阿部ブログ

日々思うこと

太陽極域磁場の反転と地球「寒冷化」 ~気象激変を予測したペンタゴン・レポートは現実となるか~

2012年04月21日 | 日記
4月も20日になるが肌寒い。今年の冬は寒かったが、中々暖かくならない。
以前から地球温暖化には大きな疑問を持っており、逆に「寒冷化」するのでは?と思っていたが、それを示すデータが発表されている。
やはり太陽の変調で地球はこれから「寒く」なる。

その根拠となるデータは19日、日本の国立天文台と理化学研究所を中心とした国際研究チームの観測結果から得られたもので『太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた』である。

従来から太陽極域の観測は、今後の太陽活動を予測する上で極めて重要であることは認識されており、日本が打ち上げた太陽観測衛星「ひので」が太陽の極域を観測し、太陽の磁場が四重極構造になる兆候を国際チームが発見した。
これは太陽の北極域の磁場が正極に反転しつつあり、片や南極行きの磁場は正極で現在も安定している事から、太陽内部の磁場が基本的な対称性を失いつつあるのだ。

つまり現在、太陽の北極域では、負極性の磁場が消滅しつつあり、南極域と同じ正極を帯びつつあり、観測から太陽の北極磁場は今年2012年の5月には完全に反転すると予想されている。

この太陽の変調は、人類の歴史上で地球が寒冷であったと言われるマウンダー極小期、ダルトン極小期と言われる時代と同じ状況で、今後のより詳細な観測により地球の寒冷化傾向が裏付けられる事になるだろう。

また太陽の北極域磁場の変調以外でも、今の太陽活動が低調である事は、地上での観測からも認識されており、通常の太陽活動の周期が約11年なのに、12.6年と伸びている。

今回の太陽観測衛星「ひので」による太陽磁場の変調から思い出すのは2003年10月に米国国防総省が出した『気象激変シナリオとそれが合衆国の国家安全保障に及ぼす影響』という文書。

22ページと言う短い報告書ではあるが、論旨は明快。即ち「温暖化の進行から深層海洋の環境、つまり熱塩循環が破綻し、結果として気象が激変し、特に北半球が寒冷化する」と言うもの。

地球の北半球の寒冷化は、太陽の北極域の磁場反転との関係を想起させるが、気象変動を予測したペンタゴン・レポートの核心は、海洋深層を流れる水塊が熱塩循環の環境変化によりその速度が遅くなる事。これにより大気循環にも深刻な影響を与え、地球環境全体に波及すると言う点。

これは8200年前にも海洋深層水塊の循環が破綻した時にも地域によっては3℃~6℃低下した事が、考古学や気象学などの研究で判明しており、海洋深層水塊の循環が完全に停止すると1万2000年前の「ヤンガー・ドライアイス期」のように1000年以上にわたって地球全体が寒冷化する事もありうる。

このペンタゴン・レポートは、内容も衝撃だが、気象変動についての調査を依頼したのは、あの「アンドリュー・マーシャル」だという事。

これは驚きだ。

気象変動の調査自体を行ったのは「グローバル・ビジネス・ネットワーク」という米国のシンクタンクだが、気象変動の調査を依頼したのは、ペンタゴンの「ヨーダ」(スターウォーズにでてくる900歳の老賢者)である事は、これは深刻に考える必要がある。

「アンドリュー・マーシャル」は伝説的な米国安全保障の戦略家で90歳超えて今なお「ネット・アセスメント室長」として現役で、最近でも「統合エアシーバトル構想(Joint Air-Sea Battle concept)」をぶち上げるなどその知的活動は止む事はない。(参考:「国防西太平洋を舞台に、米中軍事対決が始まった(鈴木通彦氏)

ペンタゴンの「ヨーダ」を知るには秋田浩之氏の『暗流~米中日外交三国志』(33ページから43ページ)を一読する事をお薦めする。
秋田氏は直接「ヨーダ」にインタビューしており、前述の統合エアシーバトル構想の記事を書かれた鈴木氏が「あのマーシャルにインタビューできたは凄い」と仰っていたのをちょいと離れた場所で聞いた事があるが、長期中期の軍事戦略を練るのが仕事のマーシャルが気候変動の影響を調査したのだ。
繰り返しになるが、これを真剣に我々も考える必要があると言う事だ。

近未来の気候変動は、既に知っている人は知っていて、粛粛と準備を進めている。
その一例が、人類が定住する最北のスヴァールバル諸島の地下に設置されている『スヴァールバル世界種子貯蔵庫』。2008年2月には運営を開始し、200万種の種子が保管されている。
あの「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」も金を出しているが、決して慈善事業ではない。

この種子貯蔵庫には、米国の植物遺伝資源システムが保管する50万の標本も着々と運び込まれており、米国が保持する植物遺伝子の全てをバックアップする事になっている。

我々一般ピープルは生き残れないかもしれないが、何れにせよこれからは、太陽が地球の気象環境と海洋環境に与える影響を詳細に調査研究して、その「知」を人類全体で共有し、最悪の事態を想定したグローバルな対応策を施す事が重要だろう。