日々の事から

日々のあれこれ
by Kirari

読書記録📖

2022-06-18 19:57:44 | 

『ありえないほどうるさい オルゴール店』 瀧羽 麻子 著 2022.6. 25読了

短編の集まった一冊。 もくじを見やれば、タイトルも優しいひらがなとカタカナのみで書かれている。 初めて読む小説家は短編が読めるといい。更に長い文章を読めるかが分かるから。

 

『よりみち』

小説を読むときは、漠然と場面を思い描きながら読み進むが、冒頭では仲のいい恋人がとある店に入るところから始まったと思った。 ところが少しだけ読み進んだだけで、再度最初に戻って場面を描き直す必要が出た。私はどうも、思い描く場面を途中で描き直すことができないらしい。 不安になりながら読み進んだら、手を繋いでいたのは小さい息子だったのだ。ふと入った店でのできごと。不思議なお店で、この母子のお話も、一般人とファンタジーがわかる人とのギャップがあって良かったが、展開が素敵で続きが読みたくなった。

 

『はなうた』

結婚を意識せずに暮らした男女のストーリーだった。 互いに思うことなど一緒ではない。勝手に自分と同調していると思って安心して過ごしているなど大きな勘違いである。この2人はやり直せるのだろうか。短編では無情にも含みを持ってそこで終わってしまう。

 

そのあと、『おそろい』『ふるさと』『バイエル』『おむかい』『おさきに』と、短編のように続いていく。最初に短編と書いたが、読み進むうちに短編じゃないとわかった😅

『ありえないほどうるさい』という状況が書かれなかったが、そこは読む側に委ねられたのかもしれない。

オルゴール店主に関わる色々な人間模様が書かれ、進んでいく。店主は耳がいいそうだ。客の心の内の曲を聞き取り、オルゴールができていく。

店内で話もしない曲ができあがったオルゴールに入っていて客は大層驚かされる。

私の心に流れる曲はなんだろう。

他人に翻弄され、前にも増して人を信用できなくなり、病気に負けようかと考えて毎日色のない日々を過ごす凪いだ心に流れる曲。

この小説には希望がある。登場人物それぞれの物語が書かれるが、絶望的なことはない。店主の幸せもそこはかとなく書かれている。続編がありそうなので読んでみたい。

 


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