阿部ブログ

日々思うこと

ついに脱ディスプロシウムのネオジム磁石材料が開発された! しかも世界最高水準の保磁力性能を有する。

2012年04月11日 | 日記

ついに脱ディスプロシウムのネオジム磁石材料が開発された。
しかも世界最高水準の保磁力性能!

戸田工業は2012年4月4日、世界最高水準の保磁力性能 Hcj1670kA/m(21kOe)を有するディスプロシウム(Dy)フリーのネオジ系希土類磁石材料を開発したと発表した。

ついに脱ディスプロシウムのネオジ磁石が登場した事となる。

しかも世界最高水準の保磁力性能HcJ 1670kA/m (21kOe)を有すると言うから中国側も心穏やかではないだろう。
何せディスプロシウムは、世界広しと言えども中国・華南意地域のイオン吸着鉱からしか産出しないため、脱中国化出来ない重希土類の一つであった。
それが、ディスプロシウム不要だというのだから、これは脱中国産レアアースの大きな成果と言える。

そのディスプロシウムは、2011年7月に、1キロ3000ドル(金属ディスプロシウム)の大台を突破。中国のレアアース輸出規制以前の2010年は平均250ドル前後で価格が推移していたが、今年2012年3月末現在でも2300ドル前後となっており、日本企業による脱レアアース技術の開発が進展すると、ディスプロシウムの今後の価格動向に注目だ。

さて、この脱ディスプロシウムのネオジ系希土類磁石は、既存の「水素化・相分解・脱水素・再結合プロセス」(HDDRプロセス)で生産されるので、低コストでの生産が可能であり、経済性、実用性に優れている。
戸田工業は、この脱ディスプロシウムのネオジム磁石の実用化で、現在年産50トンの生産能力を、2013年には年産500トンにする為、投資の検討中で、将来的には現在の20倍の生産能力年産2000トンを目指すという。

戸田工業の快挙以前から、日本企業における脱レアアース磁石の研究開発が進められていたが、特に日立金属がディスプロシウムの使用を半減した磁石を量産している。これは従来の磁石より重量比で平均4%含有させるジスプロシウムを2%程度少なできる技術であるが、戸田工業の脱ディスプロシウムのネオジム磁石登場で、今後の日立金属の動向が気になるところ。

戸田工業や日立金属とは一線を画す、脱レアアース磁石戦略を歩むのが日本電産。

日本電産は、大なり小なりレアアースを必要とする永久磁石製品から、レアアースを必要としない脱永久磁石戦略で市場の拡大を目論んでいる。
日本電産によるとスイッチトリラクタンス(SR)モーターのサンプル出荷を始めているが、従来のSRモーターは音や振動面の欠点があり、海外勢ではあるがEmerson Electricは以前から農業機械や建設機械の採用を目指して開発を進めていた。

日本電産はSRモーターの欠点を克服する為、インバータの制御を含むSRM制御技術を開発し、小型EVやHEV向けにSRMの性能を最大出力は44kW、最大トルクは86Nm、大回転数は12000回転/分を達成し、自動車向けに出荷可能な実用領域まで性能を向上させている。因みにSRモーターの大きさは、直径177mm、幅234mm、重量は26.5kgである。

日本電産以外では、SRモータを現在1000台/年を受注生産してい「明和製作所」(本社:福岡県糸島市)がある。
明和製作所は、SRモーターを今年から本格的に生産を開始する。同社は、昨年、約2億円を投資してEV用SRモーターの生産ラインを整備しており、年産1万を見込んでいる。

中国のレアアース輸出規制が、脱ディスプロシウム&脱永久磁石の技術開発を大幅に促進する発端だったが、日本の持てる技術力の総力を集めて、今後も磁石以外の分野での、レアメタル/レアアースの代替技術開発に邁進してもらいたい。

北朝鮮長距離弾道ミサイル打ち上げと、沖縄・嘉手納基地の「第82偵察飛行隊」と「第390情報中隊」

2012年04月11日 | 日記

沖縄の嘉手納基地に「第82偵察飛行隊」(Reconnaissance Squadron)が駐屯している。この部隊は、電子情報収集用途のRC135V/Wを嘉手納に交代で常時1機を配備している。

