阿部ブログ

日々思うこと

米国国家核安全保障局はIBMのスパコン BlueGene/Qをどのように使用するか

2012年04月23日 | 日記
富士通&理研が開発した「京」が、現在スパコンTOP500のNo.1であるが、IBMの本格反攻により今年2012年には、確実No.2に脱落、IBMの第三世代のBlue Gene/Q がNo.1の座を奪還する。

Blue Gene/Qは、本格的なペタコンで、最大構成で20ペタ・フロップスを叩き出す。
また、Blue Gene/Qは、第二世代の Blue Gene/P と比較して電力効率が10倍に向上しており、設置面積も、第一世代のBlue Gene/L と同じ3500平方フィート (約325平方メートル) と省スペース、省エネ設計を実現している。
これによりBlue Gene/Qは、Green500で世界で最もエネルギー効率の良いスーパーコンピュータに選ばれている。

因みに史上初のペタコンは、クレイ社がオークリッジ国立研究所に納品した 「Jaguar」 で、2009年11月に、1.75ペタを達成している。

既にIBMは、昨年の2月8日、米国エネルギー省(DOE)アルゴンヌ国立研究所に「Mira」と名付けられたBlue Gene/Qを納入している。「Mira」は、1秒間に1京回の浮動小数点演算をこなす10ペタの性能を持つペタコンで、完成は今年2012年の予定。
10ペタは、富士通&理研の「京」の処理性能である8.162ペタを上回る事となる。
「Mira」は電気自動車向け超高効率バッテリーの設計や地球の気候変化などの研究で利用する計画と言う。

ただIBMの反攻はこれで終わらない。「Mira」や「京」の2倍の性能を出すペタコンを2012年中に登場させる。
それは「Sequoia」と呼ばれるBlue Gene/Qをベースとしたペタコンュータで、国家核安全保障局(The U.S National Nuclear Security Administration:NNSA)が「先端シミュレーション・演算プログラム」(Advanced Simulation and Computing Program、ASC)の一環として使用するため。

「先端シミュレーション・演算プログラム(ASC)」とはわかりにくいが、要するにネバダ核実験場のエリア1で行われる臨界前核実験とか、備蓄核兵器評価、大深度破壊核弾頭の開発など核シミュレーション用である。

Suquoiaは、NNSAの隷下のローレンス・リバモア国立研究所で稼働中の、第一世代Blue Gene/L と ASC Purple 両スパコンの置換えが目的。NNSAによれば、エネルギー、医療&ゲノム解析研究、気象変動などの科学技術目的のためにも使用されると言うが、第一義的には軍事利用が優先。

さてSequoiaの性能目標は20ペタ。SGIがNASAのエイムズ研究センター用に現在開発中のPleiadesより2倍高速だ。

Sequoia は、約3000平方フィートの設置面積を必要とし、この広さのに160万個のプロセッサーコアと 1.6ペタバイト(PB)のメモリを実装したラック96。コンピュータノードにして98304 より構成される。

前述の通りBlue Gene/Qは、世界で最も地球環境に優しいスパコンとして知られる。だが、その使用目的は世界で最も危険で下劣なものだ。
Blue Gene/Qは、地下に存在する軍事施設を確実に破壊する為のシュミレーションに使用される。

1988年、W-61アースペネトレーターがエリア52の目標に向けて地上1万2200メートル上空から投下された。
結果は、地下施設の破壊には程遠い結果であったが、米軍は開発を諦めていない。何故なら第一次湾岸戦争で圧倒的な精密爆撃を見せつけられた、非欧米各国は一斉に重要な軍事施設などを花崗岩など堅固な地下に建設し現在に至っているからだ。
当然ながらイランも、その意図はともかく重要な原子力関係施設は地下に建設することとなる。
米軍は、各国政府が建設している地下施設を正確に、そして確実に破壊したいのだ。

1996年の包括的核実験禁止条約が国連で採択され、地中貫通型核兵器の開発は頓挫すると思いきや、ペンタゴンは計画をネバダで続けている。
例えば長さ9メートル、太さ30センチメートルの超硬金属棒を衛星から秒速1万6100キロで地上の目標に直撃させるもの。これはロング・ロッド・ペネトレーションと呼ばれるが、 これだと非核ながら北朝鮮やイランの核施設も破壊可能だと言う。
だが、米国は強化型地中貫通型「核兵器」、所謂RNEPの開発をネバダで進めている。

IBMのBlue Gene/Qに使われているチップ「PowerPC A2」これは凄いチップだ!
しかし、使われ方は最低だ。

太陽活動極小期と宇宙線飛来による影響

2012年04月23日 | 日記
最近、太陽が気になって仕方がない。
過去にも「太陽活動が電力システムに与える影響」を掲載し、太陽からのメガフレアの脅威について書いたが、直近でも太陽観測衛星「ひので」による太陽極域での磁場反転現象の観測について書いている。

気になっている点は、太陽活動の低迷による宇宙線が地球に降り注ぐことによる影響だ。
過去45年間にわたり宇宙線を中性子モニターで観測しているオウル大学のデータを見ると、地球への宇宙線量が観測史上最高となっている。

これは「ひので」の観測からも明らかで、従来の極小期とは異なる乱れた太陽風構造と太陽風圧力の低下が観測されており、この太陽風活動の低下により宇宙線が太陽圏内に進入しやすくなっている。

カリフォルニア工科大学の宇宙科学者らが『Astrophysical Journal Letters』誌に発表した記事によると、2009年の宇宙線量が、前回の太陽活動低下期と比べて、20~26%多かったことを明らかにしている。
また北極や南極で採取した氷床コアに含まれる放射性物質を測定した結果、過去500年間の宇宙線量を調査した結果、1970年代初頭から比較して、特に南極の氷床コアでは宇宙線量が40%~80%多いと結論している。つまり長期トレンドとして太陽の活動は弱くなっている事がデータから明らかでである。

短期の「ひので」の観測データからも約5%宇宙線量が増えていると結果づけている。両者の間には開きがあるが、宇宙線量が増えているのは間違いない。

宇宙線は、普通太陽風によってエネルギーの弱い粒子は弾かれる。太陽風は、太陽系の周囲に「太陽圏」と呼ばれる宇宙線シールドを形成して地球圏を防護している。
しかし、この太陽系のシールド効果は、太陽の活動周期によって変動する。つまり黒点や太陽フレアが増える太陽活動極大期と、活動が低迷する太陽活動極小期である。これを太陽は11年程度の期間をおいて繰り返している。

つまり太陽活動極小期には、太陽系外からの宇宙線の地球圏への到達量が飛躍的に増える事が懸念される。

知人の天文学者は既に、宇宙線増加が地球に及ぼす影響を明確に認知している。特に宇宙空間に浮かぶ探査機や偵察衛星では宇宙線の影響と思われるシステム・エラーが確実に増えていると言っている。

何れにせよ、太陽からのメガフレ、地球圏に降り注ぐ宇宙線など宇宙環境の観測と予報、そしてメガフレアの発生については迅速な対応が必要だ。