阿部ブログ

日々思うこと

コンビナートの高度連携と電力・水素によるエネルギー生産

2012年04月19日 | 日記
先月、千葉県市原市の五井にある石油のプラントを視察したが、その際に説明があったのは、近隣のコンビナート相互で緊密に連携している事が印象に残っている。

世界最大の京葉シーバース

原油から石油を精製する際にでる石油留分の徹底的な活用によって、石油精製企業と石油化学企業の双方にメリットがあるとの事。
千葉沿岸に展開する石油&化学コンビナート群でリファイナリー(石油精製設備)とケミカル(石油化学)プラントとの連携により、リファイナリーからケミカルプラントへ、プロピレンや芳香族などの化学原料を供給でき、また、エチレン原料の多様化も進展すると言う。また、ケミカルプラントからリファイナリーへ向けては、ガソリン基材を提供できる。
このような石油留分を相互連携により徹底的活用することで、石油精製会社も石油化学会社、競争力を強化できる。

またコンビナート内にあるエネルギー源の有効活用も可能との事。例えば残渣油を使った共同発電、熱・水素の相互融通すること。
お邪魔したリファイナリーのプラントでも水素を隣のコンビナートなどへ提供していると言っていた。
電力については、タービン2基で自家発電を行っているが、足りないので東京電力から買っているとの事。
原発の稼働状態を見ると多分将来的には、近隣のコンビナート全体で電力の最適化と相互融通を行い、多少の発電設備を共同で設置するなどの対応を行う事で電力や前述の水素などを外部へ販売する事を可能ではないか?
コンビナートの高度な統合化とエネルギー最適化は、地域経済の活性化にも大きく貢献するし、新たなビジネスの可能性がを秘めている。

特にリファイナリーからの水素には、注目する必要があるだろう。

今年に入って日本特殊陶業が、東京ガスと共同で水素製造装置の中核技術を開発している。
これは都市ガスと水を反応させてセラミックスに通すことで水素を取り出す技術で、従来より20%~30%の小型化とコスト低減が可能な技術で、水素ステーションでの実証試験を開始し、2020年以降に本格的な普及を目指す計画と言う。

この技術の肝は、多孔質セラミックスで作った反応管に都市ガスと水を送り込み、500~550度の高温で反応させる事にあるようだ。反応管の表面は、水素を透過する貴金属のパラジウムの薄膜で覆い、管の外部に出る水素を捉えると言う。

ここで思い出して欲しいのは、千葉県は巨大な水溶性天然ガス田の上に存在していると言う事。日本特殊陶業の天然ガスからの水素生産技術と千葉・五井地区のコンビナートとを連携させると、千葉から本格的な水素社会の先導的取組が可能ではないか?

水素があれば燃料電池の利用も可能であり、コンビナートからの水素と天然ガスからの水素を燃料にした発電により東京電力から電気を買う必要も無くなり、逆に売ることが可能となるかも。
間抜けな太陽光発電などよりよっぽどマシな取組になると思う。ちょっと真面目に考えてみるか~

蛇足ながら日本は千葉県内からの天然ガスからヨウ素を生産しており、実はチリに次いで世界第2位の生産量を誇る。しかも生産したヨウ素の80%は海外に輸出されている。