連載でお伝えしている硬貨インシュレーターシリーズ。
第3回となる今回は、1円~500円を使用した実験をお伝えします!
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第2回では、インシュレーターの効果として、
必ずしも「制振」だけでなく、より調和のとれた振動を作り出す「整振」もあることを説明しましたね。
硬貨インシュレーターも、いわば「金属の円盤」であることに過ぎないので、
この独自の響きをいかに使っていくか、がキモとなってきます。
そんなわけで、硬貨インシュレーターの序章として
それぞれの硬貨が「どんなキャラクター」を持っているのか、
を徹底的に調査してみました。
やり方としては非常に単純。
硬貨2枚をぶつけて、その音を測定します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/4f/4b0c0fda3b8be1f1e9f4aba5a9c0ebb5.jpg)
一枚をクッションの上に置き、
そこに対して二枚目の硬貨を、高さ20cmから硬貨を落とします。
この音をマイクを使って録音し、周波数特性を求めます。
余分な音が入らないよう、クッションを敷いたり、
適切な枚数(最終的に2枚のみ)など、測定条件も試行錯誤しています。
とはいっても、手作業の調査なので、
以下の落下パターンによって、やや結果がブレることも分かっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/8f/eb999a630b2e09ec124f967bcb83f5e7.jpg)
いちばんシンプルな落ち方は、①のパターン。
一度だけ衝突したのちに、すぐにクッションへ硬貨が移動する場合です。
一番、ピュアな音がとれますが、得られる結果に偶然性(衝突のクセ)が乗るようです。
②は、二回衝突してから、クッションへ行くパターン。
二回衝突している分、得られる音圧も高く、比較的好ましい結果が得られました。
③は、何度も衝突して、最終的に二枚の硬貨が重なるパターン。
衝突回数が多く、打撃音によるノイズが乗りやすくSNが低下します。(欲しいのは金属の共鳴音の方です。)
今回は、二回、コインの裏表を変えての測定を行い、
双方の結果と、聴感を合わせて議論を進めます。
周波数特性の見方は、赤線が硬貨の音になります。
黒線はバックグラウンドノイズ。参考までに載せました。
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1円玉
<若木デザインが上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/5d/f479af238172600a3dfb7fea8288d06e.png)
<数字1が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/ee/1f595908911fb19fa2f6d8de3f4069b1.png)
聴感上は「ジリッ」というような音。
金属音というより、接触音というような感じで、あまり硬貨っぽい音ではありません。
特性上は、4~5kHz付近に小さなピークが見られるのみ。
10kHz付近にもブロードなピークがあり、小口径硬貨らしい特性です。
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5円玉
<稲穂が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/b3/537ff17e729b84d1bc58e96f276c6f61.png)
<日本国が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/26/80735c0620aafce1372eee5cfe6f591c.png)
聴感上は、「チリイーン」というような音。
お賽銭箱のイメージに一番近い華やかな音。さすがは五円。
特性は、2kHzと8kHzのピークが印象的。
ただ、衝突の状況に応じて、他の強い共振も容易に起こりやすいようです。
700Hzのピークは、落下時に中央の穴から空気が流れる「ポフッ」という音を拾っているのだと思います。
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10円
<平等院鳳凰堂が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/b5/ba42cd9d7dbe174e7a282c9207da5221.png)
<数字10が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/47/416990c262a594805a07b517a7c0edc4.png)
聴感上は「ジィーン」という感じ。
5円よりデッドな響きでしょうか。
5円玉と類似した2.5kHzと8kzHzのピークに加えて、
5~6kHzには小さいながらも鋭い共振も確認されます。
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50円
<菊が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/9a/d43397687f5390254eef531ff88d2bea.png)
<数字50が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/b9/60f5467fef124cebb1b2c994a62d5798.png)
聴感上は、「リィーン」という音。
1円玉とは違う、共振がメインの軽やかな音ですね。
特性では、他にはない4kHzのピークが目立ちます。
小さなピークでは7kHz、9kHzも特徴的ですが、衝突の状況により音圧の大小が大きく変わるみたいです。
500Hzのピークは、(5円玉と同じく)中央の穴による空気音でしょう。
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100円
<八重桜が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/ce/f9cd5ef72923bada9dec312c78a14087.png)
<数字100が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/9c/8c5368761e399e41730dd31d0cb2f98d.png)
聴感上は、「トリィン」という音、、かな?
