大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆高年齢雇用継続給付の落とし穴

2013年04月18日 12時15分05秒 | 高齢者雇用
社会保険労務士の大澤朝子です。

60歳以上の方を嘱託等で雇った会社の方。或いは、
定年60歳で会社を退職し、その後転職して嘱託等で働いている65歳未満の方。

どなた様もよーく聞いてください。

60歳以降65歳までの期間中、60歳到達時の賃金より
75%未満に賃金が下がった場合は、その下がった賃金の
最大15%のお金(高年齢雇用継続給付)がもらえますが、
それをもらい損ねているケースがあります。

定年後も継続雇用制度で同じ会社に勤めている場合は
問題ありませんが、定年後、他の会社に転職したケースで
もらい損ねが発生しやすいですから注意が必要です。

高年齢雇用継続給付は、原則として60歳到達時に
雇用保険の一般被保険者としての期間が5年以上あることが
必要ですが、まあ、大抵の方は、この要件にはあてはまるでしょう。

ところが、60歳到達時に直近6カ月の賃金を会社が「登録」して
おく必要があるのですが、以前は義務でしたが、今は義務
ではありませんので、定年等で辞めた方の「60歳到達時賃金登録」
を会社側が提出していないケースが結構多いです。

辞める方の「60歳賃金登録」をしてくれる奇特な総務部さんなら
いいのですが、現実はなかなか……。

高年齢雇用継続給付を受給するためには、どうしても
「60歳到達時賃金登録」が必要ですから、
現実に63歳で「賃金が下がった」場合、定年で辞めた前の会社に
3年も経った今更、
「賃金登録」を出してください、とも言いにくいのではないで
しょうか。それとても、制度を知っていればの話ですし。

64歳で賃金が下がった方の場合は、
定年で辞めた会社に「賃金登録してください」と言っても、
そもそも賃金データがもう残っているかどうかも分かりません。

高年齢雇用継続給付は、60歳以後の賃金低下分を補完してくれる
いい制度ですが、このような問題が発生しやすいので、
本当に注意してかからないとと思う、今日この頃です。


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