットが一つ。
ネットワーク回路も入らないことが多いです。
そのため、特に時間軸方向で、
アンプから送られてきた信号を、そのまま音にする能力に優れていると言われています。
音の波形を忠実に再現するには、まずは時間軸を整えてやることが大切。
楽器のリアリティや、ボーカルの音像感は、まさに「時間軸」がしっかりしているかが勝負になってくるでしょうか。
フルレンジ方式は、そのシンプルさゆえに、
フォーカスの合った、リアルな音になりやすいのです。
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フルレンジの短所 その1
「レンジが狭い」
一方で、短所としては、
「高音」と「低音」に専用のユニットをもつ2wayスピーカーと比べると、
低音、高音それぞれの音域が狭くなる、ということがあります。
古典的なフルレンジは、とくに顕著でして、
「声の帯域が再生できれば十分」という
割り切った使い方をされることもしばしばです。
ただ、最近のフルレンジユニット、
特に「PARC Audio」や「マークオーディオ」の製品は、
2wayにも匹敵するような、高域と低域の伸びを持っています。
これらのメーカーのフルレンジは、
かなり低音を出しやすい16cm口径クラスでも、
十分に伸びやかな高域特性を持たせており、
一般家庭で音楽を鑑賞するうえで、過不足のない帯域を確保できていると考えています。
とはいっても、やはりフルレンジはフルレンジ。
20kHz以上の超高域がもたらす、潤い感や、豊かな質感を求めると、
ツイーターを搭載する2wayに分があると感じています。
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フルレンジの長所 その2
「点音源」
フルレンジスピーカーは、音が出るところが一つです。
それゆえに、「点音源」と呼ばれる、
ステレオ再生において理想的な状態に近づくことになります。
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2wayのように、二つの音源から音が出てくるスピーカーは、
とくに近接試聴において、その違和感を感じやすいとされています。
また、2way派が主張する優れた周波数特性も、
垂直方向がズレると、一気に崩れてしまいます。
(2つのユニットからの距離が変わり、位相が合わなくなるため)
そうした観点から、
フルレンジは、小さな部屋での試聴に最適
と言えるかもしれません。
8畳未満のオーディオルームでの近接試聴では、
フルレンジの点音源メリットは大きくなると感じています。
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フルレンジの短所 その2
「各種の歪み(ひずみ)」
フルレンジスピーカーは、その一つの振動板から全体域の音を出すため、
どこかしらで歪っぽい音が出ることがあります。
そして、どんなに優れたフルレンジユニットでも、
「ドップラー歪」からは逃れることができません。
ドップラー歪というのは、低域信号で大きく揺れ動く振動板から、
高域信号を同時に出した場合、低域信号の揺れによるドップラー効果で高域に歪が出ることです。
試聴会のような広い会場で、
パイプオルガン(低音)とバイオリン(高音)の入っているソースを鳴らすと、
耳ですぐに分かるぐらいのドップラー歪がでることがあります。
とはいっても、このドップラー歪は、
一般家庭で鳴らす音量では、まず耳にすることはありません。
振動板の振幅限界近くまで鳴らさなければ、
ドップラー歪は、まず問題になることはないと考えています。
一般家庭での音量で気になる歪があるとすれば、
「分割振動」に基づくものでしょう。
2wayのように帯域を分けているスピーカーに比べ、
フルレンジは、コーン紙の分割振動を積極的に使って、
高域を伸ばしてやる必要があります。
それゆえに、固有の音色が付くことがあり、
それとリスナーの好みが合わないと、「歪」と感じるようです。
逆に、その固有の音色と、リスナーの好みが一致すると、
「魅力的な再生音」だとか「音の旨味」とも感じられます。
真空管アンプは、計測値では歪が多いのですが、
その音色に魅了される人が多い、という話も、これと同じですね。
一概に【歪=悪】とはいえないというのが、
オーディオの奥深いところかもしれません。
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フルレンジの長所 その3
