オーディフィル公式ブログ (趣味の小部屋)

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<S-041> 試聴・測定編3 (FE126E+2.7L空気室+中央ver.)

2014年03月08日 05時20分59秒 | オーディオ
さて、前回まで「S-041」の視聴・測定をしてきましたが、
この「S-041」は、ヘッド部分を交換して、空気室容量を自由に変更できるのです。






今回の日記では、
空気室容量を「1.9L(写真右)」から「2.7L(写真左)」へ変更しての違いを確認してみます。

おさらいとして、今回、視聴・測定するS-041の設計はこんな感じです。
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搭載ユニット:FOSTEX FE126E
(口径12cm、m0:2.9g、Qo:0.25、実効振動板面積 66.4cm2)
空気室容量:2.7L ←【ここ変わりました!】
スロート断面積:49cm2 (スロート絞り率:74%、Fx=181Hz←【ここも変化】)
ホーン広がり率:0.75
ホーン長さ: 1.2m
開口部面積:128.1cm2 (断面積比:2.6倍)
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なお、「Fx」「ホーン広がり率(広がり定数)」については、下記ページを参照してください。
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza15.html
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza16.html

<視聴感想>

単純に空気室容量が違うだけなのですが、全く違う音で驚きました。
大きな変化としては、音のレンジが広くなる一方で、深みや味わいが減少してしまう感じです。


ソプラノは、1.9Lは密度感が高い表現だったのに対し、2.7Lではサラッと流す感じで繊細。2.7Lは客観的な表現という感じであり、三味線のような土臭さが欲しいものでは逆効果。アッサリとした音になってしまいました。

ウッドベースは、1.9L空気室では、緩急が自在な演奏を堪能できましたが、2.7Lでは輪郭が緩み、音程感も大幅に劣ってしまいボワンとした感じで鳴るようになってしまいました。

一方で、ギターは絶好調。1.9L空気室では硬さが残る音色でしたが、2.7Lはレンジが広く聞こえ、現代的な表現で好ましく感じました。

結論として、こんな感じでしょうか。
【1.9L】濃厚、表情豊か、ナローレンジ、ピラミッドバランス
【2.7L】繊細、単調、あっさり、現代的ワイドレンジ、上ずってる


2.7Lの状態で、さらに聴きこみを進めていきます。

茅原みのり「境界の彼方」では、開放感のある音色です。シンバルワークが手に取るように分かり、分解能は極めて高いといえます。
空気室を大きくしたことで、フルレンジの高域再生能力を十分に引きだせていることが分かります。フルレンジとは思えないレンジ感だといえるでしょう。

一方で、低域が殆ど感じられず、音階も曖昧。中低域のレベルも低く、かなりハイ上がりだと言えると思います。
良い意味で解釈すれば、楽曲の透明感の演出につながっている…といえるでしょうか。


次は、アコースティック楽器を聴いてみます。
ギターは、空間の広がりを感じさせ、音像もシャープ。手の動きを伝える高域の情報も十分です。
バイオリンは澄んだ表情で、切れ味に富んでいるのが好ましいです。胴の響きは得られませんが、音色の美しさは逸品です。

一方で、課題はやはり、中低域。
パイプオルガンは、低音がボヤけてしまい、音色も単調です。明らかにホーンが駆動できていない感じなのです。これではバックロードホーンの良さが感じられません。
チェロでは、かなり高い帯域に(500~800Hz)にホーン鳴きが感じられました。和太鼓を聴いても湿っぽい感じで、余り好ましくありません。


<各種測定結果>

さて、視聴感想はこの辺にして、測定をしていきます。
今回は考察はほどほどに、測定結果を載せていきます。

まずは、SP本体を壁際(普段の設置場所)に設置し、軸上1m(片ch)で周波数特性を測定します。

(設置:壁際、 距離:軸上1m )

この辺は、1.9Lverとほぼ同じですね。

次に、軸上から30°だけずらしたマイク位置で再測定するとこんな感じになります。


これも、ほぼ同一。あれほど聴感特性が変化したのに、周波数特性は殆ど変らずです。


次は、部屋の中央付近での測定を行います。


うーん、140Hzにピークがあるように見えるかな?

こちらは、軸上ではなく30°ずらしての測定。

(設置:部屋中央付近、 距離:距離:30°0.5m )
ユニットは変化なしなので、高域の減衰は変化なしですね。

お次は、ユニット直前の特性です。

(設置:部屋中央付近、 距離:ユニット直前 5cm )

ディップは、60Hzと、160Hzにあります。これも、1.9Lverと同じですね。

こちらは、ホーン開口部の特性。
ホーン開口部に、マイクを突っ込んでの測定です。


(設置:部屋中央付近、 距離:ホーン開口部 0cm )


ラストは、インピーダンスの測定です。


綺麗な三つ山特性ですね。
この辺は、次回の日記以降で一つずつ考察していこうと思います。


さて、今回は沢山の測定結果を並べてしまいましたが、
次回の日記で、1.9Lと2.7Lの比較をしながら、データを見ていこうと思います。

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