大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

派遣業の同一労働同一賃金(派遣先均等・均衡方式か労使協定方式か)

2019年11月11日 19時58分29秒 | 派遣業
令和2年4月1日から、派遣業の同一労働同一賃金が施行される。
当事務所では、現在、派遣元事業主さんから「相談」の依頼が殺到している。

今後、一つひとつ問題を整理しながら、発信していきたい。

■「派遣先均等・均等法式」と「労使協定方式」のどちらを採るか

派遣労働者について、派遣元事業主は、基本給、手当、賞与等賃金全般について、
派遣先の通常の労働者と実体が同一であれば同一の、違いがあれば違いに応じた支給をしなければならない。
これを「派遣先均等・均衡方式」という。今回の派遣法改正の根本的な考え方だ。
そのため、派遣元は、派遣先から、その通常の労働者に関する詳細な賃金情報を提供してもらう必要がある。
以下の賃金以外の情報も同様だ。
イ 教育訓練
ロ 福利厚生施設(更衣室、食堂、休憩室)
ハ、休憩、休日、休暇
二、安全衛生
ホ、災害補償

一方、派遣元事業主が労使協定方式を採用する場合は、法に適合した労使協定を締結すれば、上記と
同等の措置をしたものとみなされる。
すなわち、毎年出される局長通知により、同種の業務に従事する「一般の労働者の平均的な賃金」
の額と同等以上の賃金の額とすることになる。
この賃金の額は、職務の内容、成果、意慾、経験等により改善されるものでなければならない。
また、公正に評価し、決定されるものでなければならない。

派遣先は、派遣元事業主が「派遣先均等・均衡方式」をとっているのか、それとも「労使協定方式」
をとっているのかで、発注の可否を考えてくるはずだ。
派遣先が大企業の場合は(派遣先の)「通常の労働者」の賃金が高いので、必然、派遣労働者の賃金も
高くなる(派遣料金も高騰する)。
また、自社で「比較対象労働者」を選んで派遣元事業主に、賃金等の「情報を提供」しなければならない。

これが、「労使協定方式」の場合は、情報の提供は原則として「教育訓練、福利厚生施設」に限られる。
しかも世間一般の平均的な賃金だから、企業規模に応じての賃金額の差は出にくい。

派遣先は、派遣会社を決める時、その会社が「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」かを
確認してから発注・依頼をしてくるだろう。

派遣元事業主は、どちらの方式をとるのか、生き残りを掛けた選択を迫られている。

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