「ユニットのクオリティ1」
これは余り議論されることはないのですが、
2wayとフルレンジでは、ユニット一つにかけられる予算が大きく異なります。
2wayの場合、「ウーハー」「ネットワーク」「ツイーター」の
三つに限られた予算を割り振ることになるのですが、
フルレンジの場合は、フルレンジユニット一つに、
すべての予算を投じることができます。
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そのため、特に安価な部類のスピーカーでは、
下手に2wayにするより、フルレンジとして集中投資をする方が、
結果的にハイクオリティな音が手に入ることも多いのです。
ただ、残念なことに、量産型の市販スピーカーでは、
たとえ安価な製品でも「見た目」を重視した結果として、
2wayが選択される例も多々あるようです。
オーディフィルのスピーカーは、
音質本位で「フルレンジ」を選択しているので、
その値段や外見からは想像できない音に驚かれるかと思います。
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フルレンジの短所 その3
「ユニットのクオリティ2」
これは、フルレンジか2wayのどちらが原理的に優れるか、という観点ではなく、
ある種の市場原理を含めた話になってきます。
「ウーハー」「ツイーター」の組み合わせが、現在のスピーカーの主流であり、
特に海外のユニットメーカーで、製品開発が積極的に行われています。
優れたハイエンドスピーカーに搭載されるために開発された技術が、
ウーハーやツイーター単品の設計にも展開され、
結果的に2way構成の場合のほうが、優れたユニットが豊富に存在する、ということがあります。
先ほど、「予算が限られる場合はフルレンジが有利」とお話ししましたが、
逆に「予算が十分に確保できる場合は、2wayが有利」とも考えています。
どの程度で、予算が十分というか...については、
左右のユニット合計で、3万円前後が境目になると考えています。
フルレンジなら、1本 1万5千円。
まあまあな高級フルレンジユニットが手に入りますね。
2wayなら、ウーハー7千円、ツイーター5千円、ネットワーク3千円(片チャンネル)でしょうか。
CP比に優れる新興国製のユニットと、緩急をわきまえたネットワーク構成で、ぎりぎり行けるところでしょう。
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さて、こうして2wayとフルレンジを比べてみましたが、
まだまだ長所短所はあるかもしれませんね。
オーディフィルとしては、
価格・用途・製品コンセプトから、
今までフルレンジを選んできましたが...
いよいよ、待望の2way機の開発を行うことにしました!
今年の秋ごろの公開に向けて、少しづつ進めていこうと思います。
また進捗があれば、こちらのブログでも報告していく予定ですので、
ぜひともお楽しみに!
2021.03.17追記
記事投稿から3年が経ちましたが、フルレンジスピーカーの立ち位置は変わりませんね。 新しい潮流としては、イヤホンやヘッドフォンに親しんだ方が、デスクトップオーディオにフルレンジスピーカーを選ぶ姿を見るようになったことでしょうか。
フルレンジの1番の良さは、そのストレートな音色。 無色透明かどうかはさておき、音の魅力がポーンと飛んでくる魅力とでも言えば良いでしょうか。
制約の多いオーディオの場合、音の広がりやレンジ感を伸ばすのは至難のわざです。 そんなとき、フルレンジの気持ちいい鳴りっぷりに身を委ねてみるのも、一興なのではないでしょうか。
自作を含めフルレンジは、以前より新製品の発表ペースは落ちたように感じます。 しかし、そんな今だからこそ、お気に入りの逸品を見つけて、心ゆくまで堪能できるゆとりが生まれているかもしれません。
(追記 終 )
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週末はオーディオでゆっくり過ごすのも良さそうです。
さて、今日は
「フルレンジスピーカーの長所と短所」というお題で、お伝えしようと思います。
市販のスピーカーの多くは、2way以上の構成、
つまり「ウーハー」と「ツイーター」による2wayスピーカーが大半を占めています。
その一方で、オーディフィルのスピーカーは、
現在は「フルレンジ」方式のみとなっています。