他にはない独特の響きを感じます。
目立った共振ピークはなく、3~10kHzの幅広い帯域の共振が確認されます。
どちらかというと3kHzがメインで、そこから高域に向けて音圧が落ちていく…というのも興味深いですね。
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500円
<桐花葉が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/9c/86dfca1acf667fac568c5c1d35856820.png)
<数字500が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/13/fb5eb3485f14bdb64c41f8213f7b9d0c.png)
聴感上は、「ドヂィ」という音。
硬貨の王者(?)を感じさせる、重みのある音です。
特性上は1kHzから5kHzまで右肩上がりに上がる細かな共振と、
7~9kHzにある強い共振が特徴になるでしょうか。
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正直、硬貨のどれもが特色のある音を聴かせてくれて、
測定した甲斐がありました(笑)
今回は、測定系の影響もあると考え10kHz以上は参考特性として捉えましたが、
聴感に重大な影響がありそうな、1~10kHzでも大きな違いが確認されました。
測定結果も多いので、ここでまとめ。
1円「ジリッ」
5円「チリイーン」
10円「ジィーン」
50円「リィーン」
100円「トリィン」
500円「ドヂィ」
うーん、擬音語って難しいなぁ…(汗)
この結果を元に、インシュレーターとしての優劣や、音質についての議論をすることは難しいように思いますが、
なかなか貴重な結果になったのではないかと思っています。
次回は、インシュレーターとして
実際に音を聴いたうえでレポートを書いてみようと思います!
第3回となる今回は、1円~500円を使用した実験をお伝えします!
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第2回では、インシュレーターの効果として、
必ずしも「制振」だけでなく、より調和のとれた振動を作り出す「整振」もあることを説明しましたね。
硬貨インシュレーターも、いわば「金属の円盤」であることに過ぎないので、
この独自の響きをいかに使っていくか、がキモとなってきます。
そんなわけで、硬貨インシュレーターの序章として
それぞれの硬貨が「どんなキャラクター」を持っているのか、
を徹底的に調査してみました。
やり方としては非常に単純。
硬貨2枚をぶつけて、その音を測定します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/4f/4b0c0fda3b8be1f1e9f4aba5a9c0ebb5.jpg)
一枚をクッションの上に置き、
そこに対して二枚目の硬貨を、高さ20cmから硬貨を落とします。
この音をマイクを使って録音し、周波数特性を求めます。
余分な音が入らないよう、クッションを敷いたり、
適切な枚数(最終的に2枚のみ)など、測定条件も試行錯誤しています。
とはいっても、手作業の調査なので、
以下の落下パターンによって、やや結果がブレることも分かっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/8f/eb999a630b2e09ec124f967bcb83f5e7.jpg)
いちばんシンプルな落ち方は、①のパターン。
一度だけ衝突したのちに、すぐにクッションへ硬貨が移動する場合です。
一番、ピュアな音がとれますが、得られる結果に偶然性(衝突のクセ)が乗るようです。
②は、二回衝突してから、クッションへ行くパターン。
二回衝突している分、得られる音圧も高く、比較的好ましい結果が得られました。
③は、何度も衝突して、最終的に二枚の硬貨が重なるパターン。
衝突回数が多く、打撃音によるノイズが乗りやすくSNが低下します。(欲しいのは金属の共鳴音の方です。)
今回は、二回、コインの裏表を変えての測定を行い、
双方の結果と、聴感を合わせて議論を進めます。
周波数特性の見方は、赤線が硬貨の音になります。
黒線はバックグラウンドノイズ。参考までに載せました。
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1円玉
<若木デザインが上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/5d/f479af238172600a3dfb7fea8288d06e.png)
<数字1が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/ee/1f595908911fb19fa2f6d8de3f4069b1.png)
聴感上は「ジリッ」というような音。
金属音というより、接触音というような感じで、あまり硬貨っぽい音ではありません。
特性上は、4~5kHz付近に小さなピークが見られるのみ。
10kHz付近にもブロードなピークがあり、小口径硬貨らしい特性です。
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5円玉
