今度は、大箱を使っての測定です。
大箱(図中右)は、容量8.8Lで、共振周波数は57Hzになります。
軸上1m
ユニット直前
ダクト直前
インピーダンス特性(参考)
一聴して、小箱より低音量感が出ているようですが、まだまだ低音不足です。
ちなみに、このユニット(DLS-108X)で普通のバスレフ箱を設計する場合は、共振周波数を80Hz程度に設定するのがベターかなぁと思います。(容量は8Lでも問題なさそうです)
今回の作例であっても、ダクトからは50Hz前後までの低音が出ているので、(床にベタ置きするなど)置き方を工夫すれば適度な量感を確保することができました。
聴感上としては、一般的なバスレフ箱という感触で、低音質感も平凡です。
ユニット直前の特性は、興味深い結果が得られました。
先日紹介した「小箱単独」の特性と比べると、150Hz付近の盛り上がりが少ないことが分かります。これは、箱容量が大きくなった為にQ0の上昇が抑えられたことが原因だと考えられます。
このように、大箱(容量8.8L)であってもf0付近に盛り上がりが確認されるので、(密閉箱のセオリーとしては)もっともっと容量の大きな箱が適性ということになります。
(なお、カーオーディオ用ユニット設計では、容量30L~45Lを基準とする…と聞いた記憶があります)
さらに、「小箱」では500Hz~2kHzに細かなピークディップがあったのに対し、今回の「大箱」では1kHz付近に大きなディップが一つあるだけです。
聴感上では、スッキリとした「小箱」、ゆとりのある「大箱」といった感じの音で、この違いを優劣として語るのは難しそうです。
そして、57Hz付近にあるディップはダクトの共振周波数ですね。これは計算どおりです!
ダクト出口の特性を見てみると、50Hz~150Hzまで非常にブロードに増幅されていることが分かります。
原因としては「効果的な共振」が得られていないだけなので、もっと容量を大きくした箱であれば、このブロードなピークは鋭くなるでしょう。
さて、これに音響管を接続すると・・・
(この状態を「管付き」と呼びましょう)
軸上1m
ユニット直前
ダクト直前
インピーダンス特性(参考)
これは、なかなか興味深い結果となりました。
聴感上では、素直に低音が伸びたように感じます。低域が伸びたことで「単発バスレフ」と比較すると「管付き」は雄大な感じになります。
バスレフ(1段目)が57Hz、共鳴管(2段目)が1.8m(47Hz)なので数値上は余り変わらないはずですが、共鳴管を付加した効果は大のようです。
低音の質感は、「管付き」だと「単発バスレフ」に比べてやや開放感に劣る感じです。しかし、ダブルバスレフともちょっと違う質感です。ダブルバスレフに比べると、共鳴管付きバスレフは少々固く重い感じの低音だと言えそうです。
しかし、何故か中域の存在感や質感、表現力は「管付き」の方が優れていました。管の中を音が通ることで、不要な成分が減少したのでしょうか。
ただ、やはりこの『共鳴管付きバスレフ』も万能ではないようで、バスレフの低音質感を「改善」することはできませんでした。結局、共鳴系を闇雲に二つにしたところで、低域の忠実度(?)は向上しないようです。
軸上1mの結果を見ると、若干ながら80Hz前後の音圧レベルが「単独バスレフ」と比べて向上しています。(変化は数dB程度ですが)
ユニット直前のデータを見ると、80Hz付近に小さなディップが確認できます。
上記に示した「単発バスレフ」の状態では計算どおり57Hzにディップがあったのですが、共鳴管付加により、それが大きく移動したことになります。
このディップのシフトを「小箱+管」と比較すると…
小箱:80Hz→90Hz
大箱:57Hz→80Hz
となるので、共鳴管の付加により、ディップは基本的に上側にシフトする…と考えて良さそうです。
この「大箱+管」の『開口部特性』のピークを読むと・・・
80Hz, 140Hz, 200Hz, 280Hz, 340Hz, 410Hzとなります。
先日の日記で紹介した「小箱+管」と比べると、若干低域側のピークが上にシフトしているのが気になりますね。
(「小箱+管」は90Hz, 150Hz, 200Hz, 280Hz, 340Hz, 410Hzでした)
そして、どちらの箱でも開口部f特のピーク位置(「大箱+管」なら80Hz)と、上記したユニット直前f特でのディップの周波数は一致することが分かります。
ダブルバスレフも同様に言えることですが、やはり周波数特性を欲張り過ぎないのはコツのようです。あくまでもf0の半分~8割(DLS-108Xはf0=120Hzなので100~60Hz)程度に収めておくのが良さそうです。
一応、もうワンパターン程度作ってみようと思いますが、この方式から出てくる低音は自分の好みとは違う感じなので早めに収束させようと思っています(笑)
大箱(図中右)は、容量8.8Lで、共振周波数は57Hzになります。
軸上1m
ユニット直前
ダクト直前
インピーダンス特性(参考)
一聴して、小箱より低音量感が出ているようですが、まだまだ低音不足です。
ちなみに、このユニット(DLS-108X)で普通のバスレフ箱を設計する場合は、共振周波数を80Hz程度に設定するのがベターかなぁと思います。(容量は8Lでも問題なさそうです)
今回の作例であっても、ダクトからは50Hz前後までの低音が出ているので、(床にベタ置きするなど)置き方を工夫すれば適度な量感を確保することができました。
聴感上としては、一般的なバスレフ箱という感触で、低音質感も平凡です。
ユニット直前の特性は、興味深い結果が得られました。
先日紹介した「小箱単独」の特性と比べると、150Hz付近の盛り上がりが少ないことが分かります。これは、箱容量が大きくなった為にQ0の上昇が抑えられたことが原因だと考えられます。
このように、大箱(容量8.8L)であってもf0付近に盛り上がりが確認されるので、(密閉箱のセオリーとしては)もっともっと容量の大きな箱が適性ということになります。
(なお、カーオーディオ用ユニット設計では、容量30L~45Lを基準とする…と聞いた記憶があります)
さらに、「小箱」では500Hz~2kHzに細かなピークディップがあったのに対し、今回の「大箱」では1kHz付近に大きなディップが一つあるだけです。
聴感上では、スッキリとした「小箱」、ゆとりのある「大箱」といった感じの音で、この違いを優劣として語るのは難しそうです。
そして、57Hz付近にあるディップはダクトの共振周波数ですね。これは計算どおりです!