そこで、フルレンジを作る身として、
その方式の良し悪しについて、書いてみようと思います。
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フルレンジの長所 その1
「時間軸方向の正確さ」
フルレンジスピーカーは、2wayよりずっとシンプルな方式です。
音が出るユニットが一つ。
ネットワーク回路も入らないことが多いです。
そのため、特に時間軸方向で、
アンプから送られてきた信号を、そのまま音にする能力に優れていると言われています。
音の波形を忠実に再現するには、まずは時間軸を整えてやることが大切。
楽器のリアリティや、ボーカルの音像感は、まさに「時間軸」がしっかりしているかが勝負になってくるでしょうか。
フルレンジ方式は、そのシンプルさゆえに、
フォーカスの合った、リアルな音になりやすいのです。
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フルレンジの短所 その1
「レンジが狭い」
一方で、短所としては、
「高音」と「低音」に専用のユニットをもつ2wayスピーカーと比べると、
低音、高音それぞれの音域が狭くなる、ということがあります。
古典的なフルレンジは、とくに顕著でして、
「声の帯域が再生できれば十分」という
割り切った使い方をされることもしばしばです。
ただ、最近のフルレンジユニット、
特に「PARC Audio」や「マークオーディオ」の製品は、
2wayにも匹敵するような、高域と低域の伸びを持っています。
これらのメーカーのフルレンジは、
かなり低音を出しやすい16cm口径クラスでも、
十分に伸びやかな高域特性を持たせており、
一般家庭で音楽を鑑賞するうえで、過不足のない帯域を確保できていると考えています。
とはいっても、やはりフルレンジはフルレンジ。
20kHz以上の超高域がもたらす、潤い感や、豊かな質感を求めると、
ツイーターを搭載する2wayに分があると感じています。
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フルレンジの長所 その2
「点音源」
フルレンジスピーカーは、音が出るところが一つです。
それゆえに、「点音源」と呼ばれる、
ステレオ再生において理想的な状態に近づくことになります。
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2wayのように、二つの音源から音が出てくるスピーカーは、
とくに近接試聴において、その違和感を感じやすいとされています。
また、2way派が主張する優れた周波数特性も、
垂直方向がズレると、一気に崩れてしまいます。
(2つのユニットからの距離が変わり、位相が合わなくなるため)
そうした観点から、
フルレンジは、小さな部屋での試聴に最適
と言えるかもしれません。
8畳未満のオーディオルームでの近接試聴では、
フルレンジの点音源メリットは大きくなると感じています。
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フルレンジの短所 その2
「各種の歪み(ひずみ)」
フルレンジスピーカーは、その一つの振動板から全体域の音を出すため、
どこかしらで歪っぽい音が出ることがあります。
そして、どんなに優れたフルレンジユニットでも、
「ドップラー歪」からは逃れることができません。
ドップラー歪というのは、低域信号で大きく揺れ動く振動板から、
高域信号を同時に出した場合、低域信号の揺れによるドップラー効果で高域に歪が出ることです。
試聴会のような広い会場で、
パイプオルガン(低音)とバイオリン(高音)の入っているソースを鳴らすと、
耳ですぐに分かるぐらいのドップラー歪がでることがあります。
とはいっても、このドップラー歪は、
一般家庭で鳴らす音量では、まず耳にすることはありません。
振動板の振幅限界近くまで鳴らさなければ、
ドップラー歪は、まず問題になることはないと考えています。
一般家庭での音量で気になる歪があるとすれば、
「分割振動」に基づくものでしょう。
2wayのように帯域を分けているスピーカーに比べ、
フルレンジは、コーン紙の分割振動を積極的に使って、
高域を伸ばしてやる必要があります。
それゆえに、固有の音色が付くことがあり、
それとリスナーの好みが合わないと、「歪」と感じるようです。
逆に、その固有の音色と、リスナーの好みが一致すると、
「魅力的な再生音」だとか「音の旨味」とも感じられます。
