社会保険労務士の大澤朝子です。
昨日の朝日新聞の「書評」で逢坂剛氏が津村節子の新刊
『夫婦の散歩道』を評して「この世代の作家に、今の作家を超える
熱気、志の高さのようなものを、強く感じる」とあったが、
凡人が言うのも甚だおこがましいが、全くの同感である。
一昨日、杉本苑子の『長勝院の萩』をようやく読み終わった。
ようやく、というのは、同作が全集の4巻・5巻の2冊に
渡って収録されている長編だったからで、それも、就寝前の
わずかな時間を惜しんで読み進んだという事情にもよる。
静岡新聞に1年9か月に渡って連載された家康の側室・長勝院
を取り巻く徳川家の人間模様が織りなされているが、
これが実に面白い。
女の筆とは思えぬ豪快、大胆、そして緻密。正確な時代考証は
どの作品もぶれないが、松平信康(家康の長男)切腹の場面は、
息をのむ緊迫感と生々しい情景描写で圧倒される。
杉本苑子といえば、直木賞をとった『孤愁の岸』を思い浮かべる
人も多いだろうが、私は、『終焉』を好む。序破急。静かに
物語は始まっていき、やがてはクライマックスへ。
最後はストン、と語り終えるが、そこに得も言われぬ感動が残る。
その構成は綿密に仕組まれ、出来事すべてが故あることだったと
最後に分かる。人間の生き様とはどうあるべきかと問うかのように。
江戸幕府旗本の家に生まれた者が、その宿命に逆らわず、
鉱山の民のために静かに命を捧げた終焉が胸を打つ。
今日、その杉本苑子全集5巻を開いていたら、巻頭文があった。
全集を図書館から借りてくると、真っ先に巻頭文を読むのが
楽しみであったが、今回は早く中身を読みたくて失念していた。
丁度、第5巻の巻頭文に津村節子が書いてい、その題も
「心を許しあえる友」というもので、
3つ違いながらお二人はご同年代であると知って、
ふと、『長勝院の萩』のことを書いてみる気になった。
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昨日の朝日新聞の「書評」で逢坂剛氏が津村節子の新刊
『夫婦の散歩道』を評して「この世代の作家に、今の作家を超える
熱気、志の高さのようなものを、強く感じる」とあったが、
凡人が言うのも甚だおこがましいが、全くの同感である。
一昨日、杉本苑子の『長勝院の萩』をようやく読み終わった。
ようやく、というのは、同作が全集の4巻・5巻の2冊に
渡って収録されている長編だったからで、それも、就寝前の
わずかな時間を惜しんで読み進んだという事情にもよる。
静岡新聞に1年9か月に渡って連載された家康の側室・長勝院
を取り巻く徳川家の人間模様が織りなされているが、
これが実に面白い。
女の筆とは思えぬ豪快、大胆、そして緻密。正確な時代考証は
どの作品もぶれないが、松平信康(家康の長男)切腹の場面は、
息をのむ緊迫感と生々しい情景描写で圧倒される。
杉本苑子といえば、直木賞をとった『孤愁の岸』を思い浮かべる
人も多いだろうが、私は、『終焉』を好む。序破急。静かに
物語は始まっていき、やがてはクライマックスへ。
最後はストン、と語り終えるが、そこに得も言われぬ感動が残る。
その構成は綿密に仕組まれ、出来事すべてが故あることだったと
最後に分かる。人間の生き様とはどうあるべきかと問うかのように。
江戸幕府旗本の家に生まれた者が、その宿命に逆らわず、
鉱山の民のために静かに命を捧げた終焉が胸を打つ。
今日、その杉本苑子全集5巻を開いていたら、巻頭文があった。
全集を図書館から借りてくると、真っ先に巻頭文を読むのが
楽しみであったが、今回は早く中身を読みたくて失念していた。
丁度、第5巻の巻頭文に津村節子が書いてい、その題も
「心を許しあえる友」というもので、
3つ違いながらお二人はご同年代であると知って、
ふと、『長勝院の萩』のことを書いてみる気になった。