「第82偵察飛行隊」は、戦闘空軍(Air Combat Command) 第55航空団(米本土ネブラスカ州オファット基地) の隷下の部隊である。嘉手納基地にいるから太平洋空軍所属とするのは、間違い。

安全保障事象により、第55航空団から「RC-135V/W リベット・ジョイント」(通信電子情報収集機)や「RC-135Uコンバット・セント」(科学技術電子情報収集機)、「RC-135S コブラボール」(弾道ミサイル観測機)、「WC-135 コンバット・フェニックス」(気象観測機、核実験の探知や原子力施設から放出される気体を収集する) などが「第82偵察飛行隊」に派遣されてくる。

第55航空団の部隊編成は、以下の通り。
 第55運用作戦群
  第1空中指揮統制飛行隊 E-4B
  第38偵察飛行隊   RC135
  第45偵察飛行隊   OC-135 RC-135 WC-135
  第82偵察飛行隊   RC135
  第95偵察飛行隊   EC-135 OC-135 RC-135
  第343偵察飛行隊 RC-135V
 第55整備群
  第55任務支援群
  第55医療群

2012年4月10日、米ネブラスカ州オファット空軍基地所属の第55航空団のRC135Sコブラボール2機が嘉手納基地に到着。既に同基地に駐留している1機を合わせ、米空軍が保有する全てのコブラボール3機全てが嘉手納基地に配備された。

また米空軍が2機しか保有しない貴重なRC135Uコンバットセントが嘉手納に配備されている。コンバットセントは、赤外線カメラを備え空気中の放射性物質を測定できる電子偵察機である。
また、今回は、国防総省のミサイル防衛局が所有する弾道ミサイル追跡機能を有するガルフストリーム・エアロスペースG1159B型1機も嘉手納基地に到着しており、米軍の特殊情報収集機5機が終結する事となっている。

これら特殊情報収集を目的とする偵察機の集中配備は異例だ。

直近では、北朝鮮が金正日総書記の死去を発表した2011年12月19日に、短距離弾道ミサイルを発射している。また2012年1月11日、日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射している。これは、旧ソ連製の短距離弾道ミサイルを改良した「KN-02」ミサイルを日本海に向け発射している。

金正恩の体制が始動してから初めてのミサイルの発射であったが、米軍は事前にミサイル発射を察知しており、RC135Sコブラボール、RC-135Uコンバットセント、空中警戒管制機E-3 AWACSを、沖縄に配備し、情報収集を行っている。
この北朝鮮体制交代と言う緊張期以上の警戒態勢を敷いているのは異例だ。

しかも米軍は海上配備型の「Xバンドレーダー」(SBX)も投入する予定で、既に3月下旬にハワイを出港している。
「Xバンドレーダー」は自衛隊も青森で運用しているが、米軍のSBXは海上を自力航行し、6本の橋脚の台座の上にXレーダーを装備している。このSBXは4000キロ先の野球ボールの直球や変化球など微細な軌道を捕捉・監視可能だと言う。

米軍の海上航行型SBXは、全長117メートル、船底からレーダー頭頂部までの高さは84m。
SBXは86人の乗組員で運用されるが、単体での運用ではなく、アラスカ州フォートグリーリーとカリフォルニア州バンデンバーグとデータリンクしながら、必要な場合には迎撃ミサイルで当該ミサイルを破壊する能力を持つ。
今回の北朝鮮ミサイル発射は、SBXの準実戦運用としては理想的だ。

さて、第82偵察飛行隊と連携する情報部隊が「第390情報隊」である。
「第390情報中隊」は、空軍情報局(AIA, Air Intelligence Agency) の所属部隊で、太平洋軍及び中央軍の担任地域で作戦行動するの第55航空団の情報収集作戦機を支援する部隊。

「第390情報中隊」の要員はEP-3Eにも搭乗し暗号解読等に従事している。EP-3Eは、P-3Cから対潜装置を降ろし、電子戦機材を搭載した情報収集機で、S/Nが「156511」のEP-3Eは、2001年4月に中国海南島沖で中国海軍J-8Ⅱに撃墜され海南島に緊急着陸している機体。