大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆国土交通省の建設業の社会保険加入促進

2014年02月10日 14時13分40秒 | 社会保険
建設業に社会保険の未加入事業所が多いという事実は、
数年前から指摘されていたことですが、
平成24年度から平成29年度をめどに未加入率0%を目指す具体的な施策が
開始されています(国土交通省)。

健康保険、厚生年金、雇用保険の3保険への加入率(平成24年10月時点)は、

・企業単位では、87%
・労働者単位では、元請79%、1次下請55%、2次下請46%

だそうですので、今さらながら、加入率の低さに驚かされます。

国土交通省の建設業社会保険未加入対策では、
平成24年11月より、建設業の許可申請、経営事項審査の際に、加入状況を
確認・指導することとなっており、指導に従わない未加入企業は、
日本年金機構等へ通報するなどの施策も講じられています。

特に、下請け事業者の場合は請負金額に法定福利費を上乗せし難い側面もあり、
それを解消するため、

「法定福利費が明示された標準見積書(専門工事事業団体作成)を
活用するなどして元請企業に見積書を提出させるよう」指導もなされています。

いったい、これらの措置がどれほどの効果があるのでしょうか。
不確定ではありますが、とにかく、目標では平成28年度までに社会保険加入率100%を
達成し、平成29年度からは、

・建設業許可事業者の社会保険加入率100%
・未加入事業者の工事現場からの排除

と目標が定められています。

数年前、埼玉県の某年金事務所管轄で、一斉に会計検査院が建設業の厚生年金未加入事業所
を検査し、未加入事業所が30数件が、2年前まで遡って、強制加入の措置を受けました。
それまでも、県内の各建設業国民健康保険組合が、傘下企業を或いは説得し、或いは
訪ね歩き、厚生年金への加入を説いて回っていたにもかかわらず、最後まで加入を
渋っていた企業が、ついに最後は会計検査員の縄にかかってしまったのです。

今回の国土交通省の計画によれば、平成24年度から平成28年度までの5年間に
未加入事業所ゼロを目指すということですが、結果はいかに。

期待して待っていたいと思います。

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