ダクト出口の特性を見てみると、50Hz~150Hzまで非常にブロードに増幅されていることが分かります。
原因としては「効果的な共振」が得られていないだけなので、もっと容量を大きくした箱であれば、このブロードなピークは鋭くなるでしょう。
さて、これに音響管を接続すると・・・
(この状態を「管付き」と呼びましょう)
軸上1m
ユニット直前
ダクト直前
インピーダンス特性(参考)
これは、なかなか興味深い結果となりました。
聴感上では、素直に低音が伸びたように感じます。低域が伸びたことで「単発バスレフ」と比較すると「管付き」は雄大な感じになります。
バスレフ(1段目)が57Hz、共鳴管(2段目)が1.8m(47Hz)なので数値上は余り変わらないはずですが、共鳴管を付加した効果は大のようです。
低音の質感は、「管付き」だと「単発バスレフ」に比べてやや開放感に劣る感じです。しかし、ダブルバスレフともちょっと違う質感です。ダブルバスレフに比べると、共鳴管付きバスレフは少々固く重い感じの低音だと言えそうです。
しかし、何故か中域の存在感や質感、表現力は「管付き」の方が優れていました。管の中を音が通ることで、不要な成分が減少したのでしょうか。
ただ、やはりこの『共鳴管付きバスレフ』も万能ではないようで、バスレフの低音質感を「改善」することはできませんでした。結局、共鳴系を闇雲に二つにしたところで、低域の忠実度(?)は向上しないようです。
軸上1mの結果を見ると、若干ながら80Hz前後の音圧レベルが「単独バスレフ」と比べて向上しています。(変化は数dB程度ですが)
ユニット直前のデータを見ると、80Hz付近に小さなディップが確認できます。
上記に示した「単発バスレフ」の状態では計算どおり57Hzにディップがあったのですが、共鳴管付加により、それが大きく移動したことになります。
このディップのシフトを「小箱+管」と比較すると…
小箱:80Hz→90Hz
大箱:57Hz→80Hz
となるので、共鳴管の付加により、ディップは基本的に上側にシフトする…と考えて良さそうです。
この「大箱+管」の『開口部特性』のピークを読むと・・・
80Hz, 140Hz, 200Hz, 280Hz, 340Hz, 410Hzとなります。
先日の日記で紹介した「小箱+管」と比べると、若干低域側のピークが上にシフトしているのが気になりますね。
(「小箱+管」は90Hz, 150Hz, 200Hz, 280Hz, 340Hz, 410Hzでした)
そして、どちらの箱でも開口部f特のピーク位置(「大箱+管」なら80Hz)と、上記したユニット直前f特でのディップの周波数は一致することが分かります。
ダブルバスレフも同様に言えることですが、やはり周波数特性を欲張り過ぎないのはコツのようです。あくまでもf0の半分~8割(DLS-108Xはf0=120Hzなので100~60Hz)程度に収めておくのが良さそうです。
一応、もうワンパターン程度作ってみようと思いますが、この方式から出てくる低音は自分の好みとは違う感じなので早めに収束させようと思っています(笑)
軸上1mの小箱と大箱では大箱管付きの方が80Hz以下のレベルアップしている様です。大箱効果が出ていると思います。
>バスレフの低音質感を「改善」することはできませんでした。
⇒気になる点が一つあります。インピーダンス特性ですが、山が一つしか有りませんので密閉箱に近い状態だと思いますが。バスレフの場合は、山が2つ有ると思います。
よろしくお願い致します。
今井 明
大箱は聴感上でも効果が明白で分かりやすかったです。今回のユニットは、10cmといえどある程度の大きさの箱に入れてやら無いとダメなようです。
インピーダンス特性は、測定系が不完全だったのに加え、能率の低いユニットだった為に分かりにくい結果でした。
仰るとおり、バスレフとして動作すれば山は二つになるはずなので、
・バスレフとしての動作が弱かった。もっとダクト断面積を大きくして負荷をかけても良かったかも?
・単純に測定系の問題(現実と違う動作に見えてしまっている)
といった原因が考えられると思います。
カノン5D
70Hz付近に小さな山があるので、これがバスレフ動作としての二つ目の山に相当すると思います。
シミュレーションをやってみると、ダクト断面積が大きく、かつ箱容量が小さい時に、この二つ目の山は大きくなるようです。
このインピーダンス曲線と、聴感との関連は興味深いところがありますね。
最初にグラフを拝見したときに70Hz付近に山を確認しました。私もバスレス動作であると思います。
カノン5Dさんのシミュレーションの様に、ダクト断面積が大きく、かつ箱容量が小さい時に、この二つ目の山は大きくなると思います。
SP再生技術研究会報告の2WAY製作レポートの最後にポート面積とインピーダンスの関係を検討しましたが同じ様な結果ですね。