<稲穂が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/b3/537ff17e729b84d1bc58e96f276c6f61.png)
<日本国が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/26/80735c0620aafce1372eee5cfe6f591c.png)
聴感上は、「チリイーン」というような音。
お賽銭箱のイメージに一番近い華やかな音。さすがは五円。
特性は、2kHzと8kHzのピークが印象的。
ただ、衝突の状況に応じて、他の強い共振も容易に起こりやすいようです。
700Hzのピークは、落下時に中央の穴から空気が流れる「ポフッ」という音を拾っているのだと思います。
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10円
<平等院鳳凰堂が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/b5/ba42cd9d7dbe174e7a282c9207da5221.png)
<数字10が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/47/416990c262a594805a07b517a7c0edc4.png)
聴感上は「ジィーン」という感じ。
5円よりデッドな響きでしょうか。
5円玉と類似した2.5kHzと8kzHzのピークに加えて、
5~6kHzには小さいながらも鋭い共振も確認されます。
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50円
<菊が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/9a/d43397687f5390254eef531ff88d2bea.png)
<数字50が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/b9/60f5467fef124cebb1b2c994a62d5798.png)
聴感上は、「リィーン」という音。
1円玉とは違う、共振がメインの軽やかな音ですね。
特性では、他にはない4kHzのピークが目立ちます。
小さなピークでは7kHz、9kHzも特徴的ですが、衝突の状況により音圧の大小が大きく変わるみたいです。
500Hzのピークは、(5円玉と同じく)中央の穴による空気音でしょう。
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100円
<八重桜が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/ce/f9cd5ef72923bada9dec312c78a14087.png)
<数字100が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/9c/8c5368761e399e41730dd31d0cb2f98d.png)
聴感上は、「トリィン」という音、、かな?
他にはない独特の響きを感じます。
目立った共振ピークはなく、3~10kHzの幅広い帯域の共振が確認されます。
どちらかというと3kHzがメインで、そこから高域に向けて音圧が落ちていく…というのも興味深いですね。
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500円
<桐花葉が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/9c/86dfca1acf667fac568c5c1d35856820.png)
<数字500が上>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/13/fb5eb3485f14bdb64c41f8213f7b9d0c.png)
聴感上は、「ドヂィ」という音。
硬貨の王者(?)を感じさせる、重みのある音です。
特性上は1kHzから5kHzまで右肩上がりに上がる細かな共振と、
7~9kHzにある強い共振が特徴になるでしょうか。
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正直、硬貨のどれもが特色のある音を聴かせてくれて、
測定した甲斐がありました(笑)
今回は、測定系の影響もあると考え10kHz以上は参考特性として捉えましたが、
聴感に重大な影響がありそうな、1~10kHzでも大きな違いが確認されました。
測定結果も多いので、ここでまとめ。
1円「ジリッ」
5円「チリイーン」
10円「ジィーン」
50円「リィーン」
100円「トリィン」
500円「ドヂィ」
うーん、擬音語って難しいなぁ…(汗)
この結果を元に、インシュレーターとしての優劣や、音質についての議論をすることは難しいように思いますが、
なかなか貴重な結果になったのではないかと思っています。
次回は、インシュレーターとして
実際に音を聴いたうえでレポートを書いてみようと思います!
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