大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆待ったなし!高齢者再雇用の労使協定未締結は3月31日までに締結を

2013年02月20日 00時55分11秒 | 高齢者雇用
社会保険労務士の大澤朝子です。

さて3月31日が近付いてきました。

改正高年齢雇用安定法施行まであと幾日もありません。
原則として希望者全員の65歳までの雇用義務化……。
あなたの会社では、準備は整いましたか?

・65歳まで希望者全員を雇用する
・経過措置を利用して労使協定で対象者を選別する

そのどちらを選択するのでしょうか。

もしも「労使協定で対象者を選別する」をお考えの場合で、
まだ「労使協定」を結んでいない場合は、
平成25年3月31日までに「労使協定」を締結しなければなりません。
勿論、そのためには就業規則の改定も必要です。
あと1か月余り。
50歳代を多く抱えている企業に、待ったはありません。

先頃、日本生産性本部の第13回「日本的雇用・人事の変容に関する調査」
の結果が発表になりました。
それによると、「現時点で再雇用選定基準として業績評価など
人事考課を反映している」という企業は、実に74.3%
思いのほか、65歳までの継続雇用において、対象者を選別
している実態が浮き彫りになりました。

今後も業績評価など人事考課で対象者を選別するかとの問いには、
・選別は特に必要とは思わない 3.6%
・選別は必要だと思う 48.6%
・選別は必要だと思うが、法の趣旨から選別設定は望ましくはない 47.1%

また、再雇用後の賃金の低下率も、「最適賃金」(※)的には
60%前後とされていますが、この調査の結果によりますと、

月例ベースで平均54.0%
年収ベースで平均49.8%

と、定年前の概ね50%という結果になっています。
こちらも、思いのほか低い、という感想を持たれる方も多いでしょう。

 ※ 最適賃金=賃金、年金、高年齢雇用継続給付の3者を受給した
  場合の最も多い手取額を得ることができる「賃金」

また、「再雇用時の仕事・業績・役割に応じて
給与水準を複数設定している企業」の割合は60.7%
定年後再雇用時に、勤務形態だけでなく、仕事の内容や業務、
役割に応じて給与水準を複数設定する傾向にあることが分かります。
「設定していないが、今後設定する予定」が17.1%
「設定しておらず、今後も予定はない」が17.9%。

定年再雇用後は、業務・業績に応じた複数の労働条件を設定
し、柔軟に対応していこうとする企業の姿勢が見えてきます。

これまで大変好評だった助成金のうち、

・中小企業定年引上げ等奨励金
・高年齢者職域拡大等助成金

は、平成25年3月31日で廃止になります。
これら助成金の恩恵を受けてきた中小企業にも、
もはや助け舟は出ません。

(労使協定により)定年後再雇用時の対象者選別を行うのか、
それとも行わないのか、業務や業績に応じた評価の仕方、
賃金設定など、人事制度全体の見直しも含めて、若年から
高齢者まで、採用人事の課題は目白押しといえましょう。

<参考>
公益財団法人日本生産性本部の調査研究
「第13回 日本的雇用・人事の変容に関する調査」
(2012年10月上旬から11月中旬に全上場企業を対象に調査)
を参考にしました。


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