真空管アンプは、計測値では歪が多いのですが、
その音色に魅了される人が多い、という話も、これと同じですね。
一概に【歪=悪】とはいえないというのが、
オーディオの奥深いところかもしれません。
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フルレンジの長所 その3
「ユニットのクオリティ1」
これは余り議論されることはないのですが、
2wayとフルレンジでは、ユニット一つにかけられる予算が大きく異なります。
2wayの場合、「ウーハー」「ネットワーク」「ツイーター」の
三つに限られた予算を割り振ることになるのですが、
フルレンジの場合は、フルレンジユニット一つに、
すべての予算を投じることができます。
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そのため、特に安価な部類のスピーカーでは、
下手に2wayにするより、フルレンジとして集中投資をする方が、
結果的にハイクオリティな音が手に入ることも多いのです。
ただ、残念なことに、量産型の市販スピーカーでは、
たとえ安価な製品でも「見た目」を重視した結果として、
2wayが選択される例も多々あるようです。
オーディフィルのスピーカーは、
音質本位で「フルレンジ」を選択しているので、
その値段や外見からは想像できない音に驚かれるかと思います。
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フルレンジの短所 その3
「ユニットのクオリティ2」
これは、フルレンジか2wayのどちらが原理的に優れるか、という観点ではなく、
ある種の市場原理を含めた話になってきます。
「ウーハー」「ツイーター」の組み合わせが、現在のスピーカーの主流であり、
特に海外のユニットメーカーで、製品開発が積極的に行われています。
優れたハイエンドスピーカーに搭載されるために開発された技術が、
ウーハーやツイーター単品の設計にも展開され、
結果的に2way構成の場合のほうが、優れたユニットが豊富に存在する、ということがあります。
先ほど、「予算が限られる場合はフルレンジが有利」とお話ししましたが、
逆に「予算が十分に確保できる場合は、2wayが有利」とも考えています。
どの程度で、予算が十分というか...については、
左右のユニット合計で、3万円前後が境目になると考えています。
フルレンジなら、1本 1万5千円。
まあまあな高級フルレンジユニットが手に入りますね。
2wayなら、ウーハー7千円、ツイーター5千円、ネットワーク3千円(片チャンネル)でしょうか。
CP比に優れる新興国製のユニットと、緩急をわきまえたネットワーク構成で、ぎりぎり行けるところでしょう。
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さて、こうして2wayとフルレンジを比べてみましたが、
まだまだ長所短所はあるかもしれませんね。
オーディフィルとしては、
価格・用途・製品コンセプトから、
今までフルレンジを選んできましたが...
いよいよ、待望の2way機の開発を行うことにしました!
今年の秋ごろの公開に向けて、少しづつ進めていこうと思います。
また進捗があれば、こちらのブログでも報告していく予定ですので、
ぜひともお楽しみに!
2021.03.17追記
記事投稿から3年が経ちましたが、フルレンジスピーカーの立ち位置は変わりませんね。 新しい潮流としては、イヤホンやヘッドフォンに親しんだ方が、デスクトップオーディオにフルレンジスピーカーを選ぶ姿を見るようになったことでしょうか。
フルレンジの1番の良さは、そのストレートな音色。 無色透明かどうかはさておき、音の魅力がポーンと飛んでくる魅力とでも言えば良いでしょうか。
制約の多いオーディオの場合、音の広がりやレンジ感を伸ばすのは至難のわざです。 そんなとき、フルレンジの気持ちいい鳴りっぷりに身を委ねてみるのも、一興なのではないでしょうか。
自作を含めフルレンジは、以前より新製品の発表ペースは落ちたように感じます。 しかし、そんな今だからこそ、お気に入りの逸品を見つけて、心ゆくまで堪能できるゆとりが生まれているかもしれません。
(追記 終 )
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「波形
「(周波数の違う音同士の)位相
とかに考えを巡らせても無駄だよ。